会社の本店が移転した場合、本店移転登記をはじめ、様々な手続きが必要になります。
「知らなかった!」『忘れてた!』とならないために、
今回は、本店移転の変更手続きについて、解説します。

 

【本店移転とは?】

その名の通り、会社の本店所在地が変更になることです。
会社の本店所在地が変更になった場合は、本店移転登記をしなければなりません。
会社法では、登記事項に変更が生じた場合は、2週間以内に変更登記をしなければならないと定められています。
また、そのほかに税務署への届け出や社会保険の変更手続きも必要になります。
では、どのように変更手続きを行えば良いのでしょうか?

 

【step1:法務局での本店移転登記】

初めに、一番重要である本店移転登記書類を作成して法務局へ提出します。
本店を移転した場合、今までと同じ法務局(管轄内)で移転するケースと
他の法務局の管轄へ(管轄外)移転するケースがあります。
管轄内と管轄外での移転では手続き方法や登録免税額も変わってくるので、
まずはどちらなのかチェックしてみましょう!


◇移転先は管轄内?それとも管轄外?

管轄内

例えば、渋谷区から目黒区への移転の場合、
同じ管轄法務局(渋谷出張所)なので、管轄内となります。
変更登記申請書を作成して、管轄法務局に提出します。
また、登録免許税は1件につき3万円となります。
ですので、3万円の印紙を購入して、提出となります。
変更登記申請書の作成はこちら→http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001249330.pdf

管轄外

例えば、渋谷区から港区に移転する場合、
旧管轄(渋谷出張所)→新管轄(港出張所)となるので、管轄外となります。
管轄外の場合、両方の法務局へ登記変更しなければなりません。
そのため、登記申請書を2部作成する必要があります。
なお、登記申請書は旧管轄へまとめて2部提出すればいいので、
旧管轄に提出をしましょう。
また、登録免許税は2件になるので、3万円×2件=6万円となります。
変更登記申請書の作成はこちら→http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001249331.pdf

◇本店移転登記のポイント!

*point1
本店移転が管轄外になる場合、印鑑カードが引き継ぐことができません。
ですので、印鑑(改印)届と印鑑カード交付届も同時に申請します。

*Point2
設立初期の会社は、本店所在地と代表者住所が同一であること多くあります。
本店所在地と併せて、代表者住所も変更になった場合、どちらも変更登記が必要となり、これらの登記申請は、同時に申請することができます。
この場合には、登記の事由に「代表取締役住所変更」を追記し、登記すべき事項に「住所」「原因年月日」を併せて記載します。
登録免許税は役員変更登記分の1万円が加算される形となります。

法人登記記入例

 

【step2:税務署、都道府県税事務所、市区町村へ届出】

税務署、都道府県税事務所、市区町村へ異動届出書を作成して、提出する必要があります。

 区分  税務署  都道府県税事務所  市区町村
 届出書類 異動届出書
給与支払事務所等の異動届出書
①異動届 各市区町村HPをご覧ください。
※東京都内は提出不要です。
 添付書類  なし 登記簿謄本
 届出先 管轄税務署
※管轄が変更になった場合は旧管轄
管轄都道府県税事務所
※管轄が変更になった場合は旧管轄
 届出方法 窓口、郵送、電子申告 窓口、郵送、電子申告

記入用紙ダウンロード【東京都主税局HPより】

◇異動届出書のポイント!

*Point1
届出先は旧管轄に提出します。
*point2
税務署以外(都道府県税事務所、市区町村)は登記簿謄本の添付も必要となります。

 

【step3:社会保険(年金事務所)へ届出】

年金事務所への変更届が必要になります。
届出書、届出先は下記になります。

《届出書類》
適用事業所名称/所在地変更届

《添付書類》
登記簿謄本(コピー可)

《届出先》
郵送:管轄の年金事務センター
※管轄が変更になった場合には変更前の年金事務センター

《届出方法》
窓口、郵送、電子申告
※郵送の場合:控が必要であれば、控と返信用封筒を同封します。

【step4:労働基準監督署へ届出】

労働基準監督署への変更届が必要になります。
届出書、届出先は下記になります。
※労働保険に加入してない場合は不要です。

《届出書類》
労働保険 名称、所在地等変更届
※複写式の用紙になるため、専用の用紙を窓口に取りに行く必要があります。

《添付書類》
なし

《届出先》
移転後の管轄労働基準監督署

《届出方法》
窓口、郵送
※郵送の場合:事業主控が返ってくるため返信用封筒を同封します。

【step5:ハローワークへ届出】

ハローワークへの変更届が必要になります。
届出書、届出先は下記になります。
※労働保険に加入してない場合は不要です。

《届出書類》
雇用保険事業主事業所各種変更届

《添付書類》
・労働保険基準監督署に提出した「労働保険 名称、所在地等変更届」の控え
・登記簿謄本(コピー可)

《届出先》
管轄ハローワーク

《届出方法》
窓口、郵送

【まとめ】


今回、会社の本店所在地が変更になった場合の手続きの一連をまとめて解説させて頂きました。
変更登記は本店所在地に限らず、役員変更や増資など登記簿に記載される登記事項に変更が生じた場合、必ず申請をする必要があります。
また、税務署や社会保険なども変更届が必要になるため、忘れずに行いましょう。
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