従業員が退職する場合、どのような手続きをすればよいのかご存じでしょうか?
雇用手続きがあるように、退職する際も手続きがあります。
社会保険や税金などの手続きを中心に、人によって必要となる手続きも様々です。
そこで今回は退職時に必要となる、手続きについて解説します。

退職手続きのポイント!
①健康保険被保険者証の回収
②社会保険、雇用保険の喪失届の提出
③源泉徴収票の発行、住民税の手続き

社会保険喪失手続き

従業員が退職した場合、健康保険及び厚生年金保険資格を喪失する手続きが必要になります。
提出期限は退職日から5日以内に事業主が手続きを行わなければなりません。また、喪失届を提出の際、健康保険証も添付するため、
退職日に健康保険証の回収も忘れずにしましょう。
なお、社会保険を任意継続する際には保険証の返却は任意継続脱退時まで不要となります。

◇健康保険任意継続制度について
事業所を退職によって健康保険の被保険者の資格を喪失した場合、
次の条件を満たし、ご本人の希望により、最長2年間継続被保険者になることができます。
①資格喪失日の前日(退職日)までに継続して2か月以上の被保険者期間がある。
②資格喪失日から20日以内に、「任意継続被保険者資格取得申込書」を提出する。
詳しくはこちらをご確認ください。https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3070/r147

《提出書類》
被保険者資格喪失届

《添付書類》
①健康保険被保険者証(本人分及び被扶養者分)
②高齢受給者証、健康保険特定疾病療受給者証、健康保険限度額適用・標準負担額減額認定書
※②については、交付されている場合のみ
※紛失等により回収ができない場合は、資格喪失届にその理由記載又は「健康保険被保険者証回収不能届」の提出が必要となります。

《提出先》
・年金事務センター(郵送の場合)
・管轄年金事務所窓口

雇用保険喪失手続き

雇用保険の適用事業所に雇用された従業員(正社員、契約社員、パート、アルバイト)は、雇用保険被保険者になります。
加入手続きを行った時と同じく、退職する際は喪失届を提出する必要があります。
提出期限は退職日の翌日から10日以内に提出に事業主が手続きを行わなければなりません。

《提出書類》
雇用保険被保険者資格喪失届

・離職票(必要な場合のみ)
→退職者が雇用保険の失業給付を受給するときに必要となる書類です。退職者からの依頼があった際提出する書類です。
※記入用紙は複写になっているため専用の用紙が必要となります。

《添付書類》
・雇用保険被保険資格喪失届のみの場合不要。
・離職票の交付手続きをする場合は
労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、離職理由の確認できる書類など

《提出先》
管轄のハローワーク

源泉徴収票の発行、住民税の手続き

源泉徴収票の発行

退職者には源泉徴収票を作成して渡す必要があります。

◇源泉徴収票の発行に関して
・源泉徴収票とは?
源泉徴収票とは1月1日から12月31日までの1年間の給与や賞与の支払額や社会保険料等の支払額、所得税などを記載されている書類のことを言います。

・なぜ作成しなければならないのか?
退職者が転職の際、新しい職場に提出して年末調整を受けるため。
また、転職先が決まっていない場合は確定申告を行うために、必要となります。

・いつまでに作成して交付するべき?
退職後1ヶ月以内までには発行し、交付しましょう。

住民税の手続き

給与から住民税を特別徴収している場合は「給与支払報告に係る給与所得異動届出書」を退職者の市区町村へ提出をします。
提出期限は、退職日を入れた月の翌10日までに行う必要があります。
提出が遅れてしまうと、会社に滞納したとして催促状が送られてきてしまったり、
退職者が未徴収分を一括で納めたりしなければならなくなってしまうので、遅れないように提出する必要があります。
なお、退職後の住民税は、退職者自身で納付を行う普通徴収での納付、または、就職先の会社にて納付を行う特別徴収での納付、いずれかとなります。

◇退職後の住民税の取り扱いについて

労働者が退職した時、転職先が決まっている場合と決まっていない場合によって住民税の納付方法が変わってきます。

・特別徴収の継続
転職先が決まっている場合は、事業所が「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を作成し、
転職先の会社へと引き継ぎ、特別徴収を継続することができます。

・一括徴収・普通徴収
転職先が決まっていない場合や働き始めるまでに期間が開く場合は、「一括徴収」、「普通徴収」のどちらかで納付しなければなりません。
また、退職時期によって納付方法が変わってきます。

|退職日が1月1日から5月31日までの場合
この期間に退職をした場合、特別徴収していない残りの住民税を最後の給与より天引きをし、一括納付となります。

|6月1日から12月31日までの間に退職した場合
退職者が下記3つの方法を任意で選べることになっています。

例) 7月中に退職した場合
a.普通徴収 7月分まで特別徴収、8月以降は普通徴収
b.特別徴収 7月~翌年5月までの住民税(11ヶ月分)を一括徴収(納付)
c.転職先で特別徴収継続

まとめ

今回は、従業員の退職手続きについて解説しました。
従業員を雇用したときと同じように、退職したときも様々な手続きがあります。
従業員の退職手続きのポイントをおさえて、忘れずに手続きを行いましょう。
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