Takeoffer会計事務所インターンの川崎夏子です。
不安が減って生きやすい環境が増えてほしいと思っており、「お金」や「組織」に興味関心があります。
会計事務所に入ってまず驚いたことは、所属の税理士さんが会計士資格も持っていて、税理士兼会計士だったことです。
会計事務所には会計士さんしかいないと思ってた…。
私ほど無知ではなくとも、いわゆる士業のお仕事の違いが分からない方も多いのではないでしょうか。
ということで、それぞれの業務をまとめてみました!
お仕事を依頼する際の参考にしてみてください。
✓各士業に相談できることは何か
✓各士業の独占業務は何か
なお、会計事務所は街のよろず相談所と呼ばれることもあるほど、多岐にわたる相談を受け付けています。
会計事務所で対応できない内容であれば、どこに対応をお願いするといいか教えてもらえます。とりあえず相談してみるのも手です!
各士業の業務まとめ
「士業」と呼ばれる職業はさまざまですが、住民票などの請求権が認められている主なものについては、「8士業」と呼んで区別されます。
実は公認会計士は8士業ではありません。
「士業」と呼ばれる職業の大半は、資格を持っていないと開業できず、都道府県もしくは監督官庁に登録する必要もあります。実務経験を求められることも多いです。
この記事では、会計事務所へよく相談がくるものについて、該当する士業をまとめていきます。
共通しているのは、書類や申請の代理を請け負っていることです。請け負う書類や申請の内容に応じて、依頼先が変わるイメージを持っていただけるとよいでしょう。
税理士
税理士はお客さまの税務手続きを代行します。
主な仕事としては、税務代理(税金の申告や申請、不服申し立てなどを代理で行う)、税務書類の作成、税務相談などに対する適正な納税をサポートがあります。
また、財務や会計に関するアドバイスをしたり、税務調査に立ち会うこともあります。
顧客には中小企業が多いため、経営・資金繰りの相談に乗る場合もあります。
税理士は税理士事務所に勤める場合が多いようですが、経験を積んだ後には事務所を立ち上げる場合が多いようです。
中小企業やベンチャー企業、個人事業主などがクライアントの中心です。
会計士(公認会計士)
会計士の仕事のメインは、企業の会計監査です。
監査とは実際に会計作業を行うことではありません。
企業が作成した決算書が会計基準にもとづき適正に作成されているか否かについて、監査意見を表明することを言います。
会計監査では様々な業種やビジネスモデルに触れることができるので、会計士のなかには会計監査で得た経験・知識を活かして会計・税務に関するコンサルティングの業務を行っている人もいます。
M&Aにおける株価算定(デューデリジェンス業務)等に関わる場合もあります。
なお、監査を受けなければならない企業は上場企業や、「資本金が5億円以上」あるいは「負債額が200億円以上」である株式会社等です。(会社法327条5項、328条で定められています。)
そのため主なクライアントは大企業が中心となります。
【ややこしい】税理士事務所と会計事務所の違い
税理士事務所も会計事務所もあって、そのうえどちらの事務所にも会計士さんと税理士さんがいらっしゃるので、違いがわからなくなると思っています。
実は税理士事務所と会計事務所の違いは「俗称」であるか「正式名称」であるかです。
税理士法第40条2項において、 「税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する」 と定められています。
つまり、税理士が設けるすべての事務所は「税理士事務所」の文言がついたものが正式名称です。
「会計事務所」は、正式名称ではない「俗称」だといえます。
<え!じゃあ会計事務所ってなに?>
なぜわざわざ「会計事務所」の俗称をつけるのか気になりますよね?
それは「単に税金に関する業務を行うだけではない」ことを強調するためだと考えられます。
税理士の事務所は、税金に関する業務以外に、中小企業や小規模事業者の会計処理や決算書の作成、会計・経営のコンサルティングなどを請け負うことが多いです。
そのような請け負う業務の幅広さを表現するには「税理士事務所」より「会計事務所」の方がふさわしいと事務所が判断しているのでしょう。
ただし、税理士事務所と会計事務所は、名称以外の実質的な違いはありません。
基本的に「全く同じもの」だといえます。
ちなみに税理士法人とは2名以上の税理士で設立された特別法人をさします。広義には会計事務所に含まれます。
公認会計士の資格を持ち、税理士登録も行っている方もいらっしゃいます。
司法書士
裁判所・検察局・法務局などに提出する書類の作成や、登記・供託の手続き、審査請求を行います。(供託とは金銭・有価証券・物品を供託所や一定の者に差し出し、保管してもらうこと)イメージが沸きづらいかと思いますので具体的な例を挙げます。
例えば、不動産(土地及び建物)を所有している場合、登記簿に証拠を残しておく必要があります。
原則「本人申請」とされていますが、法律的な専門知識がない方にとって簡単な手続きではありません
。そこで手続きの代理を依頼することができます。
不動産登記以外にも、簡易裁判所での訴訟代理、民事調停での代理、簡易裁判所の訴訟事件についての法律相談業務、裁判外の和解代理などが依頼できます。
行政書士
官公庁に提出する書類の作成には、細かい決まりがあります。
行政書士は、法人や個人に代わり、図面を含む種類を作成し、提出手続きを代行しています。
会社設立、相続や遺言、内容証明、産業廃棄物許可関係、外国人の出入国事務関係、各種契約書の作成など書類作成の内容は多岐にわたります。
関連する書類は1万種類以上にものぼるといわれ、幅広い知識が必要とされます。
社会保険労務士
社会保険労務士(社労士)は、労働者の福祉関連の相談から手続きを行います。社会保険、人事・労務管理、年金まで扱います。労働基準法・健康保険法などに通じ、事業者に代わって諸官庁に提出する書類を作成します。扱う書類は300種類に渡り、相談や指導も請け負います。
また、法定三帳簿と呼ばれる労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の作成にも携わります。
それぞれにしか依頼できない独占業務って?
税務代理は税理士が行う等、それぞれの資格には独占業務が決まっています。
例えば、税理士としての登録を行っていない公認会計士は、例え知識があっても税務代理を行ってはいけないのです。
具体的に表にしてみるとこんな感じです。
税理士
「税務業務」と呼ばれる仕事が、税理士の独占業務とされています。納税者に代わって税務の申告を行う税務代理という仕事や、税務書類の作成代行、税務に関する相談等は税理士しかできない仕事です。
※税理士法第2条の1と第52条で規定されています
公認会計士
「監査業務」と呼ばれる仕事が、公認会計士の独占業務とされています。企業が作成した財務に関する書類が適正であるかを評価する業務となります。
※公認会計士法第47条の2で定められています
司法書士
司法書士の独占業務は大きく分けると2つです。1つ目が登記又は供託に関する手続についての代理です。2つ目が法務局又は地方法務局への提出書類作成です。
※司法書士法第3条で定められています
行政書士
行政書士の独占業務は、官公署などに提出する書類の作成です。また、その他権利義務や事実証明に関する書類の作成も認められています。一方で、役所に提出する書類の作成のすべてが行政書士の独占業務ではありません。
※行政書士法1条の2の2項に記載されています
例えば、非紛争的契約書や協議書類は、行政書士でも弁護士でも作成が認められています。融資の事業計画書や補助金の申請書は、税理士や中小企業診断士でも作成可能です。
非常にややこしいため、どの領域が独占業務なのか理解している人はきわめて少ないと思います。
社会保険労務士
社労士の独占業務は大きく分けると2つです。
1つ目が労働や社会保険に関する法律に基づいた申請書の作成や手続きの代行です。
2つ目が法定三帳簿の作成代行です。法定三帳簿とは、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿のことで、労働保険に関連して作成が必要な書類になります。
就業規則の策定も請け負っています。
※社会保険労務士法第2条1項で定められています
まとめ
まとめてみましたが、独占業務の線引きが難しく、誰に何を依頼するか自分で判断するのは少々困難だと感じました。
まずは以下のようにざっくり捉えてみてください!
✓会計・税務に関する相談⇒税理士or公認会計士
✓商業登記、不動産登記等に関する相談⇒司法書士or行政書士
✓労務に関する相談⇒社労士
必要なときに見返して、わからなければ会計事務所に相談してみてください!
Takeoffer会計事務所でもお問合せフォームを設けていますので、お気軽にご相談ください!