フジテレビ港社長ら辞任 経営混乱で引責 後任に清水氏
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86346190Y5A120C2MM8000
フジは企業統治の抜本的な見直しを急げ
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86345870X20C25A1EA1000
フジ、春の改編前に収拾難しく 広告見合わせなお
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86345500X20C25A1EA2000
コンプラ部門にトラブル情報共有せず フジ、ガバナンス不全露呈
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86345590X20C25A1EA2000
<識者の見方>世間と感覚にズレ
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86345640X20C25A1EA2000
親会社の責任焦点
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86345670X20C25A1EA2000
フジ謝罪「人権の認識不足」 社員「視聴者納得しない」 社長は23年8月把握、適切な検証行わず 会見に日枝氏の姿なく
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86344230X20C25A1CM0000
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86346190Y5A120C2MM8000
フジは企業統治の抜本的な見直しを急げ
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86345870X20C25A1EA1000
フジ、春の改編前に収拾難しく 広告見合わせなお
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86345500X20C25A1EA2000
コンプラ部門にトラブル情報共有せず フジ、ガバナンス不全露呈
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86345590X20C25A1EA2000
<識者の見方>世間と感覚にズレ
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86345640X20C25A1EA2000
親会社の責任焦点
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86345670X20C25A1EA2000
フジ謝罪「人権の認識不足」 社員「視聴者納得しない」 社長は23年8月把握、適切な検証行わず 会見に日枝氏の姿なく
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250128&ng=DGKKZO86344230X20C25A1CM0000
【コメント】
- 朝刊では、フジ・メディア(HD)関連の記事が7本も掲載されていた。日本の首相交代や米国大統領選挙時に匹敵する大きな扱いです。
- フジ・メディア(HD)は昨日再度の記者会見を開いていましたが、400人を超えるマスコミからの質問を受け、午後4時から翌日2時過ぎまで10時間強の時間を費やしていました。
- 主な質疑のポイントは、「中居氏と女性のトラブルにフジテレビ社員(A氏)が関与していなかったのか」「トラブルを2023年夏に把握していたにも関わらず対応が後手に回った理由」「前回の不出来な記者会見を開催してしまった経緯」「中居氏の件以外に同様な事案はないのか」「取締役相談役の日枝氏が記者会見に出てこない理由」などでした。
- 質疑の中で、多くのマスコミが感じ繰り返し質問していたことは、「会社側は被害者女性のプライバシー保護を盾に、社長をはじめフジテレビの病巣を隠蔽しているのではないか」というところです。
- 本件の発生元はバラエテイ部門で、同部門は視聴率のとれるタレントの出演を確保することが最重要課題です。その課題のためタレント事務所とはかなり頻繁に女子アナを動員し懇親会を開いているようです。港社長は長年このバラエティ部門を差配してきた人物であり、多くのマスコミは、港社長が正規のガバナンス規定に則って処理しなかった疑いを深めています。
- また、被害者個人の特定や被害の実態が推察されることを避けるため、テレビ放映を10分遅れで流し、不適切部分の音声を止める配慮をしていたにも関わらず、出席した役員の答弁には被害内容や個人名が類推できてしまう内容があったことも大きな問題です。
- 今後、第三者委員会で全容が解明されていき、フジ・メディア(HD)の社外取締役や相談役の責任をはじめガバナンス不全が改善されていくと信じますが、本件はフジ・メディア(HD)に限ったことではなく、日本の放送業界全般に関わる問題だというみかたもあります。この機会に時代遅れのマスコミと芸能界の風土を一掃する必要があると感じます。
【記事概要】
- フジ・メディア(HD)は27日、フジテレビジョンの港浩一社長(72)と嘉納修治会長(74)が同日付で辞任したと発表した。元タレントの中居正広さんと女性とのトラブルについて同社の説明が不十分としてCMを差し替える企業が相次ぐなど経営が混乱した責任を取る。フジテレビ社長にはフジ・メディアHDの清水賢治専務(64)が28日付で就く。
- 港氏らフジテレビの一部の幹部は、2023年のトラブル発生の2カ月後に問題を把握しながら、中居さんが出演する番組の放送を続けた。今月17日の記者会見ではテレビカメラを入れないなど制限したうえ、回答を避ける場面が目立ち、批判が集まっていた。経営陣の責任を問う声が社内外から出ていた。
- 問題の発覚後、多くの批判を通じて浮かび上がったのは、フジ・メディアHDの企業統治(コーポレートガバナンス)の弱さだ。会長と社長の引責辞任だけでは、信頼の回復には遠い。フジ・メディアHDとフジテレビは、取締役会の改革を含む抜本的なガバナンスの見直しを急ぐ必要がある。
- 港社長らだけでなく、スポンサーや社員などから批判を浴びているのが、大きな影響力を持つとされる日枝久氏だ。1983年にフジテレビの取締役に就任し、社長、会長を歴任した後、2017年からはフジ・メディアHDの取締役相談役を務める。相談役という存在は、かねて外国人投資家などが日本企業の不透明なガバナンスの象徴として批判してきた。
- フジ・メディアHDの経営を外部の目で監督すべき社外取締役も、独立性の面でおおいに疑問符がつく。グループ企業や許認可の権限を持つ総務省などと、深い関わりを持つ人物が含まれているからだ。
- フジ・メディアHD株を1%超保有する英投資家が同社取締役会を「居心地の良いクラブのようなもの」と批判し、メンバー入れ替えを訴えたのもうなずける。
- 会見では第三者委の調査結果を待って、港氏らのほかの常勤役員も責任をとるとの認識が示された。あわせて独立性の高い後任を探すことも急ぐ必要がある。
- 問題発覚後の対応のまずさもあり、フジテレビはスポンサー企業のCM差し止めが相次いでいる。23日に開かれた社内の説明会では、多くの社員が会社の将来への不安を口にした。
- 社内外の信頼を回復し、メディアとしての責任を果たすためにも、徹底した調査はもちろん、聖域を設けない企業統治改革を進める必要がある。
- 2024年12月の問題発覚後、対応は後手に回った。広告主や株主からの圧力も日に日に増し、広告営業は事実上ストップした。追い込まれた末の経営刷新だが、事態の収拾は見通せない。
- 経営混乱の背景には後手に回ったフジテレビの対応がある。
- フジテレビが当初、日本弁護士連合会のガイドラインに準拠した独立性の高い第三者委員会の設置について明言しなかったことも同社への不信を増幅させる結果となった。
- 広告主は雪崩を打ったようにフジテレビでのCMを差し止めた。同社は1月にACジャパンに差し替えた分は広告料金を請求しないことを決めた。24年3月期のCM収入は1473億円で、月間平均で約122億円となる。
- 株主からもコーポレートガバナンス(企業統治)の欠陥を指摘する声が相次ぐ。アクティビスト(物言う株主)として知られる米ダルトン・インベストメンツは「真相隠蔽」と強く批判した。
- 27日の記者会見では、フジテレビがトラブルを把握した当初、コンプライアンス(法令順守)の担当部署と情報を共有していなかったことも明らかになった。同社の企業統治(コーポレートガバナンス)の不全ぶりが浮き彫りになった形だ。
- 一連の対応は世間の感覚との大きなズレを映し出した。テレビの成長が著しかった1980年代頃までは男性同士の絆に重きを置くような価値観が浸透していた。その頃の成功体験がおごりにつながり、人権尊重やコンプライアンス意識が高まる時代の変化に経営陣が鈍感だったようにみえる。
- 疑念の目は業界全体にも向けられている。各社が危機意識をもち、徹底した調査や企業文化の見直しに取り組むことが大切だ。
- 親会社の体制・監督責任も焦点のひとつとなる。相談役の日枝久氏をはじめ取締役をフジ・メディアHDとフジで兼任している幹部が多い。こうした体制は異論を唱えづらく、一部の限られた人の意思決定で物事が進みやすい。グループ会社を監督する機能についての検証も必要だ。
- バラエティー番組制作に携わる20代の女性社員は、タレントの出演拒否や企画の延期が相次ぎ「若手が関係先に頭を下げて回る悲惨な状態」と明かす。「会見内容を聞いても風土が改まるとは思えない。社長らの辞任だけで崩れた信頼は取り戻せない」と憤る。
- 石破茂首相は27日の衆院本会議で、一連の問題に関し「日本民間放送連盟の取り組みを注視していく」と述べた。放送法における行政権限は番組の内容に関するものに限られる。総務省幹部は「テレビ局の経営は自主自律が原則で、今回のようなガバナンス問題では動けない」と話すものの、世論の関心が高まり同省としても対応を迫られた。今後は再発防止策の策定や徹底などを求める行政指導が視野に入る。現時点で事実関係が明らかになっておらず「行政指導は強制力がないとはいえ民間を萎縮させかねない」(総務省関係者)。調査の進捗などを見守りながら慎重に対応する構えだ。