トランプ関税「90日間」停止、参院選を直撃 早期妥結か時間稼ぎか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA17DFK0X10C25A4000000/
【コメント】
  • 当分の間土日の投稿は中断させていただきますが、もし重要な記事があれば投稿しますのでよろしくお願いします。
  • 今日は朝刊休肝日です。WEB版でも目新しい政治経済記事はありませんが、関税交渉と参議院選挙を絡めた記事がありましたので紹介します。
  • 今開催されている国会の会期は6月22日です。国会が延長されなければ参議院選挙は7月3日告示で20日が投票日となるようです。一方トランプ関税90日間延期の期限は丁度参議院選挙期間中に到来します。
  • 記事に、「農産物の米国からの輸入促進を決めれば自民党の農林水産関係議員にとって不利な選挙戦になる」といった意味の記載がありますが、この関税交渉は参議院選挙と同列に考えるべき問題ではありません。自民党の参院幹事長は、参院選挙を念頭に「懸念している」ようですが、政治家としてあるまじき言動と感じます。
  • 一方、立民の枝野最高顧問は、内閣不信任案提出は「政治空白をつくりかねず無責任極まりない」と表明。自民党を倒すなどという小賢しいことではなく、日本国にとって何がベストなのかを踏まえた発言をしています。
  • 自民党参院幹事長の発言は稚拙極まりなく、自民党の長期低落傾向を表わしています。自民党国会議員は自身の当落よりも、日本国の浮沈を最優先に行動すべきです。
【記事概要】
  • トランプ大統領が相互関税の上乗せ分を停止した90日の期限は夏の参院選の時期に重なる可能性がある。首相は交渉で選挙を意識せざるを得ない。
  • 「90日後はもう選挙中の気がするので懸念している」。自民党の松山政司参院幹事長は17日、国会内で記者団にこう語った。首相は参院選を考慮しながらの対米交渉を余儀なくされる。選挙や政権運営への影響を踏まえて考えられるのは①早期妥結②時間稼ぎ――のシナリオだ。
  • 早期の妥結は参院選前の合意を意味する。日本経済に深刻な影響をもたらし得る相互関税の上乗せ分の発動を阻止できれば、内閣支持率の低迷にあえぐ首相にとって、選挙でこれ以上ないアピール材料にできる。合意の時期を6月22日の国会会期末に近づけられれば、野党の内閣不信任決議案の提出を防げるとの算段も石破政権には働く。
  • 野党第1党の立憲民主党の野田佳彦代表らもトランプ関税は「国難」との認識を共有する。同党の枝野幸男最高顧問は今国会の不信任案の提出を見送るべきだと主張する。「政治空白をつくりかねず無責任極まりない」と話す。
  • 早期妥結のシナリオにはデメリットもある。日本が合意を急ぐ姿勢をあらわにすれば、交渉が米側のペースになる可能性がある。トランプ氏が不満を示す農産物や自動車、安全保障の分野で譲歩を重ねた場合、農業など自民党の支持層が選挙を前に離反するリスクをはらむ。
  • 時間稼ぎのシナリオはどうか。妥結を参院選後に持ち越すスケジュールを想定する。石破政権内には相互関税の上乗せ分の発動を阻止するには、日本側も関税の撤廃や引き下げ、非関税障壁の見直しなど何らかの譲歩が必要との見方が強い。早期の妥結で相互関税の上乗せを防げたとしても、選挙前の安易な妥協は農林水産業者の支持を背景にする自民党の農水関係議員の反発を招く。
  • ある自民党議員は「交渉がある程度進んでいたら90日の期限の延長もあり得る。米側にとっても道筋が見えていれば打ち切るのはもったいない」と期待を寄せる。「日本の政治日程をしっかり米国に伝えなければならない」と強調した。
  • 野党の出方が読めないのも時間稼ぎのデメリットだ。政権が表だって「選挙後に交渉を加速する」とは言えず、野党が会期末に不信任案を出す選択肢をつぶしきれない。
  • 90日間の期限は日米のチキンレースの意味もある。米国が期限内の合意を強く望むなら、ギリギリに大幅に譲歩するかもしれない。トランプ氏は決着時期に関し「慌てていない」と述べた。期限内の合意を求める焦りの裏返しとの見方もできる。
  • 早期、長期化、いずれのシナリオも石破政権が交渉を一定程度、主導できることが前提だ。首相は予測不能のトランプ氏を前にシナリオを描き続けなければならない。