GDPが初の600兆円超え 昨年名目、設備投資けん引  実質は0.1%増 物価上昇、消費は伸び悩み
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250218&ng=DGKKZO86793870Y5A210C2MM8000
【コメント】
  • 名目の国内総生産が24年度に初めて600兆円を超え過去最高を記録ました。企業のDX関連の設備投資や大型補正予算による国の歳出などが増加したことが主因で、個人消費は先行きの不透明さを受け低調なようです。
  • インフレによる名目金額の嵩上げがあり、実質のGDPは対23年度でわずか0.1%増のようです。価格が上がって名目値は増えていますが、数量の増加が伴っていないということです。
  • 日本のGDPは、ドイツに抜かれ世界第4位に転落した状態です。1位のアメリカは約7倍、2位の中国は約4倍です。また一人当たりGDPは経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中20位以下になっています、これはジミ計数(所得の分布の均等度合いを示す指標)がアメリカに次いで高い(国民の所得格差が大きい)という結果と思われます。
  • 日本は、成長を追求していくことはもちろんですが、中小企業までも含めた賃上げなどの分配の方法も更に改善していく必要があります。そのためには、大企業が中小の協力企業の価値を評価し仕入れ価格を適切に上げるなどが必須と思われます。
【記事概要】
  • 名目GDP(国内総生産)が節目となる600兆円を初めて突破した。内閣府が17日公表した2024年の速報値は前年比2.9%増の609兆2887億円となり、過去最高になった。物価の上昇とともに、企業が設備投資に前向きとなった。個人消費の先行きには不安が残り、政府が目指す成長型経済への移行は道半ばだ。
  • 名目GDPはモノやサービスの価格変動を含めた指標で、国・地域の経済活動の大きさを示す。名目GDPから物価の影響を割り引くと実質GDPになる。企業業績や給与、株価は名目値で生活実感に近い。
  • 日本の名目GDPは1973年に初めて100兆円を超え、92年に500兆円を上回るまで約5年ごとに100兆円ずつ増加した。バブル経済の崩壊を経て90年代以降は伸び率が鈍化。リーマン・ショック後の2009年や東日本大震災のあった11年には500兆円を割り込むまで落ち込んだ。
  • 今回けん引役となったのは、個人消費に次ぐ民需の柱である設備投資の拡大だ。設備投資は名目で前年比4.6%増の105兆円で、2年連続で100兆円を超えた。GDPが500兆円を回復した12年と比べ38.9%増えた。国内で新工場の建設といった半導体関連の投資が活発になった。人手不足に対応するための、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連などの投資も堅調だった。
  • 足元ではインフレによる押し上げ効果も大きい。物価変動の影響を除いた24年の実質GDPは557兆円となり、伸び率も前年比0.1%増にとどまった。GDPの半分以上を占める個人消費も24年には名目で329兆円で12年の288兆円と比べ14.1%増えたが、実質では0.6%増とほとんど横ばいだ。様々なモノやサービスが値上がりし、名目の購入額が増えても家計が実際に購入する数量を増やせていない状況が浮かぶ。企業は賃上げを進めているが、物価高で家計の購買力は低下している。
  • 近年では例年大型の補正予算が編成されるようになり、国の歳出が増加傾向にあることも名目GDPの増加に寄与した。24年の政府支出は12年比25.7%増の125兆円、公共投資は27.3%増の31兆円だった。