節税手段として旅費日当の計上というのを聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

旅費日当の計上が節税手段といえるのは、所得税と法人税の違いによる影響です。

【旅費日当とは?】

旅費日当とは交通費、宿泊費に含まれていない出張中の少額の諸雑費の支払いにあてるものをいい、

「出張しなければ払わずにすんでいた費用」を会社が負担するために支給するものです。

 

【法人税は旅費交通費として必要経費、所得税は非課税!】

法人税では交通費・宿泊費同様に旅費交通費として経費計上し、消費税も課税仕入れとなります。

一方、旅費日当を受け取った側では旅費日当は「実質弁償的性格に基づくもの」として、所得税法上、非課税所得とされています。

非課税所得は字の通り所得税を課せられない所得であるため、日当として金銭を得ても所得税はかかりません。

また、非課税所得であるため日当による手取り増加分について、社会保険料が発生することもありません。

そのため、①役員報酬40万円/月と②役員報酬35万円/月+旅費日当5万円を比較した場合、役員側の手取り額は②のほうが大きくなります!

また、法人側からみても社会保険料の会社負担分や、消費税(後述)が減ります。

 

このように、旅費日当は法人としても必要経費として計上でき、受け取った個人としても非課税所得として所得税がかからないので、法人化による代表的な節税手段といえます。

 

【旅費日当の活用で消費税も減少!】

法人が納める消費税は「売上時に受け取った消費税額―仕入時に支払った消費税額」によって計算されます。

ここで、役員報酬等の人件費や保険料には消費税がかかりません。一方、日当は課税仕入れに該当します。

そのため、「仕入時に支払った消費税額」に含められ、納める消費税額が減少することになります。

 

【旅費日当が非課税所得となる要件】

旅費日当が非課税所得となるには下記要件が必要です。

・出張旅費について社内のルールを定めた「出張旅費規程」を作成

・旅費日当を高額にしない(社会通念上妥当な範囲内)

 

<出張旅費規程の作成>

出張旅費規程を定める際は以下のポイントに留意し作成するようにしましょう。

また、税務調査においては出張旅費規程や帳簿のみでは指摘されるリスクがありますので、

「出張報告書」や「出張旅費精算書」等の事実確認書類の作成を義務付けることも規程に含めましょう。なお、規程作成後には株主総会の承認が必要です。

・規程の目的を定める

・適用範囲は全社員を対象とすること(役職別に差をつけることは可能)

・出張の定義を決める(例:移動距離が片道●●㎞以上)

・旅費の種類と支給額を決める※

・出張申請や精算の手続きを定める(出張報告書や出張旅費精算書の作成を義務付ける)

※支給額の決定に際しては後述の【社会通念上妥当な旅費日当の額って?】をご参照ください。

 

<社会通念上妥当な旅費日当の額って?>

規程においては、通常、宿泊費・交通費については実費精算、日当については定額支給と定めることになりますが、

旅費日当が「社会通念上妥当な額」を超えると税務調査で否認され、認定賞与として課税されることがあるので注意が必要です。

 

では、「社会通念上妥当な額」とはいくらでしょうか?

こちらについては明確に定義されておらず、下記点を考慮しながら判断することになります。

 

(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。

(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

引用元:所得税法基本通達9-3

 

つまり、社内でのバランス、同業他社とのバランスがポイントになります。

業種や会社の規模によって「社会通念上妥当な額」は異なってきますので、実際の計算や、規程の設置については顧問税理士等の専門家にご相談ください。

【まとめ】

いかがでしたでしょうか。

今回は「法人化による税務メリット~旅費日当編~」として日当制度をつかった節税について、まとめてみました。

💡旅費日当のポイント

旅費日当規程を策定

✓社会通念上妥当な日当額を設定

実際の計算や、規程の設置については顧問税理士等の専門家にご相談ください。

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