忍び寄る危機に対処せよ
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250125&ng=DGKKZO86296520U5A120C2DTC000

【コメント】

  • 今の日本経済を概括的に解説した記事があったので載せます。短い記事なので是非ご一読を。
  • また、昨日は石破首相が施政方針演説を行いました。「地方創生」に多くの時間をさき、異例の演説を主ないました。
  • その主旨は「令和の日本列島改造」により、下の記事にある「国際競争力の低下」「経済規模の縮小」に歯止めをかけるということでしょう。
  • 具体的には、成長が見込める農林水産業や観光業の資源の多くは地方にありこれを活性化こと。また『新時代のインフラ』を軸として、産業拠点や生活拠点の再配置を促進する」すること。人工知能(AI)社会の進展を見据え、データセンターの設置や半導体製造、電力需要の増加に対応した発電所などを地方中心に設置していく考えと思われます。
  • 与野党で早期に真摯に議論し、具体策の実行を早めて欲しいと真に思います。

 

【記事概要】

21世紀も4分の1が経過しようとしている。この間、日本はどう変化したのか。
新世紀の初頭前後、銀行経営と日本経済が危機に直面したことを契機に、「ゼロ金利」の世界が始まった。ようやくのこと、このゼロ金利は終わったが、では日本は良くなったのか。現実には新旧の課題が山積し、そこから新たな危機が忍び寄ってきた。

第1に国際競争力の低下と円安である。半導体メモリーや家電など、日本の得意分野が次々と消滅した。同時に経済から活気がうせ、資金需要が弱いまま推移し、ゼロ金利が長く続いた。これが昨今の急激な円安の正体である。

第2に経済規模の相対的な縮小だ。少子化問題が深刻化する中、日本の国内総生産(GDP)の成長率は低く、円安も手伝って、GDPの規模(ドルベース)では米中の背中が遠のいた。ドイツにも追いつかれ、インドにも迫られつつある。2000年に世界第5位だった日本の1人当たり国民所得も、23年には第31位にまで後退している。

第3に物価上昇である。日銀が目指していた消費者物価指数の2%上昇が達成されつつある。それにともなって賃金が上昇している。しかし、この物価上昇は理想の姿ではない。すなわち、生産性上昇が賃金を上げ、消費需要が増大し、物価が引き上げられるという好循環型から程遠い。今回の物価上昇の発端は資源価格高や円安にあった。悪い物価上昇の前兆である。

第4に財政赤字だ。GDP比でみた国債発行残高が先進国の中で圧倒的に高いにもかかわらず、財政規律の弛緩(しかん)を是正しようとの動きがない。ここ数年の高い税収の伸びが安心感を誘っているのだろうが、ドル換算ではどうなのか。25年度政府予算案での税収をドル換算すると、17年度に比べて1割近く少なく、資源を輸入に頼る日本としては心もとない。
さらに近未来には「金利のある世界」の実現による国債利払いの増大があり、大災害のリスクも高まる。これらは財政への新たな負担となる。

政府として何をすべきか。まずは客観的な視点からの日本社会の評価であり、長期的に対応すべき諸課題と具体的な対応策の抽出である。そのうえで財源や人材の制約を考慮しつつ、優先順位を厳格に設け、諸課題への対応策を発動すべきである。