石破ディスカウントの修正、市場が織り込む
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB09D720Z00C25A7000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB09D720Z00C25A7000000/
【コメント】
- 今日は朝刊休刊日ですが、昨日興味深い記事があり、かつそれに関連してyoutubeにもわかりやすい動画があったので貼ります。
- 昨日の日経記事では、「石破首相のマントラ(真言)は財政の健全化と金融政策の正常化」「問題はインフレで家計の実質所得が目減りするなか、政府がインフレ利得をふところにしまい込んできたこと」と言及しています。政策の基本スタンスは正しいのですが、政策が軌道に乗るまで国民に負担がしわ寄せされる、、、これが石破政権が集中砲火を浴びている理由です。
- ではこの状況を踏まえ参院選挙の結果により、特に日本株/為替/金利はどう動くでしょうか?わかりやすく解説した動画がありましたので、暇な時にご覧ください(忙しい方は12分経過くらいから)。https://youtu.be/CZFWlqYlRao
- 簡単に結論だけを記載すると、 自公が過半数維持=利上げ、円高、株高 自公立連立=利上げ、円高、株安 自公維(国)連立=利下げ、円安、株高 野党連合政権=利下げ、円安、株安 だそうです。
- さてこれを読んで皆さんはどう投票されますか?
【記事概要】
- 25%のトランプ関税の通告、参院選で与党に強まる逆風、選挙後に一層弱まりそうな政権基盤。本来なら売り材料であるはずなのに、日本株は比較的底堅く推移している。もともと市場とは距離のあった石破茂政権の幕引きを織り込みだしているのだろうか。
- 財政・金融政策の引き締めを良しとする政策運営。それが昨年10月に発足した石破政権の基本だった。日銀の利上げはおっかなびっくりだし、財政は放っておけばバラマキに向かうではないか。そんな見方が一般的だろうが、データを確認してみよう。
- まず財政資金の対民間収支。2025年6月の税収の受け取りは13兆9195億円と、前年同月比で8024億円増加した。税の支払いは3兆1039億円と、同774億円増えた。受け払いの差し引きは同7250億円増加した勘定となる。その分、政府の実入りは増えた。
- 7月の税収支の見込みは5兆570億円の受け取り超で、同1兆5626億円の大幅増となる。24年に実施した所得税の定額減税が、25年は行われないためである。
- そもそも24年度の定額減税は国・地方合わせて3.3兆円規模。それを埋め切って24年度の税収は過去最高を更新したが、25年度の税収も滑り出しは好調である。経済がインフレ基調となったことで、財政は税収増の恩恵を享受しているのだ。そればかりでない。インフレによる国債価値の目減りで、一般政府の金融負債額は25年3月末には1409兆円と前年同期比で38兆円減少した。一般政府の資金過不足(季節調整済み)も、1〜3月の不足幅(赤字幅)は1267億円と、ほぼトントンになりつつある。インフレ税という形で財政再建が進行中といってよい。金融政策はどうか。日銀の利上げ時期や国債買い入れ額の圧縮ペース鈍化にばかり話題が集中する。だが日銀が保有する国債には必ず償還が到来する。その結果、25年6月末の国債保有残高は前年同期比で18兆9960億円減少した。金融の量的引き締め(QT)は着実に進行中なのだ。
- 石破首相のマントラ(真言)は財政の健全化と金融政策の正常化。それを支持するのは主流派エコノミストの約束事だが、問題はインフレで家計の実質所得が目減りするなか、政府がインフレ利得をふところにしまい込んできたことだ。政権は日本経済に意図せざるブレーキを踏んできたといってよい。
- 参院選での政府・与党に対する逆風はその帰結である。選挙結果はどうなるのか。自民党が6月20〜22日に実施した情勢分析では、自民党と公明党は選挙区で38議席、比例代表で21議席、合わせて59議席を見込んでいるようだ。これだと非改選の75議席と合わせて134議席と、何とか過半数は維持できる勘定だが、その後の情勢は逆風が増すばかり。
- 仮に自公で過半数を割った場合には、立憲民主党との大連立も取り沙汰される。ただ今回の選挙の風向きから見る限り、そうした取り繕いで逆風が収まるとは考えにくい。やぶれかぶれの総選挙も取り沙汰される。財政のインフレ利得を国民に還元させる圧力が強まれば、景気には下支えの要因となる。
- トランプ関税砲が鳴り響くうちは、日銀の金融引き締めも金縛りに遭う。こうした財政・金融政策の変化で、石破ディスカウント(石破政権下の株価下押し)が解消されることを、市場は織り込んでいるようだ。
- もちろん財政のタガが外れるような事態となると、そんなことは言っていられない。地方金融機関からの預金流出など、金融システムのほころびを警戒する向きもある。
- それでも、夏のお化け屋敷のような怖いもの見たさ。トランプ・ラリーの写し絵を期待するかのような夏相場である。さて鬼が出るか、蛇が出るか。