【コメント】
- 政治家のカテゴリーと今活躍中の小泉進次郎議員の論評です。面白い。
【記事概要】
- 政治家には2種類いる。そう聞いて浮かぶのはポリティシャン(政治屋)とステーツマン(政治家)だろうか。前者は次の選挙を、後者は次の時代を考えるといわれ、求めるものも権力と理想に区別されたりする。だが単純な二元論では、真の指導者像を見誤るだろう。
- ▼かつての米国は建国の父のようなステーツマンをあまた輩出していた。米国政治の研究者、本間長世さんは、その象徴たるリンカーンについて「彼はまず練達の政治屋だった。そのことが彼に大政治家なることを可能ならしめた」とみた(「リンカーン」)。立派な指導者ほど血みどろの権力闘争は感じさせぬものである。
- ▼小泉進次郎さんは政治家を「戦う政治家」と「戦わない政治家」に分ける。自らは落としどころを探る調整型でなく、抵抗勢力と戦い突破するタイプだとか。戦(いくさ)の第1幕は備蓄米。農協など通常のルートを飛び越え、関係省庁を巻き込んでの緊急対応は、コロナ禍の安倍政権でよくみた光景だ。先達に倣ったのかもしれぬ。
- ▼滑り出しは上々だが、問題は第2幕だ。安定供給には増産や輸入拡大、所得補償といった抜本改革が課題になる。だが改革では先達もあてにならない。安倍政権は、やってる感ばかり。父上の郵政民営化は、今も始末に困っている。戦の上策は戦わずして勝つ。二元論を自ら超えなければ、ステーツマンへの道は拓(ひら)けまい。