米関税、市場の「楽観」突く アジア株、軒並み安 世界景気の拡大期待に影
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250204&ng=DGKKZO86502570U5A200C2EA2000
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【コメント】
- 昨日、日経平均は大幅な下落に見舞われました。米国の高関税政策が実施されたことが理由です。
- メキシコやカナダに生産拠点をもつ自動車会社株や、中国売上比率が高い「iPhone」の部品を供給している日本企業株が大きく下げました。
- トランプ大統領の今後の各国との駆け引き次第によりますが、高関税政策が是正されない限り世界的な経済成長に翳りが見えることは間違いなく、日本株全体は当面下落基調となるかもしれませんが相場は不透明です。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
- トランプ米大統領による公約通りの関税発動は、ビジネス優先の政策運営を続けるとの楽観に傾いていた金融市場に冷や水を浴びせた。カナダやメキシコに生産拠点を持つ自動車メーカーの売りがきつく、東京株式市場では日経平均株価が1000円超下落。売りはアジア全体に波及した。「貿易戦争」が現実味を増し、世界経済の拡大シナリオに影を落とす。日経平均は前週末比1052円下げた。
- トランプ氏はカナダ、メキシコへの25%関税や中国への10%追加関税について「1月20日の就任初日に発動する」とかねて豪語していた。だが株価を大きく下げるような政策は乱発しないとの期待が市場では広がり、「2月初めからの関税発動はない」との見方が優勢だった。特に自由貿易協定を結ぶ北米両国への関税は米国経済への影響も大きく、米ゴールドマン・サックスは1月、「可能性は20%程度」と試算していた。米JPモルガン・チェースも「基本シナリオは(貿易協定や移民問題の)交渉を加速させるための『カード』」として、土壇場での撤回もあり得るとの見方だった。
- はしごを外された市場はドル以外の通貨のろうばい売りで始まった。週明け取引が始まった3日早朝のアジア市場では、前週まで底堅く推移していたカナダドルやメキシコペソが対米ドルで急落。
- 日経平均株価は今年最大の下げを記録し、就任式以降の上げ幅を帳消しにした。
- 東京市場で売られた銘柄を分析すると、いくつかの傾向がみてとれる。まずカナダやメキシコに生産拠点を持つ企業。筆頭が自動車メーカーだ。各社は製造コストを抑えるために米国に隣接し、人件費の安いメキシコでの生産を拡大してきた。台数ベースでメキシコ生産の多い日産自動車は一時10%安に沈み、トヨタ自動車も6%下げた。1.7兆円を投じカナダで電気自動車(EV)の生産拠点を整備するホンダ株も7%下げた。
- 10%の追加関税の対象となる中国の売上高比率が大きい企業にも売りが及んだ。米アップルが中国で生産する「iPhone」シリーズが追加関税の対象となれば、小売価格の値上げを通じて需要が鈍る可能性がある。iPhone向けに電子部品を供給するTDKや村田製作所株が大きく下げた。
- PGIMジャパンの鴨下健株式運用部長は「追加関税は米国の経済成長率を押し下げる。需要減を通じて日本企業の業績にも悪影響があり、日本株は下値を模索する展開になりそうだ」とみる。
- 規制緩和など親ビジネス的な政策が米国中心に企業収益を押し上げるとの期待が世界株高を正当化してきた。トランプ氏がディールの結果次第で関税を元に戻す可能性は残るが、楽観シナリオは修正を迫られそうだ。