住民税は1年間の所得に対して計算され、翌年6月から納付が必要となります。たとえば令和6年1月1日~令和6年12月31日の所得については、令和7年6月から納付が開始されます。
では住民税は、どのように計算され、どのように納付するのでしょうか?実は、納付方法はいくつかあります。

そこで今回は、住民税の仕組みと納付方法について詳しく説明したいと思います!
※税率や控除額はすべて令和6年時点のものです。

【住民税の計算方法】

住民税とは、都道府県や市区町村に納める税金のことをいいます。その人の所得や、住んでいる場所によって金額がそれぞれ異なります。
それでは、具体例をみながら住民税の理解を深めていきましょう。
※計算簡便化のため、定額減税は考慮外としています。

具体例①:サラリーマンAさん

■東京都千代田区の会社に勤務
■自宅は東京都目黒区
■令和6年の給与(収入)は500万円
■社会保険料70万円
■生命保険や医療費などの所得控除はなし
■独身のため、基礎控除43万円

収入が500万円の場合、給与所得控除額は144万円です。(ご参考:給与所得控除額
よって、Aさんの給与所得は、500万円-144万円=356万円となります。
次に、給与所得から控除できるものを差し引きます。
356万円-70万円-43万円=243万円

住民税は、243万円に対して計算することとなります。
また、住民税は住んでいる場所に納税しますので、Aさんの場合、東京都と目黒区に納めます。東京都の住民税率は以下の通りです。
(ご参考:東京都 個人住民税

都民税4%+区市町村民税6%=10%
均等割 5,000円

調整控除-2,500円(参考:東京都 個人住民税の税額控除

Aさんの場合は、243万円×10%-2,500円+ 5,000円=245,500円がAさんの住民税額となります

具体例②:フリーランスBさん

■自宅は愛知県名古屋市
■令和6年の収入は、事業収入が1,000万円
■青色申告特別控除65万円を適用する
■国民健康保険、国民年金110万円
■生命保険料控除4万円、医療費控除5万円
■扶養には専業主婦の妻と19歳の娘が入っているため、配偶者控除33万円、扶養控除45万
  円、基礎控除43万円が適用される

事業収入などがある場合は、確定申告を行う必要があります。
収入から経費を控除した額が所得となります。

事業収入に対する経費が300万円だとすると、
事業所得は、1,000万円-300万円-65万円=635万円となります。
次に、事業所得から差し引けるものを控除します。
635万円-(110万円+4万円+5万円+33万円+45万円+43万円)=395万円

住民税は395万円に対して計算することとなります。Bさんの場合は、愛知県と名古屋市に納めることとなります。名古屋市の住民税率は以下の通りです。
(ご参考:名古屋市 個人住民税

市民税7.7%+県民税2%=9.7%
均等割 5,300円

調整控除-2,500円
395万円×9.7%-2,500円+5,300円=385,900円(百円未満切捨て)がBさんの住
民税額となります。

【住民税の計算の流れ】

住民税は、翌年の6月から納税が開始されます。では、なぜ翌年の6月からなのでしょうか?
ここでは、住民税がどのような流れで計算されるのかについて説明したいと思います。

住民税は、役所(区役所や市役所)が計算します。住民税が計算される流れは、以下の通りです。

確定申告期限から2〜3ヶ月の間に役所は住民税の計算を行い、所得のある方へ通知を行います。そして6月から納付が始まるという流れになります。

【住民税の納付方法】

それでは、住民税はどのように納付するのでしょうか。【住民税の計算の流れ】で記述した通り、役所は、会社(Aさん)か個人(Bさん)へ決定通知書を発送します。

具体例①:サラリーマンAさん


Aさんの決定通知書は会社へ発送されます。その場合、会社がAさんの給与から住民税を天引きし、Aさんの代わりにAさんの市区町村へ住民税を納めます。これを特別徴収といいます。特別徴収の場合、住民税は12か月に分割されて毎月の給与から天引きされることとなります。

会社の会計処理は、以下の通りとなります。

◆従業員の住民税について
従業員の給与から天引きするので、住民税は、その従業員が負担していることとなります。会社は、従業員から天引き(=預かった)住民税を役所へ納めるだけなので、住民税の負担はありません。

◆役員の住民税について
役員の住民税ですが、法人口座から支払うのか個人口座から支払うのか迷われている経営者の方もいらっしゃるかと思います。
結論としては、どちらの口座で支払っても、個人が負担していることになります。法人口座で支払う場合には、従業員同様、役員報酬から住民税を天引きし、法人口座から住民税を納めます。
一方、個人口座で支払う場合には、役員報酬から住民税を天引きする必要はありません。毎月個人の口座から住民税を納めることとなります。

具体例②:フリーランスBさん

Bさんの決定通知書は、納付書とともにBさん本人に送られますので、Bさん自身が納付期限までに住民税を納めます。これを普通徴収といいます。
普通徴収の場合、支払方法がいくつかありますので、管轄の市区町村のHPでご確認いただければと思います。
(ご参考:目黒区

なお、副業をされているサラリーマンの方で副業が会社にばれたくない場合も、普通徴収を選択することをおすすめします。

参考ブログ:副業ってばれる?ばれる要因は?~副業の進め方~ | Takeoffer会計事務所

【まとめ】

いかがでしたでしょうか。

今回は、住民税の仕組みと納付方法について解説しました。
住民税は特別徴収と普通徴収があり、どちらを選択するかによって納付方法が異なるという点をおさえていただければと思います。

Takeoffer会計事務所では、会計処理から税務相談まで幅広いアドバイスを行っております。
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