トランプ関税、日米欧株500兆円消失 コロナ以来の衝撃
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN03EMW0T00C25A4000000/
【コメント】
  • トランプ関税により世界の企業価値が一瞬にして吹き飛びました。コロナ以来の減少額とのことです。
  • 昨年8月に株式の暴落がありましたが、実態が不透明な感覚的な下落(調整)であったため数日で反転しましたが、今回の下落は実体経済に大きな悪影響を与えることが確実なため長期化しそうな様相を呈しています。米国を始め各国の経済が打撃を受けるとの見立てで株価は暴落し始め、昨晩も米国株は大きく下げています。今日の日本株も更に下げを継続するかもしれません。
  • またドル円も下落(円高)しています。相互関税により米国経済の痛みが大きいとの見立てからドルが弱ぶくみで推移しています。ただ関税回避のため、もし日本企業が米国での現地生産投資を実施すると、投資によるドル買い円売りが発生し、同時に輸出が減少しますので輸出に伴うドル売り円買いが減少することにより、今後再びドル高円安に向かう可能性もあります。
  • 株式市場から逃避したマネーは債券や金に向かっているようです。
  • 日本人の多くは新NISAで世界株や米国株の投資信託を購入し始めていると思われますが、個人的には超長期で見れば再度上昇トレンドに入ると思います。今後も株式の下落は続くと思われますが安値圏は絶好の買い場と捉えるという考え方もあります(投資は自己責任で!)
【記事概要】
  • トランプ米政権による世界を標的とした相互関税の発表を受け、世界同時株安が進んでいる。日米欧では時価総額が約500兆円が1日で消失。減少額は新型コロナウイルス感染が拡大した2020年3月以来の大きさだ。貿易不均衡の是正を意図した施策は自国や同盟国の経済を傷つけ、世界不況のリスクを高める。先の見えぬ貿易戦争に市場参加者はおののく。
  • 相互関税発表を契機に株安の衝撃は世界を一周した。日経平均株価は3%弱下落するなどアジア市場はほぼ全面安。欧州の主要600社の株価動向を映すストックス600は3%安となり、欧州各国の指数も軒並み安かった。米国ではダウ工業株30種平均が前日比1679ドル(4%)安に沈んだ。
  • QUICK・ファクトセットのデータをもとに推計すると、3日だけで日米欧の上場企業の時価総額は約3兆5000億ドル(約510兆円)も吹き飛んだ。20年3月16日(同4兆ドル)以来、約5年ぶりの大きさだ。当時はパンデミックによる経済活動の急ブレーキに市場が身構えたが、今回は人為的な経済への打撃が株価を押し下げた。
世界同時不況のリスク
  • 「米国主導の世界不況のリスクがかなり高まった」。英調査会社BMIは、関税発動に伴うコストが米国の消費者に転嫁されれば米国の国内総生産(GDP)の2〜2.5%相当の税負担と同じインパクトを持ち、米国そして世界の経済収縮を招きうると分析した。国境をまたぐサプライチェーン(供給網)を構築してきたグローバル企業は見直しを迫られる。
  • ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は6%安となり、約8カ月ぶり安値を付けた。
米国の中小型株が「弱気相場」入り
  • 輸入品価格の上昇は、主に米国で事業展開する米中堅企業にも大きな痛手だ。中小型株指数のラッセル2000株価指数は7%も急落し、24年11月に付けた高値からの下落率は2割を突破して「弱気相場」入りした。中長期の株価低迷を示唆するサインだ。
  • 記者団から株価急落について問われたトランプ氏は3日、「株式相場はいずれ沸き、米国は繁栄する」と懸念を一蹴した。
  • 景気後退が迫ればトランプ氏の強硬姿勢は軟化するとの期待感は市場に根強い。だが、26年の米中間選挙を見据えると「労働組合など激戦州の有権者から関税に強い支持がある限り、通商政策の方針を変えないのではないか」と指摘する。
  • 今後の通商交渉の行方も投資家心理を不安にさせる。株式相場の水準が切り下がって値ごろ感が出ても、通商交渉の曲折が想定される中では積極的に買い向かいにくい。「交渉の余地はあるが、25年末までは関税率が高止まりする」と予測し、「米国の景気後退の可能性はさらに大きくなりそうだ」とみる。ティー・ロウのマレー氏も「今後数カ月間で交渉がまとまると期待するのは希望的観測にすぎない」と話す。