「政治空白」円売りに拍車 153円台、急落歯止め乏しくhttps://www.nikkei.com/paper/article/?b=20251009&ng=DGKKZO91829460Z01C25A0EA2000
【コメント】
  • 円安が急速に進んでいます。昨日のドル円は一時153円台に達する局面がありました。
  • この円安には4つの理由があるとされています。①日銀利上げ先送り観測 ②日銀独立性毀損(米国と類似) ③高市氏の円安容認 ④高市氏政策による財政悪化懸念 です。これに加えて高市氏が連立政権を構築できるかどうかの政局不安も相まっています。
  • 数日間にこれだけ円安が進行してきたこともあり、円安の巻き戻しも市場では警戒され始めています。ポイントは、①世界的にドル安基調であること ②高市氏の積極財政姿勢が後退すること ③円安志向の後退 ④高市氏が円安を容認すればトランプ関税引き上げリスクがあること  などです。
  • 絶対的なドル円の需給を見れば、円需要が弱い(円安)ということに変化はありません。現在の円安進行は理屈には適って入ると感じますが、急速なドル円の変動は経済に歪みをもたらす可能性があると思われます。
  • 一旦155円をトライし、150円までの修正があるとの市場関係の予測もあります。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
  • 外国為替市場で円売り圧力に拍車がかかっている。対ドルの円相場は8日、2月以来となる1ドル=153円台をつけた。金融緩和を志向するとみられる高市早苗氏が自民党の新総裁に就任後、公明党との間の連立協議が進まない。
  • 新政権発足が見通しにくく、政策スタンスの軌道修正や為替介入といった円安への対応が遅れかねないとの思惑が広がった。
  • 円は前週末から3営業日で、ドルに対し約6円急落した。高市氏はもともと、財政拡張・金融緩和志向が強いとされる。4日、新総裁に選出された後の記者会見でも金融政策について「責任を持つのは政府だ」と強調した。
  • 日銀の利上げへのけん制との受け止めから、金融市場が織り込む10月の利上げ確率は前週までの6割程度から、足元では3割弱まで下がった。
  • 政局の混乱が円安を増幅させている。自民党と公明党の連立協議が難航している。当初15日と見込まれていた臨時国会の召集が遅れ、首相指名は下旬以降の可能性が出てきた。「高市内閣」の発足に不透明感が漂う。
  • 次期政権の枠組みが固まらなければ、高市氏は、自ら掲げた金融緩和的と受け止められる政策の軌道修正を首相として図りにくくなる。
  • 政府・日銀による円買い為替介入など、機動的な対応が遅れる懸念もある。りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジストは「当局から急落をけん制する発言などは入るだろうが、実際に介入に踏み切るハードルはかなり高そうだ」とみる。
  • 円が下落しやすい構造は変わっていない。名目金利から物価上昇分を差し引いた実質金利は大幅なマイナスで、ドルを含め内外の金利差は大きく開いたままだ。貿易赤字も続き、需給面で円は売りが先行しがちな環境にある。
  • 年明け以降、ヘッジファンドなど投機筋は日銀の利上げ観測をよりどころに、円を買い越してきた。目先の利上げ観測の後退や政局の混乱は、投機筋による持ち高解消売りの材料となる。組閣までは円を売りやすい地合いが続く、との見立てが広がる。
  • 当面の円の下値のメドとして、市場では心理的節目となる155円付近を予想する声が多い。円安に歯止めをかけると注目されているのがトランプ米大統領の言動だ。これまで日本に通貨安誘導との批判を繰り返してきた。円安傾向が続けば、SNSなどを通した「口先介入」が行われるとの見方が出ている。