夫婦別姓、悲痛なホンネ 「上下関係」「嫁ぎ先の所有物」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA115980R10C25A3000000/?type=my#AAAUAgAAMA
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA115980R10C25A3000000/?type=my#AAAUAgAAMA
【コメント】
- 選択的夫婦別姓の記事が掲載されている。
- 記事の趣旨は「30年も議論を重ねており、もうそろそろ決議を!」というものです。
- 推進派、慎重派ともにそれぞれの意見はもっともとは思われます。
- 結婚した夫婦の90%以上が夫の姓を選択する中での女性の声は納得です。もし姓の選択が50%だったら男性にも同意見が出たと推測できます。なぜ「妻が夫の氏を称することが慣習化していった」のか理由は不明ですが、この慣習化にも女性の意見の根源的理由がある気がします。
- 日本の戸籍制度は世界的にみてもとても優れたものですが、一方で日本だけが婚姻の際に夫婦のどちらかに改姓を強いる唯一の国です。慎重派が危惧する戸籍制度の崩壊ですが、選択的夫婦別姓にしたところで戸籍制度が崩壊することはまず考えられません。
- 「選択的」なのですから夫婦それぞれの価値観で選択すれば良い話を、なぜ国会議員は30年もかけて議論しているのか意味不明です。もっと他に議論すべきことが山積していると思います。そもそも日本は議員定数が多すぎるので、さっさと決めずいつまでも議論し忙しいフリをしていると思わざるを得なくなります。
- 財政赤字を減らすため、選択的夫婦別姓はさっさと法案通過させ、議員定数縮減法案を提出/決議して欲しいと感じます。
【記事概要】
- 選択的夫婦別姓を巡り、推進派と慎重派それぞれから発信が相次ぐ。推進派が別姓を求める背景に生活上の不便にとどまらない悲痛な叫びがある。日本がかつて夫婦別姓だった歴史も振り返りつつ、慎重派が守りたいものも探った。
- 「会場を見渡すと圧倒的に男性だ。自身が姓を変更することを自分事として想像していただきたい」――。9日の自民党大会で、選択的夫婦別姓の法制化を求めたのは連合の芳野友子会長だった。
- 「免許証や銀行口座の改姓手続きが面倒」といった生活や仕事の場面での不都合から夫婦別姓を求める意見があることは知られる。経団連もビジネスの現場で女性の活躍を阻害する一因になっていると指摘する。
- 日本で結婚した夫婦の9割超が夫の姓を選ぶ。
- 芳野氏が指摘したような男性は想像しづらい女性の声が相次いだ。
- 一例として「夫婦であってもヒエラルキーが生じる」(20代女性)など夫婦間で上下関係が生じるという意見が目を引いた。
- 「嫁ぎ先で『○○の家に入ったのだから』と所有物のように扱われたくない」(50代女性)、「親戚に旧姓を名乗ったところ『あなたはもう○○ですよ』と言われ傷ついた」(20代女性)などホームドラマを思わせる意見や例もあった。
- 「珍しい姓を残したい」(50代女性)、「古い友人に見つけてもらえにくい。古い友人を見つけにくい」(40代女性)といったこともなかなか想像するのは難しい。
慎重派、歴史や文化を根拠に
- 慎重派は父母のいずれかと子で姓が異なることが「家族の一体感」を阻害すると懸念する。日経の調査で「歴史」や「文化」を根拠とする反対理由も目立つ。「日本古来からの家文化がなくなる」(50代男性)というものだった。
- 明治政府は国民皆兵を進めるうえで、氏がなければ兵籍を作るのに支障をきたすと考えた。75年に太政官布告で義務化する。庶民が氏を使いはじめると、婚姻後の夫婦の氏をめぐる問題が各地ででた。政府は76年に太政官指令で「夫婦別氏制」を導入することで対応する。明治時代は一時期、夫婦別姓だった。
- ただ法務省によると「妻が夫の氏を称することが慣習化していった」という。実態として別姓と同姓が混在した。98年に旧民法が成立し夫婦同氏制に落ち着いた。
- 反対論で「戸籍制度の崩壊」(50代男性)など戸籍制度に触れる声も相次いだ。政府の審議会の答申を挙げて「戸籍制度はなくならない。別姓夫婦とその子どもについて一つの戸籍に在籍することが前提とされる」と説明する。
自民党支持層も6割賛成 小泉氏、党議拘束なし主張
- 日本経済新聞社とテレビ東京の2024年7月の世論調査で、選択的夫婦別姓の導入への賛成は69%だった。自民党の支持層も6割ほどが賛成する。世論調査で容認論が多数でも、現実の国会で議論が進まない。賛否ではっきり分かれる自民党のほか、日本維新の会や国民民主党のなかでも導入に慎重な考えを持つ議員もいる。同じ与党でも公明党は選択的夫婦別姓の推進の立場に立つ。立憲民主党や共産党も賛成だ。
- 自民党の小泉進次郎前選挙対策委員長は「一人一人の価値観に委ねるべきではないか」、古川禎久元法相も「人それぞれの価値観に根ざした問題だ」と党議拘束を外すほうが望ましいとの考えを示す。過去に党議拘束を外して法案の議決に臨んだ例はある。1997年の臓器移植法案の採決時、自民党は自主投票にした。2016年のカジノを中心とする統合型リゾート(IR)整備推進法案の修正案を参院本会議で議決した際、公明党は党議拘束を設けなかった。代表だった山口那津男氏らは反対した。いずれの法案も成立したがそれぞれの党で賛否が分かれた。
記者の目 30年近い膠着の打開を
- 諸外国で選択的夫婦別姓が普及している。法務省によると、日本だけが婚姻の際に夫婦のどちらかに改姓を強いる唯一の国だ。
- 選択的夫婦別姓は選択肢を増やす制度だ。連合の芳野友子会長は自民党大会で「希望する人が別姓を選択できる制度で、強制する制度ではない。逆に夫婦同姓を望む人たちを排除する制度でもない」と訴えた。
- 法制審議会が1996年に導入を提言してから30年近くがたつ。家族観がかかわる政策は合意を得るのが難しい。自民党などは党内で意見集約が難しければ、党議拘束を外し議員個人の判断に委ねるのも一案ではないか。30年間の決められない状態に終止符を打つべきだ。