高市株高 現実路線に期待 要職人事、財政悪化懸念和らぐ 相場の持続力見通せずhttps://www.nikkei.com/paper/article/?b=20251007&ng=DGKKZO91768610W5A001C2DTC000
【コメント】
  • 昨日、日経平均が過去最高値を更新、ドル円も150円台に下落しました。
  • 高市新総裁に対する「漠然とした」期待感の表れとのことです。
  • 「責任ある積極財政」を表明し、財務省に太いルートがある鈴木新幹事長や麻生新副総裁を登用することにより、積極的な財政投融資は行うが財務規律は堅持するという姿勢を示していることが株式市場で好感されているようです。
  • 円安による輸出企業を中心とした業績改善期待もあります。利上げ予想も急速に萎んでおり、これも円安を加速させている要因になっています。
  • 利上げを抑制し円安を容認することにより株式市場を支えるとともに、円安による物価高に対応する手段を講じることが、日本経済成長にとって最適だと感じます。
  • 物価高に対応するには、ガソリン税制改定なども一時的には有効ですが、こういった小手先の政策はいずれ限界を迎えます。大幅な賃上げの継続、それを実現する企業の質的競争力を向上することが必須です。「日本の成長戦略」、これがサナエノミクスであるべきです。
  • 円安はそもそも円需要が弱いことに問題の根源があります。抜本的に円安を是正するには円需要を高めることがポイントであり、それはつまり日本企業の製品やサービスを海外に買ってもらうことです。魅力ある製品を創造し輸出を増加させることやインバウンド(=サービスの輸出)のさらなる増加です。
  • 今日のドル円は152円まで円安が進行、また日経平均も48,800円に到達するという予想もあります。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
  • 6日の東京株式市場で日経平均株価は前週末比2175円高の4万7944円と急伸し、最高値を更新した。財政拡張路線の高市早苗前経済安全保障相が自民党総裁に4日選出され、株高・円安が進んだ。麻生太郎最高顧問の副総裁起用など財政規律派の要職起用も伝わり、財政規律のタガが外れず過度な金利上昇は抑えられるとの安心感も相場を押し上げた。
  • 「決められない政治から転換し、経済政策が前進し刷新される期待だ」。UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹・日本地域最高投資責任者(CIO)はほぼ全面高となったこの日の市場の雰囲気をこう表現する。
  • 高市氏は総裁選で「責任ある積極財政」を公約に掲げた。市場が警戒するのは財政悪化が急速に進み「日本売り」につながるリスクだ。高市氏の4日の記者会見では、こうした懸念への配慮がにじんだ。消費税減税は「選択肢から除外しない」と述べるにとどめ慎重な立場を堅持。総裁選で赤字国債増発を容認したものの記者会見では言及しなかった。
  • 麻生氏に加え、幹事長には麻生派の鈴木俊一総務会長を充てる調整に入るなど、高市氏を支える顔ぶれからは政策が想定よりも「現実路線」にシフトする可能性がある。
  • MCPアセット・マネジメントの大塚理恵子ストラテジストは「過度に財政拡張的な人ばかりが要職に就くわけではないと市場が受け止め、株高の材料になった面がある」と指摘する。
  • 2022年9月に発足した英トラス政権は大胆な減税策を発表し、債券・通貨が大きく売られる「トラス・ショック」を招いた。一方、イタリアでは22年10月に首相に就任したメローニ氏が極右政党の党首ながら政権発足後は現実路線にシフト。赤字削減の取り組みを評価し、フィッチ・レーティングスは25年9月、イタリアの格付けを引き上げた。先進国の中でも出遅れていたイタリアの主要指数FTSE MIBは22年末比で足元8割高い水準だ。
  • 6日は、過度な財政拡張が金利急上昇を招き、株高に水を差すリスクシナリオはひとまず後退した。市場が織り込みきれていなかったギャップが「上昇のマグマ」となったものの、想定外の総裁選結果で生じた株高の持続力はまだ見通せない。
  • 明治安田アセットマネジメントの伊藤弘康ポートフォリオ・マネジメント部長は「表面上のショートカバー(売り方の買い戻し)で日経平均が2000~3000円上げるのは自然な動きだ」と指摘。その上で「党内基盤が盤石ではない中、高市氏の政策運営が思惑通りに行くかは分からない。さらなる上昇には懐疑的だ」と話す。
  • 市場関係者が意識するのが、安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」初期だ。海外勢は安倍氏が総裁選に勝利した12年9月からの約2年間で日本株を約25兆円買い越し、その間に日経平均は2.3倍になった。ただ、その後日本株買いが失速したことを踏まえると、財政主導の株高には限界がある。
  • 25年前半に株高に沸いたドイツの事例も参考になる。3月にドイツ与野党が財政拡張を巡って合意したことをきっかけに、景気低迷下の株価上昇が続いた。自動車産業を中心に企業業績は悪化。夏以降の株価は横ばいで推移する。ドイツ銀行のチーフ・エコノミスト、ロビン・ウィンクラー氏らは「歴史的な財政改革への熱狂が夏の間にすっかり冷めた」と指摘する。
  • クレディ・アグリコル証券は、名目GDP(国内総生産)や国内の純資金需要をもとに日経平均の適正水準を4万8181円と算出する。現状はおおむね適正水準だ。同証券の松本賢マクロストラテジストは「財政拡大を追い風に、企業が資金の借り手となって成長投資を進める好循環が生みだされるかが株高のカギを握る」と強調する。
  • 松下政経塾出身の高市氏は時代の変化に応じて自らを改める「君子豹変(ひょうへん)す」を好んで用いたとされる松下幸之助氏の影響を大きく受けたという。拡張的な財政政策を抑え、市場の懸念を払拭できるか。海外マネーを呼び込んだアベノミクスの継承者となれるか試される。