【コメント】
  • トランプ大統領が、公約通りメキシコ、カナダ、中国への関税強化を4日から実施します。関税に限らず具体的政策をどんどん打ち出しています。
  • 対照的なのは石破総理大臣です。『楽しい日本』『地方創生2.0』『令和の日本列島改造』などキャッチフレーズは語るんですが、えっ!と驚く具体策と実行のマイルストンがほとんどと言っていいほど示されていません。「アイデアは地方や民間から募る」とのことですが非常に無責任に響きます。総裁選で熱っぽく語っていた公約はどこに行ったのでしょうか?
  • 野党各党も目先の国民の人気取りに狙いを定めた提案しかしていないように見えます。唯一立憲民主党は、プライマリーバランスを意識した提言をしようと努力をしているようには見えますが。
  • 記事にあるように過去、当時の小泉純一郎首相や野田佳彦首相は「目先の人気取りや政党の安全運転」に固執することなく、長期目線で政治生命を賭けた具体的提案を行い実行に結びつけていました。
  • 日本は当時より更に危機的状況にあります。人口減少と経済力の低下に歯止めをかける具体策を実施する最後のチャンスと感じます。国会議員全員、しっかりして欲しいと強く思います。
【記事概要】
  • 若い頃の発言と、組織の幹部になった後の行動が食い違う人は多い。本人は「成長」だと思っても、周りには「変節」に映る。政治家の場合、妥協の技は敵を減らして出世する近道になる。どの世界も変わり種はいる。
  • 記憶に残るのは2005年8月、郵政民営化を実現するため衆院解散を覚悟した小泉純一郎首相と、それを何とか止めようとした森喜朗前首相の激しいやりとりだ。
  • 森氏「党も国民も心配している。この時期に選挙をしてどういう意義があるのか」
  • 小泉氏「信念だ。殺されてもいい。それくらいの気構えでやっている。俺は非情だ」
  • 森氏は「君は変人以上だ」と言い残して席を立ち、小泉氏はその翌々日に郵政解散を断行。政権の安定より信念を貫く姿勢は政界では異端だったが、有権者の強い支持で民営化はなし遂げられた。
  • いまも「野党転落のA級戦犯だ」と陰口を言われる野田佳彦元首相も、国会議員の「希少種」に入る。
  • 旧民主党が野党だった頃に何度か話を聞いた。「国民の将来不安をなくすには、税と社会保障を一体とした改革がいる。政治家が財源論から逃げてはダメだ」。09年に与党の立場になっても考えはぶれなかった。
  • 11年に首相の座に就くと野党だった自民党の谷垣禎一総裁に協力を打診。周囲に「なぜ我々があえて貧乏くじを引くのか」との反発が広がったが、2段階の消費増税を含む旧民主、自民、公明の3党合意にこぎ着けた。
  • 合意実行と引き換えの衆院解散で野党に転じた後、旧民主党内に渦巻く悪評を聞いて本人にこう伝えたことがある。「旧ソ連のゴルバチョフ書記長に似ている。世界の緊張緩和の立役者だけれども、自国では国力低下を招いた国賊のように言われている」
  • 野田氏は苦笑いしつつ、「ここで頓挫すると10~20年チャンスがなくなると危機感を持っていた。党内融和よりは天下国家でいこうと思った」と淡々と振り返った。
  • 長丁場の通常国会が始まった。首相が最優先すべきは、何をしたいのかを国民に示して支持を得ることだろう。初めての施政方針演説で、首相は全体の3割を地方創生に割いた。就任直後に比べれば石破カラーは出てきたが、多くのキャッチフレーズは胸にいまひとつ響かない。なぜか。政権目標は詰まるところ次の言葉に集約される。
  • 「『楽しい日本』を実現するための政策の核心は『地方創生2.0』です。これを『令和の日本列島改造』として強力に進めます」列島改造は5本柱で、(1)若者や女性にも選ばれる地方(2)産官学の地方移転と創生(3)地方イノベーション創生構想(4)新時代のインフラ整備(5)広域リージョン連携――と続く。では、その5本柱はどうやって実現するのか。
  • きらびやかな人形を次々に開けても中身が出てこないマトリョーシカのようだ。アイデアは地方や民間から募るそうで、「楽しい日本」への道筋が浮かび上がらない。
  • 野田氏は衆院代表質問で挑発気味にエールを送った。「トランプ米大統領は選挙中に言ったことをどんどん実施しようとしている。首相もたまには総裁選で言ったことの実現に一歩踏み出してはどうか」。首相は特に反応せず、答弁書を読み上げる安全運転のスタイルを保った。
  • 人口減や経済力低下という国家的な課題は明確だ。一方で各党の長期的な国家ビジョンはかすんだままだ。反対がほとんど出ない美辞麗句の羅列では、政策効果は限られる。痛みを伴ってでも課題解決に踏み出す勇気が各党トップにあるだろうか。まず範を示すべきは首相である。昨年春に自民党総裁選への5度目の出馬の有無を尋ねたとき、石破氏は「単に首相になりたい、なりたいでは迷惑な話。なってこの国をどうするかだ」と答えた。熱っぽく語ってきた人口減への歯止め、有事や災害対応にも資する一極集中の是正、社会保障制度の抜本改革への信念はあるのか。熱意を証明する猶予は夏の参院選まで長くて半年だ。