• もう一つが「貯蓄から投資へ」だ。このスローガンが掲げられるようになって久しいがどうも進んでいない。
  • 自己資本利益率(ROE)の平均をみると、以前として日米では2倍以上の格差があるが、もう1つの大きな違いは、ROEマイナスの企業の割合が日本より米国の方が多い点だ。日本は高収益企業が少ないだけでなく、赤字企業も少ない。これに対し米国では、高収益企業も多いが、赤字企業も多い。
  • 資産運用側としては、現在は赤字だが将来的に高い収益を生み出す可能性が高い企業を選別し、積極的に投資することであるが、日本では、このような魅力的な投資対象が極めて少なかった。
  • 一方日本企業は、資本効率の改善より財務安全性の向上に経営の関心が向かいがちだった。その結果、賃上げ抑制などのコストカットにより赤字は回避できた一方、将来を見据えた大胆な研究開発や設備投資は伸び悩んだ。このような企業体質では、ハイリスク・ハイリターンの投資対象は生まれてこない。
  • 今後は、賃上げによりこれ以上高度人財を海外に流出させないことや、相対的に知を生まないが賃金が高い外資系コンサルタント業界(個人的な見解です)から優秀な技術者を日本の製造業に回帰させることが重要かもしれない。