様々な中小企業の経理体制や財務体制をみていると、
「そこまでやる必要ありますか!?本当にそれが必要ですか!?」という状況があります。
一部上場企業の様な専属の経理や財務の担当者がいて、
管理業務にコストと時間をかけられるのであれば良いのですが、
大部分の中小企業は専属の担当者もいなければコストと時間をかけることも出来ませんし、
管理業務にかける時間があれば付加価値を生み出す本業にリソースを集中すべきです。
今回は、そんな中小企業における、経理、財務、のカンドコロ(勘所)について解説します。

 

月次決算の実施に拘らない

誤解を恐れずに言うと今の会社で本当に月次決算が必要でしょうか!?
大企業の様に前月の数字を取締役会で報告する必要がある、
前月の数字をもとに今月の経営戦略を立てる、様な状況であれば月次決算は必要ですが、
資金繰りに窮した状況以外、多くの中小企業においてその様な状況にはありません。
そのため、月次決算を行う、月次決算を早める、ことへの注力しすぎも良くありません。
四半期(3ヶ月毎)に会計帳簿への反映を行うなど規模に応じた対応を考えと良いでしょう。

 

僅少金額に拘らない

正確な数字を作ることに越したことはありませんが、
正確さを重視するあまり作業が不効率となり余計なコストが発生していないかも確認が必要です。
具体的には、
勘定科目を細かく設定しすぎて煩雑さが増している、
より正確な勘定科目で処理しようと解らないものは「仮払金」で計上している、などです。
支出科目が経費であれば勘定科目の区分は大きな問題とはならず、勘定科目へのこだわりも不要です。
会社規模にもよりますが10万円以下のものは迅速さを意識して処理すると良いでしょう。

 

期中処理は発生主義に拘らない

現金主義とは入出金のタイミングで計上を行う会計処理、
発生主義とは取引のタイミングで計上を行う会計処理です。
発生主義の方が企業の実態を表しますが、
毎月末に未払金計上仕訳といった会計処理が必要となり煩雑です。
家賃や社会保険料といった毎月定額の経費については、
現金主義で処理しても発生主義で処理しても結果は年間費用額は同一となります。
そのため、自身で会計帳簿を作成する際は、
発生主義に拘らず期中は現金主義で計上することで簡便さを意識、
決算書申告のタイミングのみで発生主義に対応した期間計上を行う方法も検討してみると良いでしょう。

 

内部統制や社内承認に拘らない

内部統制とは、簡単に言うと、
社内でのミスや誤り、不正などを社内で事前に防止、発見する仕組みです。
上場企業やIPO準備会社など外部株主や多くの債権者がいる会社においては、
重要な仕組みですが、
経営者のみや従業員1人という会社では不要なことが多いです。
なお、内部統制の具体的な手続きは、
実行者と承認者を別けることや、承認者が印鑑で押印する、などの行為になりますが、
出金処理(振込処理)を経営者自身で行えば、
個別の領収書確認までは不要の場合も多いでしょう。
内部統制は必要なタイミング(企業規模の拡大やIPO準備など)で構築する形とし、
中小企業では業務の迅速さや効率性を意識すると良いでしょう。

 

書類保存体裁に拘らない

社内精算が行われた立替経費の領収書を綺麗にA4サイズの紙に貼って保管している会社さんも多いですが、
法的には保存が義務付けられているのみであり「A4サイズの紙に貼って」とは記載されていません。
綺麗にファイリングされた領収書の見た目は綺麗ですが、
誰の目にも触れることなく、そのまま会社倉庫に保管されるファイリングを行うことは不効率です。
期間と科目ごとにクリップもしくはクリアファイルに入れ保管をする形でも問題ないでしょう。
また、預金から支払いの請求書や引き落とし明細についても、
取引日順に並べ2穴ファイルに保管する必要ははく、
月毎もしくは四半期ごとにクリアファイルに入れ保管をする形で問題ありません。
また、全てPDF化しデータとして保存する形としてもよいでしょう。
なお、税務調査の際にも当該証憑がしっかりと保管されていれば、
紙に貼っての保存、2穴ファイルへの取引日順での保存でなくても指摘を受けることはありません。

何事もバランスと程度が大切です。
期中は現金主義で処理を行い、四半期毎(3ヶ月毎)に会計数字の把握を行う。
自身の認識額と実際額が相違する部分は内容を確認し、
認識額を実際額に近づける感覚を磨いていくことが大切です。

専門外の作業内容は外部委託することで、
時給を意識しより付加価値の高いことに時間を費やす様にして下さい。

上記、会社規模に応じた業務設計を前提に、
企業規模に応じた業務設計についてもサポートを行っています。
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