【コメント】
- セブンイレブンやイトーヨーカドー、デニーズ、LOFT、アカチャン本舗などを利用する人は少なくないと思うが、それら全体を所有するセブン&アイ(HD)が、今般再度カナダ企業から買収提案を受けている。
- 個別企業の買収云々はさておき、買収案件は取締役会が「株主にとって利益があるのかどうか」というポイントで決議される。つまり「買収提案金額と当該企業が将来生み出すと予想される金額(予想企業価値)との比較」。
- この「予想企業価値」算定には大きくは、将来生み出すキャッシュフロー予測額合計✖︎割引率(将来のリスクと時間価値を勘案)で算出される。
- ただ、この予想企業企業価値算定は将来キャッシュフローも割引率も「予想」にすぎず、買収提案金額との比較は非常に難しい。
- たゆまぬ企業努力を継続することは必須だが、だからといって、日本国民の生活に密着しているセブン&アイ(HD)が外国資本の手におちることは経済安全保障上一考の余地があると思うが、、、。
- 最近、複数店のイトーヨーカドーが閉店されたが、その地域の消費者の生活に一定の影響があると思われる。
【記事概要】
- セブン&アイ(HD)がカナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタール(ACT)から新たな買収提案を受けた。
- 8月に判明した最初の提案額を約2割上回る1株18ドル強、総額7兆円規模とみられる。
- セブン取締役が同社の潜在価値がACTの新提案額よりさらに高いと判断するのであれば、現実に株価を高める措置を速やかに講じ、株主に報いるべきだ。
- 買収防衛の王道は企業価値の向上であることを改めて確認したい。
- セブン&アイは10日、スーパー事業などの非中核事業を売却し、コンビニ事業に集中する戦略を発表した。複数の事業を営むことで全体の企業価値が毀損される「コングロマリット・ディスカウント」が解消されれば、株主の利益にかなう。
- こうした施策をとってもなお株価が十分に上昇しないとすれば、原因の一端は経営力の弱さにあると解されても仕方ない。取締役会は現経営陣が最適の布陣かどうか、監視機能を発揮すべきだ。
- 日本の企業風土に合わないとされていた同意なき買収提案の行方は、日本経済の成熟や開放の度合いを見極める試金石として、国内外から強い関心が寄せられる。
- 取締役会が、資本市場の規律に基づき合理的に判断することを望む。