忍び寄る格下げリスク 財政棚上げのツケ、企業に
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250613&ng=DGKKZO89332190T10C25A6MM8000
【コメント】
  • 財政支出がこれ以上顕著に拡大すれば、日本国債の格付け低下懸念が拡大します。
  • 昨日の記事にもありましたように、一部の与党議員と野党議員がこぞって参院選挙目当てのバラマキ政策を提言しています。これが顕著に実施となると格下げリスクが高まります。
  • 日本国債の評価がB格(←A格)に下がると、日本企業個社の格付けもつれ下げし資金調達に影響し業績に懸念が出てきます。
  • 加えて、海外の機関投資家の投資規制(投資先はA格以上)により日本企業への投資が減退し株安に直結する懸念があります。
  • これまで長期間A格のメリットを享受してきた日本国民全体にとって、かなり厳しい生活になる予感が、、、。
【記事概要】
  • SNS世論やデモが醸す空気を映すように、参院選を控えた政治の世界では消費税減税の訴えが広がる。食料品に対する8%の税率を引き下げるなどの案がテレビのワイドショーで頻繁に取り上げられる。
  • 「やや規律が失われかけている」。筒井義信経団連会長は経済界の懸念を率直に語る。債務残高は国・地方合わせると国内総生産(GDP)の2倍に届き、主要国で突出して高い。政府は「骨太の方針」の原案で基礎的財政収支の黒字目標を25年度から「25~26年度」へ先送りした。
  • 新型コロナウイルス禍を乗り越えた世界にとって、公的債務の拡大は共通の課題ともいえる。世界の政府債務残高は国際金融協会(IIF)が5月6日公表した報告書によると、3月時点で97.1兆ドル(約1.4京円)とコロナ前から4割増え、過去最大に膨らむ。
  • 財政悪化の先に待ち受けるのは国の信認の低下であり、国債の格下げだ。ムーディーズ・レーティングスは5月に米国債を最上位から格下げした。フィッチ・レーティングスも24年、フランスの格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」へと下げた。
  • 日本は踏みとどまれるのかどうか。S&Pグローバル・レーティングのレイン・イン氏は「財政悪化で政府が経済を支える投資をできなくなれば格付けへの影響が徐々に出てくる」との見方を示す。
  • 問題は日本が格下げされた場合の衝撃の大きさだ。日本国債の格付けはおおむねシングルA。主要7カ国(G7)で下にはイタリアがいるとはいえ、格下げとなればトリプルBへの転落リスクも出てくる。
  • 影響は民間企業にも及ぶからやっかいだ。企業の格付けはその国の格付けを基準に考えられており、仮に日本国債がトリプルBになれば、日本の優良企業の格付けも同様の扱いを受ける恐れがある。
  • 欧米の機関投資家は投資対象をシングルA以上と区切ることも多い。トリプルB扱いになれば、邦銀が海外市場で外貨を調達することが難しくなるといわれている。あるメガバンクの中枢幹部は「格下げされたら海外ではビジネスが成り立たなくなる」と警戒する。
  • 財務相の諮問機関である財政制度等審議会は5月にまとめた意見書に「国債の格下げは決して非現実的な話ではない」と記した。共鳴するように市場で超長期国債の金利が上昇(価格は下落)した。財政を軽く見る報いは重い。