FRB議長、経済先行き「さらに不確実に」 利下げは見送り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07C590X00C25A5000000/
【コメント】
  • 米連邦準備理事会(FRB)が日本時間昨夜開催されました。
  • トランプ関税の景気や物価、雇用への影響が非常に不透明とのことで利下げは見送られました。
  • 景況感は確実に悪化しているそうですが、これは単に「感じ」の統計に過ぎないことから、FRBは雇用統計や個人消費の実績データを軸に決定しているようです。これによると雇用も消費もしっかりとしている現状のようです。
  • トランプ大統領はFRB議長を「Mr. too late」と揶揄していますが、大統領としては自身の支持率に影響する「感じ」の方も気にしていて、利下げを促しているように感じます。
  • 実績を確認しての利下げか、予防的利下げか、どちらが正解なのかは将来になってみないとわかりません。ただ、中央銀行の独立性は堅持すべきと思います。これは日銀にも言えることですが。
【記事概要】
  • 米連邦準備理事会(FRB)は7日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決めたトランプ米政権の高関税政策が景気と物価に与える影響を見極めるため、3会合連続で利下げを見送った
  • 3月に開いた前回会合後、米政府が4月2日に大規模な相互関税を公表すると米経済の減速懸念は急速に強まった。声明文は「経済見通しの不確実性がさらに高まった」と強調。失業率とインフレ率について、それぞれ上昇リスクが高まったと指摘した。
  • トランプ米大統領は利下げで景気を下支えするよう圧力をかけるが、FRBのパウエル議長は会合後の記者会見でも「現在の金融政策のスタンスは、潜在的な経済変化に対してタイムリーに対応するのによい位置を保っている」と様子見の姿勢を維持した。パウエル氏は「焦る必要はなく、忍耐強くいられると思う。データを見守るつもりだ」と重ねて早期利下げに慎重な見方を示した。
  • 市場や消費者の景況感は悪化したものの、雇用や消費の実際の動向を示す「ハードデータ」と呼ばれる経済指標はまだ底堅い。4月の雇用統計によると、非農業部門の就業者は前月から17万7000人増えた。個人消費は1〜3月期に前期比年率で1.8%増えた。FOMCは声明文でも現時点の米経済について「堅調なペースで拡大を続けている」との認識を維持した。
  • 利下げを急ぎすぎれば、物価上昇率の高止まりを招くとの懸念もある。関税の引き上げは輸入物価を押し上げるためだ。物価高が長期化して人々がそれに慣れてしまうと、高い物価上昇率が定着してしまう可能性がある。
  • コロナ禍後の歴史的な高インフレも収束しきっていない。FRBが重視する米個人消費支出(PCE)物価指数は、エネルギーと物価を除くコア指数の前年同月比上昇率が3月も2.6%と目標の2%を上回る水準で推移した。
  • 景気が悪化するリスクと物価が高止まりするリスクのどちらが大きくなるか。パウエル氏は「どちらに転ぶかはわからない」と率直に答えた。関税を巡る交渉がどこで決着するのか、それが経済や雇用にどれほどの影響を与えるのかが非常に不透明だと説明した。