ウクライナに譲歩圧力 トランプ氏「いつかロシア領になるかも」 失地回復は難しく
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250214&ng=DGKKZO86715480U5A210C2EA2000
米国の都合でウクライナの命運決めるな
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250214&ng=DGKKZO86714010T10C25A2EA1000
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250214&ng=DGKKZO86715480U5A210C2EA2000
米国の都合でウクライナの命運決めるな
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250214&ng=DGKKZO86714010T10C25A2EA1000
【コメント】
- 今朝の朝刊は、「日産とホンダの統合交渉打ち切り」と「ロシア/ウクライナ戦争」に多くの誌面を割いていますが、ここでは「ロシア/ウクライナ戦争」の話題を取り上げます。
- トランプ大統領は、プーチン氏とゼレンスキー氏双方と電話会議を行ったとのことです。トランプ大統領は、この戦争開始の張本人であるロシアに圧倒的に有利な条件で停戦をさせようとしているようです。これが現実のものとなれば、「武力による現状変更(侵略)」を容認することになり、重大な前例になりかねないと社説で訴えていますが、その通りと感じます。
- トランプ大統領が停戦に熱心な理由は、①来年11月の中間選挙での支持率確保 ②ノーベル平和賞 です。停戦の調停を行うことは悪いことではありませんが、理由を考えるとどうでしょうか、、、?
- そもそも米国が停戦の仲介をすることに違和感があります。中立的な国際機関があるのですから、いくら大国とはいえ世界の秩序を差配することはどうかと思います。このままこの状況が是認されれば、世界は第二次世界大戦前に逆戻りしてしまうのではないかと感じます。
【記事概要】
- トランプ米大統領が仲介に意欲を示してきたウクライナの停戦交渉が近く始まる見通しになった。トランプ政権内では早くもロシアに配慮した戦争終結案が浮上している。
- 電話協議に先立ちトランプ氏は10日放映のFOXニュースのインタビューでウクライナについて「いつかロシア領になるかもしれないし、ならないかもしれない」と語った。ウクライナの頭越しにロシアと交渉し、ウクライナに厳しい譲歩を突き付ける姿勢がにじむ。約3年にわたるロシアのウクライナへの侵略や残虐行為の責任問題を棚上げし、2024年11月の大統領選で公約した停戦の早期実現を優先しようとしている。
- ロシアは同国への対抗姿勢を崩さない欧州やウクライナを外した協議の道が開かれたと歓迎している。ペスコフ大統領報道官によると、プーチン氏は「(米ロ)両国が協力すべき時が来たという米大統領の主張」を支持する意向を示した。
- トランプ政権内では交渉を始める前の段階からロシアに配慮した戦争終結案が浮上している。
- 訪欧中のヘグセス米国防長官は12日、戦争終結に向けた方針を発表した。(1)ロシアが反対してきたウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟の断念(2)停戦ラインへの米軍抜きの欧州平和維持部隊の配備(3)ウクライナによる領土面の譲歩(4)欧州によるウクライナ防衛の枠組みの構築――が柱となる。いずれも将来の再侵略を抑止するための米国の関与を求めてきたゼレンスキー氏が反対する内容だが、トランプ政権には同氏への配慮はみられない。ヘグセス氏はウクライナの全土奪回について「非現実的な目標だ」と明言した。こうしたロシアに融和的な戦争終結案が交渉の出発点になれば、さらにウクライナに譲歩を求める圧力が高まることも想定される。
- バイデン前米大統領はロシアの侵略を「第2次世界大戦後に築いてきたルールに基づく国際秩序への直接的な挑戦」と糾弾していた。ロシアの横暴を許す結果になれば、「力による現状変更」を辞さない中国の軍事的な脅威にさらされるアジア諸国にも影響が及ぶ。
- 交渉を急ぐトランプ氏の視線の先には当面の政治日程がある。公約を達成できなければ次の大型選挙となる26年11月の中間選挙に跳ね返る。一方、交渉を焦るほどロシアに足元を見透かされ、譲歩を迫られかねない。トランプ氏のディール(取引)外交は早くも難路にさしかかっている。