減税・現金給付、野党も批判 「ポピュリズム」次世代に負債  自民・立民とも賛否割れ 首相と野田代表、足元に火種
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250415&ng=DGKKZO88042270U5A410C2PD0000

 

【コメント】

  • 参議院選挙を控え、与野党の経済対策議論が際立ってきています。
  • 現在人気絶頂(?)の国民民主党が減税を訴えていることに対し、与党(自民党、公明党)や最大野党の立憲民主党内部で議論が割れているようです。
  • 世論調査によると、一時的な現金給付には批判が大きいようです。日本国民はさすがに常識的な判断をしているように思えます。
  • そこでクローズアップされるのが減税です。現在のインフレによる食料品などの価格上昇に日本国民が耐えられなくなっている状況を踏まえ、特に消費税の減税が有効との議論です。
    与党内には消費税を一度減税すると再度上げることは非常に困難になるとの意見は根強く、今後の赤字国債増発に危機感を持っています。
  • 先般NHKで放映していた財務官僚の国債販売行脚を見ていると、これ以上毎年国債を増発しそれを消化していくことは非常な困難を伴うように感じます。これまでのアベノミクスによる金融緩和政策により、国債は日銀が約半分を保有するに至っています。異常な状況です。今後金融政策正常化により日銀は大量の既発国債を市場で売却していく方針です。市場で既発国債と新発国債が出回れば、長期金利の上昇を招くとともに国債価格の下落が生じます。金利上昇は今後の新発国債の金利コスト負担増となり、ますます日本の財政に懸念が生じます。また既発国債の下落は、国債を保有している金融機関で減損を招き金融機関の業績が著しく悪化する可能性もあります。
  • 今後の財政規律を度外視する日本の国会議員の政策動向には海外の多くの投資家が注目しており、赤字国債を連発する傾向が止まらなければ日本国債の買い手を探すことがいよいよ困難になる可能性があります。
  • 日本国債の格付けは、今やイタリアに次ぐ低位で、韓国よりも低いレベルです。ドイツが現在防衛費の拡大を目途に財政規律を緩めようとしていますが、ドイツ国債は圧倒的に優良債です。混乱の火種を撒き散らしている米国債も優良債です。
  • 今般導入される高校無償化や米国に比して多い国会議員数などなど、、、高市さんが提唱する「賢い政府支出」を早期に実現し、同時に減税も行なっていくことをしていかなければ日本は大変な事態に陥ると感じます。
  • 1980年以降現在まで日本が衰退した根本原因は、日本人の慢心にあると感じます。少し豊かになったからといって努力をすることを遠ざけてしまった我々一般国民に究極的な責任があると思われます。労無くしては富は得られません!

 

【記事概要】

自民、立憲民主両党で夏の参院選に向けた消費税減税や現金給付を批判する声が出始めた。財政規律を考えず将来世代にツケを回す「ポピュリズム(大衆迎合)」に懸念がある。

「ぶれないでください」。立民の枝野幸男最高顧問は10日、国会内で野田氏と会い、党内で勢いづく減税論を受け入れないように求めた。野田氏は首相在任中に消費税増税を柱とする税と社会保障の一体改革をまとめた財政規律論者だ。
枝野氏は12日、さいたま市での講演で消費税減税を「ポピュリズムだ」と断じた。「減税したい人は諦めてもらうか別の党をつくってほしい」と促した。「給付も減税も財源を明確に示さないのは国民生活にマイナスだ。財源は政府が考えろでは無責任を超えている」と訴えた。
自民党内でも閣僚経験者が消費税減税論について「底なしのポピュリズムになってきた」と危機感をあらわにした。

 

共同通信社の12~13日の世論調査によると、所得制限を設けず国民に現金を給付することに関し、反対は55.3%で賛成の37.5%を上回った。
読売新聞の11~13日の調査では一律の現金給付が効果的だと「思わない」が76%に達した。

 

物価高対策としての負担軽減策は与野党問わず浮上している。
与党には参院選で苦戦を予測する焦りがある。野党で支持率が最高の国民民主党は減税を前面に出す。首相周辺によると、参院自民党や公明党は首相に直談判し、減税や給付を働きかけている。
自民党の高市早苗前経済安全保障相は14日、X(旧ツイッター)で「減税」や「賢い政府支出」を唱えた。「景気を押し上げ、むしろ税収は増収になる」と投稿した。立民内も江田憲司元代表代行が会長を務める勉強会が飲食料品の消費税「ゼロ%」の実現を求める。党所属国会議員の3割超が出席している。

 

首相は14日の衆院予算委員会で、物価高対策について実効性や財源のあり方を重視すると説いた。「国民の税金、次の時代の負担ということを等閑視することがあってはならない」と答弁した。
野田氏は14日、消費税の扱いについて「プロセスを経て結論が決まったら従ってもらう政治文化をつくりたい」と記者団に述べた。旧民主党時代に消費増税に反対した小沢一郎氏らが集団離党した反省に言及した。