- ふるさと納税、読者のほとんどが利用しているのではないかと思います。2022年度の寄付額は9654億円、利用者数は891万人と納税者の15%を占めるようになったそうだ。拡大している理由は言うまでもなく地方税の納付先を変えるだけで、少ない自己負担で特産品などの返礼品がもらえるからだ。
- ただし、ふるさと納税のリスクを冷静に原点に戻って考えることが必要というのが記事の主旨。
- 地方税は、ごみ収集から小中学校、上下水道、消防、保健所など生活に直結した公共サービスを提供する原資となっているが、ふるさと納税とは、これらの公共サービスに回す資金を削って居住地以外の自治体に渡すということ。
- マクロ経済学でいう「合成の誤謬(ごびゅう)」という論理がある。経済学部出身者にはお馴染みの論理だが、この論理がふるさと納税のリスクに当てはまると言うのが記事の主旨だ。
- つまり、ふるさと納税を行うのが自分だけなら地域の公共サービスは変わらず、そのうえ返礼品がもらえる。ただし、みんなが行うようになれば地域財政は逼迫して公共サービスを削らざるを得なくなり、日々の生活に支障が出てくるというもの。
- 市町村がごみ処理や消防の予算を減らして地方の特産品を買い、納税額に応じて住民に配るのと同じであり、仮に市町村がこんな予算案を出したら、多くの住民は猛反対するだろうと記事が述べているが、その通り。
- そもそもこの制度は、地方税収が大都市圏に集中し地方の税収が減少、それに伴い地方の過疎化や産業の衰退が進行することを食い止めるために創設されたと理解している。
- 本質は、税収の移動ではなく、人が地方に移住することであり、それを実現するためには「地方に住む魅力」をどう高めて行くかであろう。
- それを政策でサポートするならば、ふるさと納税ではなく、例えば地方在住者の所得税(地方税ではなく)を引き下げ、大都市圏の在住者の所得税を引き上げることなどが考えられるがどうか?これによる副次的な効果として、大都市圏の異常な地価や家賃の高騰が緩和されるのではないだろうか?