2021年1月に発令された緊急事態宣言に伴い、業績が低下した個人事業主・中小企業は多いのではないでしょうか。
地方公共団体から時短営業要請の出ている飲食店は、最大1日6万円の協力金を受給できますが、
緊急事態宣言に伴い業績が低迷しているのは飲食店のみではありません。
今回は、飲食店以外の事業者や、協力金の支給対象から漏れてしまった飲食店でも
一定の要件を満たしていれば受給できる「一時支援金」について紹介します!
中小法人等であれば最大60万円、個人事業者等であれば最大30万円の一時支援金を受給できる形となりますので、
緊急事態宣言によって売上が減少した事業者の方は、ご検討ください。
一時支援金:持続化給付金同様、一定の条件に当てはまっていれば支給されます。
補助金 :募集条件に合致した事業者が申込を行い、審査、採択された場合、事業者が実際に投資した額に対して補助金が交付されます。
一時支援金は、補助金よりも上限額が小さいですが、補助金よりも申請にかかる時間・手間は少ない形となります。
※当該ブログは2021年3月8日12時現在の経済産業省資料をもとに記載しております。
事業再構築補助金については、こちらをご覧ください。
「一時支援金」の概要
一時支援金とは、以下の①②に該当する中小法人・個人事業者等を対象とした給付金です。
・緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業 又は 外出自粛等の影響を受けている
・売上が50%以上減少している
どんな事業者が対象?⇒幅広い業種が該当!
対象となる事業者は
「緊急事態宣言の発令地域(以下「宣言地域」という。)の飲食店と直接・間接の取引があること、
又は、宣言地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けていること」とされています。
つまり、飲食店と直接取引のある食品加工会社や接客サービス等のサービス事業者のみならず、
対面で商品・サービスの提供を行うBtoCの事業者も対象となります。
さらに、上記事業に商品・サービス提供を行う事業者の方(ソフトウェア事業者等)も対象になる等、幅広い業種が該当します。
また、事業者の所在地を問わず給付対象となりますので、緊急事態宣言発令地域の事業者と取引をしている、緊急事態宣言発令地域外の事業者も対応です。
以下は中小企業庁の公表するパンフレットの抜粋です。
(画像クリックで拡大)
なお、中小法人等とは「(資本金等10億円未満、又は資本金等が定められていない場合は常時使用する従業員数が2,000人以下」、
個人事業者等は「フリーランスや主たる雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者等の方」を含みます。
さらに、2019年・2020年に新規開業された方の場合は下記特例もあります。
なお、飲食店等で協力金(1日最大6万円)を支給されている飲食店は対象外です。
1つの法人で飲食店とホテル業を営んでいる場合も、法人単位では協力金の支給を受けたことになりますので、一時支援金の対象外です。
売上50%減って、いつ時点との比較?
売上50%減の要件は「2019年比又は2020年比で、2021年の1月、2月又は3月の売上が50%以上減少していること」とされています。
つまり、基準年である2019年・2020年の1月~3月の単月売上と、
対象月(2021年1月~3月の任意の月)売上を比較し、50%以上減少している月があれば対象です。
対象となったら下記式に当てはめ、給付額を計算します。
【計算の例】
中小法人を前提に実際に計算してみましょう。
(画像クリックで拡大)
(1)50%以上減少している月があるかの確認
まずは売上が50%以上減少している月があるかを確認しましょう。
こちらの例では、2021年の1月・2月において、2019年の1月・2月と比較し売上が50%以上減少しているようです。
2019年と比較しているので、基準年は2019年となります。
(2)対象月の選択→売上高が少ない月を選択!
給付額は基準年度の売上から、対象月の売上×3を控除した額で計算されます。
そのため、対象月の売上は少ないほうが有利です。
こちらの例では、2021年1月売上:20万円、2021年2月売上:30万円なので、
2021年1月を対象月とします。
(3)給付額を計算
下記式にあてはめ、給付額を計算します。
「2019年または2020年の対象期間の合計売上」
→こちらの例では2019年を基準年としましたので、2019年1月~3月の合計売上高150万円が該当します。
「2021年の対象月の売上×3か月」
→こちらは、2021年1月を対象月としましたので、2021年1月売上:20万円×3か月の60万円が該当します。
よって、上記式に当てはめますと
150万円―60万円=90万円となりますが、中小法人の給付金上限は60万円ですので、
給付額は60万円です。
※なお、個人事業の方で白色申告(確定申告書で単月売上が確認できない場合)は、
基準年の月次売上がわからないので、年間売上÷12×3した数字を、基準年の売上と考えます。
詳細はこちらをご覧ください。
中小企業庁HP>「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の詳細について
どんな資料が必要?
用意する書類は「必要書類」と「保存書類」の2つに分かれます。
【必要書類】
必要書類は下記の通りです。
後述の「登録確認機関」への予約時や、一時支援金申請時に必要となりますので、
前もって準備しておくようにしましょう。
書類名 | 備考 |
①確定申告書 | 2019年1月~3月、および2020年1月~3月までを期間に含む全ての確定申告書の控え(収受日付or受信通知メールの添付があるもの)。 確定申告義務がない場合その他合理的な事由がある場合は、住民税の申告書の控え。 |
②売上台帳 | 2021年の対象月の収入がわかる売上台帳 |
③ 本人確認書類
または 履歴事項全部証明書 |
個人事業者の場合は本人確認書類。
中小法人等の場合は履歴事項全部証明書※。 ※申請時から3か月以内に発行されたもの |
④ 通帳 | 銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・名義人が確認可能な書類 |
⑤ 宣誓・同意書 | 代表者or個人事業者が下記に自署 https://ichijishienkin.go.jp/assets/files/sensei_doui.pdf |
⑥ 取引先情報一覧 | 対象期間並びに2019年及び2020年の1月から3月までの期間における顧客である法人の法人名、法人番号並びに連絡先及び顧客である個人事業者等の屋号・雅号、氏名、及び連絡先が確認できる書類(事務局が定める様式)。 |
※その他、特例を用いる場合等、事務局が必要と認める書類。 |
【保存書類】
申請時の提出は不要ですが、申請者が給付要件を満たさないおそれがある場合に、保存書類の提出を求められる等の調査が行われることがあります。
そのため、求めに応じて速やかに提出できるよう、電子的方法等により7年間保存が求められます。
保存書類は、影響を受けた要因によって異なりますので、下記画像または中小企業庁の一時支援金パンフレットをご覧ください。
(画像クリックで拡大)
手続きの流れは?
一時支援金は、持続化給付金とは異なり、
申請前に「登録確認機関」の事前確認を受ける必要があります。
登録確認機関は、金融機関や、認定経営革新等支援機関等から決定されます。
なお、Takeoffer会計事務所も登録確認機関です。
【申請の大まかな流れ】
(1) 申請ID取得
(2) 必要書類準備
(3) 登録確認機関の検索
(4) 登録確認機関へ、事前確認の予約
(5) 登録確認機関にて事前確認
(6) 事務局のWEBサイトから申請
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(1)申請ID取得
給付金の申請希望者は、事務局HPから申請IDを取得し、事前確認の書類として下記を準備します。
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(2)必要書類準備
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①本人確認書類(個人事業者) or 履歴事項全部証明書(中小法人等)
②収受日付印の付いた2019年1月~3月及び2020年1月~3月までをその期間に含む全ての確定申告書の控え
③ 2019年1月から2021年対象月までの各月の帳簿書類(売上台帳、請求書、領収書等)
④ 2019年1月以降の事業の取引を記録している通帳
⑤ 代表者又は個人事業者等本人が自署した「宣誓・同意書」
※登録確認機関の顧問先等の場合は、事前確認時に①~④を省略できます。⑤のみお手元にご準備ください。
(3)登録確認機関の検索
事務局HPで確認できますが、顧問税理士等の顧問士業がいらっしゃる場合には、当該士業に事前確認を依頼します。
(4)登録確認機関へ、事前確認の予約
登録確認機関に事前予約の連絡をし、日程調整を行います。
(混雑緩和のため、事前予約せずに訪問することはやめましょう。)
(5)登録確認機関にて事前確認
登録確認機関にて、本人確認や取引のサンプルチェック等を行い、事前確認通知番号を発行します。
この番号が発行されますと、申請者はマイページから申請できるようになります。
※登録確認機関の顧問先等の場合は、事前確認時に(2)書類準備の①~④を省略でき、電話での確認も可能です。
(6)事務局のWEBサイトから申請
前述の通り、事前確認を受け終えていないと申請ができません。
なお、オンラインでの申請が困難な場合は申請サポート会場を利用可能です。
申請サポート会場の詳細はこちらをご覧ください。
(引用元:一時支援金パンフレット)
いつまでに申し込めばいい?
申請受付期間は、2021年3月8日(月)~2021年5月31日(月)です。
自社・自身が該当するかも?と思ったら、顧問税理士等の専門家に相談しましょう。
まとめ
前述のとおり、一時支援金は給付金のため、補助金申請よりもハードルが低いです。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、事業の状況が厳しい方も多いと思います。
少しでも多くの事業者様と安心安全にこの状況を乗り越えていきたいと考えております。
Takeoffer会計事務所は税務に捉われない業務全般のサポートを実施しています。
何かありましたら、お気軽にご相談ください。
なお、一時支援金の詳細・相談窓口はこちらをご覧ください。