なぜ企業は自民党に献金するのか 献金上位10社に聞いた
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC05AQ10V00C25A3000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC05AQ10V00C25A3000000/
【コメント】
- 今朝、企業献金の問題で日経ビジネスが調査した記事が掲載されていました。
- 記事によると、企業が自民党だけに献金する理由を聞くと質問に明確に答えられる企業はなかったとのことです。
- また株主利益との利益相反懸念がないのかを尋ねると、これも明確な回答がなかったようです。
- NTTを取り上げていますが、政治資金規正法では政府出資企業の企業献金は禁止されておりNTT本体は献金を行なっていません。しかし連結対象会社であるNTTドコモとNTTデータは国政協(自民党)に献金しているそうです。自民党のみに献金をしていることもさることながら、献金そのものが違法ではという疑問を感じますね。
- 「政治献金については、表示科目や表示区分について会計上の明示的なルールはなく、営業外費用に計上するか販売費及び一般管理費に計上するかは、経営者の裁量に委ねられている。」とのことですが、献金が営業に資するということならば賄賂になるので、明らかに営業外への形状が妥当ではないかと感じます。
- やはり企業の政治献金問題は徹底的に議論する必要がありそうです。
【記事概要】
- 企業が政策面で自社の利益を誘導させるために献金を行えば、それは賄賂になりかねない。従って献金を行う企業には、直接的に最終利益につながらない献金を行うしかるべき理由があるはずだ。
- 株主への説明責任が求められる企業統治(ガバナンス)の中で、企業は政治献金についてどう整理しているのか。日経ビジネスは献金額の多い企業にアンケートを実施した。
- 2024年公表の国政協(自民党)への献金額上位10社に対し、これらの企業に対して政治献金への認識を問い合わせた。質問は5点。
(1)なぜ自民党の政治資金団体に献金を行うのか
(2)政治資金パーティー券の購入を行っている場合の目的や過去の明細
(3)パーティー券の明細を開示しない場合、その理由
(4)株主利益との相反についての考え方
(5)取締役会で献金を決議するかどうか。特定政党に献金集中
(2)政治資金パーティー券の購入を行っている場合の目的や過去の明細
(3)パーティー券の明細を開示しない場合、その理由
(4)株主利益との相反についての考え方
(5)取締役会で献金を決議するかどうか。特定政党に献金集中
- 「自民党の政治資金団体『だけ』に献金する理由を教えてください」と質問していた。だが、この質問に正対して答えた企業はほとんどなかった。
- 例外的な存在は、「経団連の自由民主党を中心とする与党の政策(取り組み・実績ならびに課題)の評価と主な野党についてもどのような政策を主張しているかの検証を実施し、これを踏まえて寄付を行っている」と回答した。経団連の政策評価を踏まえて自民党を献金先として選んでいると説明。
株主利益との利益相反懸念
- 「各種寄付を通じて社会が発展することにより健全な資本市場や金融業界が育まれ、株主の利益につながると考えている」
- 取締役会の決議を経て企業献金を実施しているかという質問に対しても、ほとんどの企業が明確な回答を控えた。
- NTT子会社が献金の是非
- 24年の官報によれば、NTTドコモは1200万円、NTTデータは750万円を国政協に献金している。両社の親会社であるNTTの大株主は財務大臣で3分の1の株式を保有する。
- 政治資金規正法では政府出資企業の企業献金は禁止されており、NTT本体は自民党への献金をしていない。だが、総務省によると子会社を設立するなど別法人格からの献金であれば、一般論として政治資金規正法に抵触しない。上脇教授は、「現行の政治資金規正法はこのように、簡単に骨抜きにできる」と指摘する。
- なぜ自民党(国政協)への献金なのか。NTTは各子会社の判断とした上で、「NTTグループとしては電気通信事業法をはじめとした関係法令の制改定はもとより、ICT(情報通信技術)の利活用組織といった各種政策の影響を受けることから、政策ないし政治と一切関わりを持たないことは困難である一方、事業の公共性等に鑑み、政治的中立の立場を保持するとのスタンスであり特定の政党を支持するものではない」と回答。NTTデータとNTTドコモに献金目的を問い合わせたところ、「企業の社会的役割の一環」などと答えた。
- NTTの株主の財務省は、「NTTの監督については、NTT法に基づき総務大臣が行っているため、個別の案件につきましては、総務省にお尋ねください」とした。総務省でNTTの政策を担う総合通信基盤局事業政策課は「NTTグループの企業献金が政治資金規正法に基づいているかは担当ではないので、コメントできない」と回答した。
- 企業献金を巡っては、企業側のルールも曖昧な点がある。EY新日本監査法人によれば「政治献金については、表示科目や表示区分について会計上の明示的なルールはない」という。営業外費用に計上するか販売費及び一般管理費に計上するかは、経営者の裁量に委ねられている。
- 日本の政治にかかるお金を、企業はこれまで一定の割合で負担してきた。ただ、自民党の政治資金問題を機に、その曖昧性に厳しい視線が向けられるようになってきている。
- 企業だけでなく業界団体や労働組合などの団体や個人も含めて、日本の政治のコストを誰がどう負担していくべきなのか。その議論の上で、企業には、ガバナンスの観点から政治献金の意義をきちんと位置付けることが求められる。