「賃上げする経営者が生き残る」 サントリーHD新浪氏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC11B9R0R10C24A3000000/?type=my#AAAUAgAAMA
  • 適正な賃上げが企業の将来を決めるという論調が続いているが、今朝は2023年10月にいち早く賃上げ方針を表明したサントリーホールディングス(HD)の新浪剛史社長のコメントが掲載されていた。参考になるコメントを列挙します。
  • これだけ人手不足が深刻な中、経営者はCPI(消費者物価指数)プラスアルファで賃金が常に上がるというコンセンサスを持たなければいけない。労働組合との交渉ではプラスアルファが決め手になる」
  • 群集心理として人が足りないと思っているということだ。給料が高くなければスキルを持った人材は採れない。サントリーHDも3〜4割が(中途採用などを含む)経験者採用で、他では5〜6割の企業もある。新卒に頼る採用は徐々に減り、今までと異なる人材獲得の市場ができあがっている
  • 人を財ではなく物として、コストとして考えざるを得ない環境にあったことがデフレをつくってきた大きな元凶だ。デフレ下も人材に投資した会社がこれからは勝ち残る。人を育ててきた会社はますます強くなるし、コストと考えてきた会社は大変厳しくなる。新陳代謝が始まる
  • 「人材投資が遅かった会社も今は外から採用できる。相当コストを払うが、それでも投資できるかが生き残る要になるだろう。こうした動きが市場をつくり、人材の流動化は当たり前になる。人が動けば賃金が上がる。今まではコストカットで今を生き、今を守る経営でよかった。これからは展望を示し、給料も上げられる経営者が生き残る
  • 今後、AI(人工知能)活用でホワイトカラーの仕事が少なくなる。3年程度で(事務などの)バックオフィス機能を代替できるようになっていくだろう。若者はデジタルを、年齢を重ねた人は中小企業診断士のような経営能力を、それぞれ磨く必要がある。新たなスキルを身につける意欲を駆り立てるには、賃金が上がってくることが重要だ」
中小企業関連のコメントは、、、
  • 「多重になっている下請け構造をなくさないといけない。価値に合わせた人件費をきちっと支払う体制をつくらないといけない。公正取引委員会が企業名を出すのは大いに結構。政府がウオッチドッグ(監視)の役割を担い、経済産業省や労働基準監督署もメスを入れてきている。日本は名前が挙がれば恥だと思う国。下請け構造に大なたを入れたいという強いメッセージだろう」
  • 「中小でも賃上げで人手を確保する環境になってきている。人が集まらないところは倒産する。新型コロナウイルス禍の時に支援を受けて延命したものの、今後、金利が上がる予想の中で借りたお金を返さなければいけない。事業の継続意欲が厳しいところはやめていく。これは日本経済にとって悪いことではない