トランプ氏、経済分析に圧力 ゴールドマンに「エコノミスト更迭しろ」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN13B9E0T10C25A8000000/
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【コメント】
- 大きな記事ではありませんが、トランプ大統領の横暴とも言える行動がまた出始めています。
- ゴールマンサックスの著名なエコノミストがトランプ政権の意に沿わない分析を出したことが発端です。
- これまでもトランプ政権は大学や企業、メディア、法律事務所など政権の意に沿わない機関に対して圧力をかけてきました。また独立性が保証されているFRBにまでも利下げを即す露骨な発言を繰り返しており、金融業界にもこの動きが広まる懸念があります。
- もはや米国は自由主義国家ではなく、ロシアや中国のような統制国家になりつつあると写ります。
- 米国株が大きく上昇していますが、投資家は統制国家を好んでいるということでしょうか?
【記事概要】
- トランプ米大統領が民間の経済分析に圧力をかけ始めた。関税政策が米経済に与える影響を「見誤った」として、米ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)に同社のエコノミストを更迭するよう要求した。政権に不都合な意見を排除しようとする試みは投資家の信認を損ない、多様なマネーをひき付ける米国の金融市場の強みを曇らせかねない。
- トランプ氏は12日、自身のSNSで「関税はインフレなどの問題を引き起こしておらず、巨額の国庫収入を生むことが証明された」と投稿した。ゴールドマンの分析は「誤り」だと断じ「デービッドは新しいエコノミストに交代させるべきで、さもなければ(趣味の)DJ(ディスク・ジョッキー)に専念して金融機関の経営から手を引くべきだ」と不満をぶちまけた。
- トランプ氏は名指ししなかったが、ゴールドマンの著名エコノミスト、ヤン・ハチウス氏が率いるチームの分析を攻撃しているものとみられている。同氏は2008年の金融危機の前に、住宅バブル崩壊が深い景気後退をもたらしうると予測したことで知られる。投資家からの信頼も厚い。
- 8月10日付リポートで同チームは、6月までに関税コストの22%を米消費者が負担したと推計した。今後は企業の価格転嫁が進むにつれて消費者の負担比率は67%まで上昇していくとの予想を示していた。
- 関税の影響が価格転嫁を通じていずれインフレ圧力になるという見方は、程度の差はあれ、多くの民間エコノミストが主張している。ゴールドマンの分析はコンセンサスから外れたものではない。市場での影響力があるハチウス氏らの分析に圧力をかけることで、政権に不都合な分析の封殺を狙った可能性がある。
- 政権や米連邦準備理事会(FRB)の見解と民間エコノミストの分析が食い違うのは珍しくない。ただ政権のトップたる大統領が公に批判するのは極めて異例だ。エコノミストの知見や自由な分析は市場参加者の投資判断の材料になる。様々な見解に基づく多様な投資家の存在こそが、世界で最も厚みのある米国市場を支えている。
- トランプ政権は大学や企業、メディア、法律事務所など政権の意に沿わない機関に対して圧力をかけてきた。同様の動きが波及しかねないとして、金融業界では懸念の声が広がる。
- 政権運営に不都合なら、市場がどんなに重視する経済指標であっても開示を取りやめる。民間の経済分析に圧力をかけることもいとわない。米運用会社LRTキャピタル・マネジメント創業者ウーカシュ・トミチ氏は「まるで(社会主義国の)旧ソビエト連邦のやり方だ」と語っていた。
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