最近弊社に寄せられる質問の中で、請求書はいつから変えれば良いのか、9月の日付で請求をしたり、代金を9月中にもらえば8%の売上で良いのか?など、
いわゆる、実務上の切り替えのタイミングについてのご質問を頂きます。
今回は、消費税増税に伴う切り替えのタイミングについてご説明させて頂きます。
今回の消費税増税についての簡単な基礎知識
事業者の方に関しては、増税により支払いだけではなく売上も上がりますので、相手方への請求も1,080円から1,100円に修正が必要となります。
この時、特に複雑となるのが2019年9月~10月の消費税増税近辺で行われた請求や代金の受取りです。
・増税前の9月に請求を済ませれば、消費税は8%のままでいいのか?
・支払いを抑えるために取引先から請求は9月までにかけてほしいと言われた
・請求日付を変更する事で消費税の請求額を調整する事は可能なのか?
上記のような内容が最近よく頂く質問になります。
当ブログを通して税務での基本的な考え方をご説明いたします。
※当ブログでは、軽減税率は度外視してご説明をします。
請求や受取りのタイミングは関係ない
適切な売上の計上時期、いわゆる”売上が計上されるタイミング”とはいつなのか?
2つのパターンでご説明します。
売上取引に製品商品等の物の受け渡しがある場合
このような物の受け渡しがある場合の売上計上のタイミングは、”物を引き渡した時”です。
①Webサイトやアプリであれば、納品した時
②リフォーム業者であれば、工事完成時(既存の家なので完成=引き渡しになる)
③不動産業者であれば、お客様に鍵を渡した時等
等が、よくある引き渡しのタイミングです。
しかし”引き渡した”とするタイミングはそれぞれの契約などでも異なる場合があります。
上記の例示以外の場合も含めて、自分の事業では引き渡しのタイミングはいつなのか?という事を考える事が重要となります。
売上取引がサービスや役務の提供である場合
このような場合は、何月の分のサービスなのかが請求書に記載されているかと思います。
請求書を毎回作成されていない場合には、契約書により月毎のサービスという事が明示されているかと思いますので、該当の月の売上として計上します。
例えば、9月分のコンサルティング料であればその代金をいつ貰うかに関わらず消費税は8%ですし、10月分であれば10%になります。
また、1年分の売上を前受けするケースもあるかと思います。
例えば、2019年8月に向こう1年分サービス利用料12万円(月額1万円)をまとめて請求し受け取っている場合、
8月、9月の2万円は消費税は8%となり、残り10か月分(10月~翌年7月)の10万円は消費税10%という形で請求書を作る事となります。
この場合の請求額合計は、
8月、9月の2万円 → 21,600円(税込8%)
10月~翌年7月の10万円 → 110,000円(税込10%)
で合計 131,600円が請求書に載る最終的な金額です。
これらが分かるように、請求書の内訳に記載すると相手方にも分かり親切かと思います。
大変なのは増税前後の数カ月
今回の増税のまとめと見解
また、今回は売上の場合にフォーカスして説明しましたが、基本的には支払いの場合も判断の仕方は同様となります。
今回の消費増税に加えて、将来的にはもう何回かに分けて段階的に消費税を上げていくとも言われている為、事業を続けていく中でまた増税のタイミングに遭遇するかもしれません。
今から数か月間、事業者の方は増税に伴い大変な思いをされるかと思いますが、当ブログが少しでも参考になれば幸いです。
Takeoffer会計事務所では消費税の増税を始め、様々な法改正にも対応し、中小企業を始めとする個人事業主や法人のサポートを幅広く行っております。
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