コメ輸入拡大、自民なお抵抗 対米関税交渉で「聖域」扱い 「食料安保」5年別枠予算狙う
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250507&ng=DGKKZO88487480W5A500C2PE8000
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【コメント】
- 日米関税交渉で、米の輸入拡大が日本側の交渉カードの一つに上がっていますが、自民党の農水族議員がこれに強く抵抗しているようです。
- 米の輸入が増えればいづれ日本の米農家が減少し、主食である米を輸入に頼ることになるとのことです。有事の際に日本国内での食料安全保障上問題だという論理です。
- 一方自民党農水族からは、「コメに手をつければ自民党政権が倒れる」との本音も。夏の参院選での改選定数1の選挙区は農業県が多くコメ農家の票が重みを持つそうです。表向きは「自民党政権が倒れる」との主張ですが、農水族議員の「失職を恐れた」個人的エゴにもうつります。
- 米国自動車が日本で売れない理由は、価格よりも何よりも商品に魅力がないからです。裏を返せば、米(コメ)の輸入拡大をはかり、輸入米が日本国民に好評ならば自然と輸入は拡大します。日本が主張している自由貿易体制を体現することになります。
- 輸入米を自由化しても、日本の米が価格面や品質面で優れているならば、自動車と同じように国産米が売れ続けると思います。品質面は既に優れていると思いますが、輸入米に駆逐されないよう更に切磋琢磨する必要があリますが、ポイントは価格面です。価格競争力を維持向上させるためには、大規模化/機械化など農業の抜本的な構造改革を農業経営者自身が更に主体性に取り組んでいくべきと思います。その為に必要な補助金は一定期間増額しても構わないとは思いますが、短期的な農家の家計補填になることは絶対にすべきではありません。ここは農水省の腕の見せどころだと強く感じます。
- 自由貿易主義とは単純です。地球上で魅力ある商品やサービス(品質、価格、ブランドなど)が国の内外を問わず売れるということです。それが地球上の人々の幸福につながるということですが、国家間に利害対立が生じざるを得ない現状を踏まえると、トランプ大統領のMAGA(Make America Great Again)政策もわからなくはありませんね。
【記事概要】
- 自民党が日米関税交渉を巡ってコメの輸入拡大に抵抗を強めている。有事でも国内の生産基盤を守るとうたい、食料安全保障を理由にコメを「聖域」として扱う。通常の農林水産予算とは別に5年計画で食料安保を目的とした予算の確保もめざす。
- 「自動車関税の引き下げのためなどに農林水産品を犠牲にするような交渉方針は断じて受け入れられない」。自民党の食料安全保障強化本部長を務める森山裕幹事長は4月25日、日米交渉を巡る同本部の決議を江藤拓農相に渡した。
- 日本は無関税のミニマムアクセス米として毎年77万トン程度を海外から輸入している。この枠を超える場合は1キログラムあたり341円の高い関税を課している。
- 自民党内の農水族には危機感が高まっている。そのひとりは「コメに手をつければ自民党政権が倒れる」と語る。夏の参院選は改選定数1の選挙区が与野党の勝敗を左右する。こうした1人区は農業県が多く、コメ農家の票が重みを持つ。
- 森山氏は25日、米国産トウモロコシや大豆の輸入拡大を容認する方針を言明した。主食であるコメを死守する姿勢を明確にした。「輸入米が増えれば中長期的に国内農家の経営が悪化し、国内生産が減りかねない」と主張する。
- 森山氏は4月11日、首相官邸を訪れた。新たな食料・農業・農村基本計画を実行するため、石破茂首相に「別枠予算」を求める決議を手渡した。
- 農水省の一般会計の当初予算は例年、2.2兆円ほどになる。これとは別に食料安保のための政策にかかる費用が必要だと説く。生産コストの低減に向けた農地の大区画化やデジタル技術の導入といった農業の構造転換が柱になる。
- トランプ関税で日本は何を守り、何を交渉カードに使うのか。閣僚経験者のひとりは「日本として自動車を最優先で守るのは当然だ。農業を聖域にしてはいけない」と話す。国全体で国益を考えた戦略が迫られている。