早期退職募集1万人超 上場企業の24年、黒字でも構造改革
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC088LL0Y5A100C2000000/
シニア社員、定年後も輝く 社内研修の講師役■資格取得、会社が支援 中小支える「年の功」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250110&ng=DGKKZO85959000Z00C25A1TB2000
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シニア社員、定年後も輝く 社内研修の講師役■資格取得、会社が支援 中小支える「年の功」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250110&ng=DGKKZO85959000Z00C25A1TB2000
【コメント】
- 「大企業の早期・希望退職募集が増加している」「中小企業のシニア雇用が活発化している」という現代日本の雇用環境を象徴する記事が2本ありましたので取り上げます。
- 大企業は賃上げ圧力が大きく総人件費が膨張傾向にあることを懸念し、業務の効率化などで人員を削減する取り組みを行なっている。
- 一方、中小企業は人口減により働き手が不足してきていることに加え、生き残るためにスキルアップによる差別化が必須。この2点を補うのが、大企業を退職したシニア層の積極採用です。
- シニア層は、若手に比較すると相対的に肉体的な限界はあるが、身につけている経験値は貴重とのことです。ITや若手シニア双方の協力体制を整えることで、シニアの知見を活かし日本全体で中小企業の活性化に繋げていく流れが起こっているとのことです。
- Takeoffer会計事務所でも昨年、70代のIT技術者のかたを採用しており、差別化を図る取り組みを進めています。
【記事概要】
- 2024年の上場企業の早期・希望退職者募集人数が1万人を超えたことがわかった。3年ぶりの1万人超えで、23年比で3.2倍の水準だ。黒字企業でも募集が目立つ。デジタル領域を中心に人材の新陳代謝を進め、収益力向上を急ぐ姿勢が鮮明になっている。
- 東京商工リサーチが集計した。24年の上場企業の早期・希望退職者募集人数は1万9人だった。企業数では前年比39%増の57社に増えた。1社あたりの募集人数は前年比2.3倍の平均175人と規模も拡大した。
- 募集した企業の業績をみると、直近決算期の最終損益が黒字の企業は6割を占めた。過去5年間で最高の割合で、1万5892人を募集した21年は黒字企業の割合が44%だった。24年は好業績でも早期・希望退職を募集する企業が相次いでいることが特徴だ。先手をうって、事業構造改革に取り組んでいることがうかがえる。
- 人手不足もあって、転職市場は活性化している。とりわけAI関連の人材は人気で、リクルートによると23年度のAI関連のエンジニア系職種の求人数は17年度比4.73倍に増えた。AI関連の営業職種なども求人が増えており、知識やスキルを持つ人材への転換が進んでいる。
- 日本経済新聞が24年にまとめた賃金動向調査によると24年度の平均賃上げ率は5.67%。ただ、23年度に比べて人件費総額が増えると回答した企業のうち、増加幅が5%未満とした企業は56%だった。高い賃上げで優秀な人材を好待遇で確保する一方、雇用数を減らして人件費総額を抑制しようとする企業も少なくないと見られる。
- 中堅・中小企業が他社で定年を過ぎたシニアを採用し、その力を最大限引き出そうと職場環境を整えている。肉体的な負担を軽くする一方、資格取得を支援して働く意欲を持ち続けてもらうなど工夫を重ねている。弱みを補い、豊富な経験を生かして業績の向上につなげている。
- シニアの雇用に詳しい浅野浩美・事業創造大学院大学教授は「シニア社員に活躍してもらうには『会社に貢献している』と『何歳でも成長できる』を感じられる職場づくりが大切」と指摘する。