石破首相、「103万円の壁」引き上げ表明 所信表明演説
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA289LX0Y4A121C2000000/
【コメント】
  • 石破首相が過半数を確保できない少数与党としての政権運営を始めました。
  • 野党の意見を真摯に受け止め反映させていく姿勢を見せた石破首相の所信表明演説でしたが、そもそも国民全体に大きな影響がある政策は、野党の意見を聞いて反映させることが当たり前で、これまでの数の力に頼った自民党の運営が間違っていたのではないかと思う。
  • 物価高などへの一定の対策は必要だとしても、小刻みな給付や補助を不定期にくり返す発想では、政権がめざす高付加価値で成長型の経済には結びつかない。このあたりの効果的な具体策がキチンと打ち出せるかどうかに、石破首相の真価が問われると思う。また、「短時間正社員」ということを強調したようだが、案外良い制度なのかもしれませんがどうでしょうか。
  • それにしても、国民民主党は目立つが、最大野党の立憲民主党のかげが薄いのはどうしてなのだろうか?
【記事概要】
  • 石破茂首相は29日午後の衆参両院の本会議で所信表明演説に臨んだ。所得税の納付が必要になる「年収103万円の壁」の引き上げは「2025年度税制改正で議論し引き上げる」と言明した。22日にまとめた総合経済対策の裏付けとなる24年度補正予算案と政治資金規正法の改正案の早期成立をめざす。
  • 10月の衆院選で自民、公明両党の与党は過半数割れした。野党の協力を得なければ国会では法案が成立しない状況だ。首相は大敗を踏まえ、他党の意見も丁寧に聞くと言及した。「真摯に、そして謙虚に国民の安心と安全を守るべく取り組む」と説明した。首相は①外交・安全保障②日本全体の活力③治安・防災――の3つを重要政策課題に掲げた。その上で政治改革や憲法改正に取り組む考えを表明する。「全ての国民の幸せを実現する」と唱えた。
  • 自公両党は年収103万円の壁の引き上げなど国民民主の政策を受け入れた。
  • 国民民主が求めるガソリン減税についても「自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る」と指摘した。
  • 経済は30年ぶりの高い水準の賃上げと過去最大規模の投資の実現で明るい兆しが出ていると指摘した。「コストカットではなく、付加価値の創出に力点を置いた経営・経済への転換を進めなければならない」と説いた。
  • 地方創生には宮崎県小林市など独自の試みを紹介し「これまでの地方創生の成功事例から学び、我が『まち』を輝かせるため共に取り組んでいく」と述べた。新しい地方創生交付金の倍増を前倒しで措置するとも明かした。
  • 防災に関して、避難所設置の国際基準「スフィア基準」を災害発生後すぐに全ての避難所で満たせるよう事前防災を進める。全国の学校体育館のエアコン整備のペースを「2倍に加速する」と述べた。
  • 闇バイトの犯罪グループの検挙にも取り組む。学校での啓発やSNSでの若者向けの情報発信、インターネット上の闇バイト募集の情報削除などを進める。防犯カメラの整備や防犯パトロール用の「青パト」の活動を支援する方針を示し、「町ぐるみの防犯対策をさらに促進する」と強調した。
  • 政治改革は年内に必要な法整備も含めて結論を示すと宣言する。政党が議員に支出する政策活動費の廃止や政治資金をチェックする第三者機関の設置などの議論を進める。「誠心誠意、尽力していく」との姿勢を見せた。
  • 外交に関して「主張すべきことは主張する。その上で協力できる分野では協力する。それが私の考える国益に基づく現実的外交だ」と唱えた。米国のトランプ次期大統領と率直に議論を交わすことで日米同盟をより強固にすると言及した。