関税、日本の「防衛線」後退 トランプ氏が引き上げ示唆 まず「30~35%」回避狙う 選挙中の譲歩難しく
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250703&ng=DGKKZO89774280T00C25A7EA1000
【コメント】
  • トランプ大統領が脅しをかけてきました!日本が米国の貿易赤字削減に非協力的ならば、これまで24%と言っていた基本関税率を30-35%に引き上げると言及し始めています。
  • 米国側の要求は意外とシンプルだと感じます。コメ、自動車、原油など米国が望む物品を自由に日本に輸出したいということです。
  • では日本側にとってどのような問題があるのか?
  • 自動車は安全基準の問題はありますが、正直例えばウインカーがなぜ黄色ではなく赤ではいけないのか?私にもよくわかりません。この日本の安全基準に適合させるために米国側で余計なコストがかかり日本への輸出が少ないのだと言っています。基本米国の安全基準で日本で販売させてあげれば良いのではないかと感じます。それでも日本人は米国車は買わないとは思いますが、それでトランプ大統領の面子が立つならば、日本車に高関税がかかるよりマシなのではないかと思います。
  • 自動車に関し付言すると、トヨタが巨額の利益を計上し続け悪目立ちしたことも米国に悪印象を与えているのだと感じます。正直トヨタは利益の独り占めの度が過ぎています。「三方よし」の精神がかけているのでしょう。
  • 原油は単純に買えば良いだけと感じます。割高ならば、それは米国側に是正して貰えば良いだけです。
  • 最も懸念すべきはコメでしょうけれど、これも一般消費者である私からすると、どうしてそんなに頑なに米農家を保護する必要があるのか疑問です。日本のコメの品質が優れていれば高い値段で買う消費者はいると思います。安い米で満足する消費者は米国産米を買います。自由主義経済の自然の摂理だと思います。食料安全保障は重要な案件だと思いますが、そうならば日本として米国米に対抗できる安価な生産を如何に実現するかを考える必要があると思います。
  • この関税交渉に対する日本の対応は甘く遅いと感じます。石破首相は「関税より投資」「米国の要求を一方的に飲むことは交渉ではない」などと言っているようですが、トランプ大統領は表向きは交渉の体裁をとっていますが、交渉などする気はないのだと思います。
【記事概要】
  • 日米関税交渉を巡ってトランプ米大統領が1日、日本との合意が難しいとの考えを明らかにした。追加関税率をさらに上げる可能性にも言及した。日本政府は自動車などの分野別関税や相互関税の撤廃を求めてきたが「防衛線」の後退を迫られる。交渉期限が迫るなか税率の大幅引き上げの回避が最優先課題になってきた。
  • 「日本との合意が実現できるか疑わしい」。トランプ氏は1日、大統領専用機内で日本批判を繰り返した。対日相互関税の税率を30%や35%に上げる可能性も示した。元々は基本税率10%と、現在停止中の上乗せ税率14%を合わせた24%だった。
  • トランプ氏の日本批判は、7回目の日米閣僚協議が不調に終わった6月末から始まった。米FOXニュースのインタビューで「『親愛なる日本様、自動車は25%関税』という手紙を出す」と宣言。SNSでも「コメ不足に陥っているのに、米国のコメを受け取ろうとしない」と不満をあらわにした。
  • 米国は当初「日本は列の先頭にいる」(ベッセント米財務長官)とし、早期に成果が出せる交渉相手国の一つと見込んでいた。その見方は「強硬な交渉相手」に変化した。期待した分だけ落胆も大きかったとみられる。
  • 石破茂首相は2日、日本記者クラブ主催の党首討論会で立憲民主党の野田佳彦代表からトランプ氏の発言への対応を問われ「関税より投資だ」と繰り返した。
  • 日本製鉄による米鉄鋼大手のUSスチールの買収事案をあげ「日本は米国における世界最大の投資国で、米国で世界最大の雇用を生み出している。他の国とは訳が違う」とも発言した。
  • 交渉に参加する外務省の幹部は「後回しにされているという感覚はない」と話す。トランプ氏の直近の日本への対応には米国内事情が背景にあるとの指摘もある。
  • ただ、日本の防衛線は後退を迫られる公算が大きい。
  • 日本は4月に交渉入りして以来、米国への投資拡大や経済安全保障分野での協力などをパッケージにして示し、自動車などの分野別関税や相互関税の撤廃を求めてきた。日本政府内には「税率引き下げでもよい」との意見もあったが、相互関税の停止期限が「延長されるだろう」(交渉関係者)との楽観的な見通しが根底にあった。
  • 交渉期限の9日に、30~35%の相互関税が発動しないようにすることが日本の最優先課題となる。外務省幹部は「パッケージの更新はやってきた。これ以上何かを変えて米側が納得するなら既にやっている」と話し、次の一手は難しいとの認識を示す。
  • 交渉担当閣僚の赤沢亮正経済財政・再生相は2日、今後の交渉予定について「必要と判断すれば訪米する可能性はあるが、現時点で決まっていることはない」と述べた。
  • トランプ米政権は分野別関税や10%の基本税率を重視している。ベッセント氏らが交渉の初期段階で日本側に伝えていた。日本側はそれでも撤廃が可能と考え交渉したが、政府関係者によると6月のカナダでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)直前に互いの認識がかみ合っていないことが判明したという。
  • 交渉立て直しのハードルは高そうだ。石破政権の命運を左右しかねない参院選の期間中に相互関税の発動予定日が重なる。農業や自動車などでの譲歩は難しい。石破氏は2日夜、首相官邸で記者団に関税交渉について「どちらかの利益だけが実現するということは交渉ではない」と述べた。
  • 日本政府内では交渉の初期段階で、日本がコメを無関税で輸入する「ミニマムアクセス」の枠内に米国産を特別枠として新設する案が浮上していた。
  • 環太平洋経済連携協定(TPP)では米国から最大7万トンのコメを無関税で輸入する枠を設ける予定だった。米国がTPPから離脱したことで枠の設定は見送られた。
  • 「トランプ氏がやる気のうちに交渉を急ぐべきだ。関心がなくなると後回しにされる」。ある日本政府の交渉関係者は、英国と米国が合意を発表した5月上旬に焦りを口にしていた。苦しい状況を変えるのは容易ではない。