IT補助金、不正受給横行 検査院が指摘 過大請求・資金還流 30社計1億円返還求める
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20241022&ng=DGKKZO84256740R21C24A0CM0000
【コメント】
  • 補助金は国民の税金が使われているが、こんな不正は大問題。
  • このIT補助金もITベンダーが事務局になり中小企業の申請支援を行なう仕組みになっているがここに問題がある。
  • ITベンダーは原価に加えて基本青天井で利益を上乗せでき、その価格で中小企業へITを販売できる。中小企業は、その水増しされた価格で、販売元であるITベンダーのサポートで補助金を申請し受給している。
  • ITベンダーは、事務局として「高額な価格を自ら妥当と判断」し高い利益率を得、その利益から中小企業へバックマージンを支払っている構図だと思われる。
  • 極端な言い方をすると、この補助金は泥棒と警察の役割がITベンダーに集中しており統制が効きづらい制度に思える。ITベンダーの利益率を更に詳細にチェックすれば、更に不正が検出される気がするがどうか?
  • 政府/官庁はアイデアを出し制度化するのだが運用がザル。民間企業にはガバナンス/内部統制を更に強化しているが、国会議員の裏金も含め、政府/官庁は遅れている。まず「隗より始めよ」と感じる。
【記事概要】
  • 中小企業のIT(情報技術)導入を支援する国の補助金を巡り、会計検査院は21日、1億円超の不正受給が見つかったと明らかにした。補助金を過大請求し、中小企業にソフトウエア会社などから資金が還流した取引が多数見つかった。
  • 2019年度に独立行政法人「中小企業基盤整備機構(中小機構)」の所管事業として始まった。補助金の交付・選定業務は事務局が担う。事務局に登録されたソフトウエア会社やシステム開発会社などのITツールベンダー(販売業者)が、中小企業の補助金申請をサポートするのも制度の特徴だ。

 

  • 検査の結果、ITベンダーが中小企業とともに事務局に虚偽申請するなどしてIT導入補助金を過大に請求し、ITベンダーが紹介料などの名目でキックバックする、といった不正受給が見つかった。
  • ある企業は事務局にIT導入にかかった事業費を1500万円として申請し、920万円の補助金交付を受けた。しかし顧客の紹介料などの名目でITベンダーからも資金を受け取り、事業費は実質ゼロになった上に180万円の「利益」も得ていた。
  • 国は企業の生産性向上のための支援事業を強化しているが、審査の甘さを突かれた不正受給は他の補助金でも確認された。
  • 従業員のリスキリング(学び直し)を実施した企業に支払われる国の「人材開発支援助成金」でも、企業がリスキリングを訓練機関に外注した際、一部費用が実質的にキックバックされていた。検査院は2019~23年度に支給決定した対象の一部を調べ、今月に1億円超の不適切な受給を指摘した。