中小企業、人件費6.7%増 4~6月 増加率大企業超え 人手不足、窮余の賃上げ
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20240903&ng=DGKKZO83194900S4A900C2EP0000
【コメント】
  • 4〜6月の法人企業統計から、春の賃上げの結果が数字に反映される。
  • 中小企業の賃上げは明らかに実施されていることがわかるが、大企業に比較すると賃上げ率は高いが増益率は低い。
  • 短期的にみると、中小企業で働く従業員にとってはプラスだが、所属している企業の収益性が向上しなければ長期視点では不安。
  • また、中小企業の賃上げ率は大きくとも、賃金の絶対額や福利厚生には大企業に比べて依然大きな差があると推察される。
  • IT化の推進加速など中小企業の更なる経営努力は必須だが、大企業と中小企業の公正な取引により、大企業から中小企業への更なる人件費上昇原資の移動が必要と感じる。
【記事概要】
  • 4~6月の法人企業統計で、中小企業で働く人の受け取りにあたる人件費は前年同期比6.7%増で、大企業の1.1%増を大きく上回った。
  • 従業員給与だけで見ると、大企業の1.7%増に対し、中堅企業が6.0%増、中小企業が7.3%増だった。企業規模が小さくなるほど賃上げ幅が大きい傾向にある。
  • 背景にあるのは人手不足。雇用が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた割合を引いた雇用人員判断DIは大企業がマイナス28で中堅企業はマイナス36、中小企業はマイナス37
  • 一方、経常利益をみると大企業は15.3%増、中堅企業は10.9%増、中小企業は6.3%増だった。製造業に限ると大企業が16.1%増に対し、中堅企業は6.4%増で、中小企業は5.1%の減益と明暗がくっきり。
  • 24年度に「賃上げを実施した」または「実施予定」の中小企業のうち、「防衛的賃上げ」との回答は59.1%を占めた。収益力向上による「前向きな賃上げ」の40.9%を上回った。
  • 人手不足が深刻な中小企業はさらなる賃上げを迫られる公算が大きい。