【コメント】
- 日本人の納税意識についての論評です。
- 米国人は毎年個人が確定申告を行うことにより税や社会保険の認識が使いですが、日本人は会社に年末調整という形で丸投げをしています。
- これにより企業の事務負担が年末に集中し、かつ納税者個人の税や社会保険に対する認識が浅い状況です。
- 年末調整を全廃し、確定申告を義務付けるようにしても良いのかもしれませんね。
【記事概要】
- ほとんどの会社員は勤務先で年末調整が実施され、1年間の税金が調整・精算されることが当たり前になっているのではないだろうか。年末調整は会社の担当者や外注先が非常に短い納期で作業し、処理を完了させている。年末調整は各従業員の手取りに影響があるため、ミスが許されない非常に神経を使う事務処理だ。会社員にとっては勤務先が全て処理してくれるので、便利なことは間違いない。だが、この構造を見直す時期に来ているのではないか。
- 本来は納税者と国が直接行うべき精算事務を、雇用者へ恒常的に転嫁している点が問題となる。また家族構成や保険料といった私的情報を勤務先へ提出させる設計が今日の多様性やプライバシー意識と整合しない。さらに「会社任せ」が納税者意識を育ちにくくしている点も見逃せない。
- 米国では勤務先による年末調整という制度はなく、源泉徴収はあるものの、各納税者が原則毎年確定申告で所得税を精算している。納税者にとって毎年確定申告をする作業は負担となるが、各自の納税者意識は高くなる。米国では日常的に税金の話をする人が多い。
- 自身で確定申告書を作成する人も多く、毎年納税額を確認するため、自身が適用可能な控除についてもよく把握している。納税者意識の高さを政治家たちも熟知しており、大統領選挙期間中でも政党を問わず減税の話は多くの時間を占める。
- 一方、日本では最近ようやく「手取りを増やす」という議論が出てきたが、米国と比較すると、自身の税金や社会保険料についての意識は低いのではないか。自ら申告し、毎年税額と向き合うことは、家計管理と将来設計の第一歩となるはずだ。
- もちろん、個々の会社員が自身で確定申告をする制度への移行には配慮がいる。デジタルに不慣れな人には簡易申告や相談窓口、ソフト無償化などの支援を段階的に整える必要があるだろう。
- 年末に集中する業務の解消は企業の労務負担を軽くし、個人の自律性を高める。納税者意識を広げる制度設計こそ、政治や制度を自分事として考える土台になる。年末調整制度の役割と限界を冷静に見直したい。
