株「総裁選は買い」続くか  防衛・人材関連にマネー 少数与党、「法則」に揺らぎもhttps://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250910&ng=DGKKZO91230660Q5A910C2EA2000
【コメント】
  • 朝刊は、連日で総裁選による日本株高の行方を報じています。
  • 過去の総裁選を例にとると、今回の総裁選も株価上昇となる可能性があり、昨日も史上最高値をつけました。少数与党で野党との連携が必須となっていることから、野党が表明している財政拡張的な政策期待があることも株価上昇の一因となっているようです。
  • 一方で、PER(株価収益率)が18倍に近づいており、通常高くても17倍と言われていることを踏まえると、日本株高は過熱気味ともとれます。
  • 米国株も高値が続いており、日本株は米国株に引っ張られているとも考えられますので、米国株の突然の腰折が気になるところです。
  • 10月末から11月中旬にかけて、日本企業は4月から9月の決算発表を行い、その際に2025年度通期の見通しも出てきます。ここでトランプ関税や為替レートを織り込みどのような予想を出してくるのかが注目点です。現時点でのPERは高いと思われても、今後の業績見通しが引き上げられれば、PERは標準レンジに戻り割高感が解消されるかもしれません。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
  • 株式市場で自民党総裁選の実施が大きな買い材料となっている。政治の先行き不透明感が後退し、大規模な経済対策への期待が膨らんだためだ。過去に同様の傾向がみられることも安心感につながっている。衆参両院で少数与党という異例の状況下のほか、債券市場で歳出膨張への警戒感もあり、「総裁選は買い」には揺らぎもみられる。
  • 9日の日経平均株価の終値は前日比184円(0.4%)安の4万3459円と4日ぶりの反落となった。8日までの3営業日で1700円超上昇しており、急激な株高への警戒感から売りに押された。午前中に取引時間中として初めて4万4000円台に乗せる場面があるなど、買い意欲の強さも印象づけた。
  • 「海外投資家の間では『自民党総裁選は買い』との見方が目立つ」。大和アセットマネジメントの建部和礼チーフ・ストラテジストが語る。ノムラ・シンガポールの須田吉貴クロスアセット・ストラテジストも「投資家は織り込み不足だった」と指摘。足元の急騰の原動力は海外マネーの流入とみる関係者が多い。
  • なぜ総裁選が買い材料になるのか。主因は過去に株高となった例が散見されるためだ。直近では岸田文雄前首相が2024年8月に辞意表明した5営業日後の日経平均は5%上昇した。菅義偉元首相が表明した時も同期間で5%高。石破茂首相の辞意表明も買いで反応するのは自然といえる。
  • 裏付けはこれだけではない。自民党は衆参で少数に陥っており、新政権は主要野党いずれかと協力する必要がある。財政拡張的な野党の政策を取り込む公算が大きく、株式市場では短期的に追い風が吹きやすい。市場では「ポスト石破」トレードが勢いを増している。
  • 次期政権の有力候補の高市早苗前経済安全保障相と小泉進次郎農相の関心が高いとみられるのが安保政策だ。IHIは9日時点で前週末比6%上昇し24年末比の上昇率はおよそ7割と、日経平均の9%高を引き離す。どちらかが総裁に就任すれば防衛関連銘柄にはプラスとの読みがある。
  • 今回に限っては懸念も強いとの声もある。少数与党の自民党が政策を推進できるかが未知数なためだ。野党の反対で実行できないリスクがある。
  • 自民党内の変化もある。昨年の総裁選では存在感が大きかった旧安倍派は、石破政権誕生後、鳴りを潜める。高市氏の支援基盤は弱まったとの声もある。「党内で幅広い支持を得る必要があり、財政・金融政策のスタンスも修正されていく可能性がある」
  • 債券市場の警鐘を株式市場が意識し始めた。9日、新発30年物国債利回りは3.2%台半ばと前日から低下(債券価格は上昇)したが、3日の過去最高水準に近い。積極財政への不安が国債から投資家を遠ざける。
  • 金利が急騰すれば、株式投資家の心理も冷え、リスク回避の株売りが膨らむ恐れが強い。こうした要素も総裁選は買いという経験則に影響してそうだ。10月4日の投開票で新総裁が就任するまでは、当面は不安定な展開を余儀なくされそうだ。