前CEO「おまえはクビ」 エア・ウォーター、調査委報告で暴言続々https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF171UF0X10C26A2000000/ニデック永守重信氏のメッセージ全文 名実ともに完全に身を引く決断
【コメント】
- また経営トップの行きすぎた言動で不正会計がおこっています。
- 産業用ガス大手のエア・ウォーターのCEOが「おまえはクビ」「死んだ方がマシや」などとの言葉で取締役や部下を叱責し、循環取引や証明書偽造などの不正会計を助長し売上高や利益を水増ししたようです。
- エア・ウォーターの過度なトップダウン経営が不適切会計につながったという意味では昨年のニデックと共通しています。
- それぞれ外部の調査委員会が全容解明に努めており、最終報告が待たれます。
- 昨日ニデックの永守重信氏が完全退任のメッセージを出していました(後段に掲載)。
- 約10年前に同様なことが大手総合電機メーカーで発生しましたが、人間は忘れてしまうのでしょうか。
- 両企業の監査を担当し過去数年間、無限定適正の署名をしてきた会計士の皆さんがたはどう感じているのでしょうか。過去には会計士の資格を剥奪された方もいらっしゃいますが、お気の毒です。
【記事概要】
- 産業用ガス大手のエア・ウォーターの不正会計問題で、業績拡大に固執する豊田喜久夫・前会長兼最高経営責任者(CEO)による行き過ぎたワンマン経営が明らかになった。連結売上収益1兆円の目標を掲げ、収益の水増しや書類の偽造が常態化していた疑いがある。前CEOはパワハラが疑われる不適切な発言も繰り返したとされる。
- 「おまえはクビ」「死んだ方がマシや」――。エア・ウォーターが13日公表した、特別調査委員会による中間の報告書は、豊田氏が社内で発した発言を列挙した。豊田氏が、取締役や部下を厳しい言葉で追い詰める様子が浮かび上がる。
- 報告書やエア・ウォーターの社内調査によると、今回の問題が過去の決算に及ぼす影響額(予定)は2020年3月期〜25年3月期に、グループ37社の売上収益ベースで667億円、営業利益ベースで332億円にのぼる。調査委は不正会計の原因に「売上・利益成長至上主義の目標設定」「経営トップによる叱責を含め、業績達成に対する過度なプレッシャー」などを挙げる。
- エア・ウォーターは10年3月に、21年3月期の売上収益を当時の2倍超にあたる1兆円に引き上げる目標を掲げた。M&A(合併・買収)による成長を柱に据え、11年3月期から25年3月期に同業や材料メーカーなど約200社のM&Aを手掛けた。その結果、23年3月期の決算発表で売上収益は1兆円を超えた。
循環取引や証明書偽造の疑い
- だが、23年3月期の決算数値に疑念が生じている。23年2月の「朝会」と呼ばれる役員らの会議。経営陣は当時、23年3月期の売上収益が1兆円に届かない可能性を懸念していた。豊田氏は朝会のなかで「1年間何をやってきたのか。全てが崩れる」「理由のいかんを問わず、仕事をしていないに等しい」と不満をぶちまけたとされる。
- 豊田氏の発言は役員らから、グループ内にすぐ伝わった。調査委はエネルギー関連の事業部の関係者らが朝会を機に「未達にならないよう売上の上積みを最優先としてください」「未達になったらとんでもないことになります」と記したメールを確認した。
- 実際に収益を水増ししていた可能性がある。調査委によると、グループ会社の関東エア・ウォーター(当時)が同じグループ会社のエア・ウォーター・エコロッカの製品をグループ外の企業などに転売し、最終的にエコロッカが買い戻す循環取引をしていた疑いがあるという。
- 調査委は顧客から受け取る証明書の偽造などもグループ内で行われていたと指摘する。売上の計上に関する不正を隠蔽するため、注文書を偽造して監査法人に提出したほか、売上の計上時期を意図的に操作する不正も継続的にあったとする。事実ならば、株式市場から資金を募る上場企業として許されない行為だ。
調査委、妨害行為を指弾
- 調査委は別途、グループの役職員が調査の過程で調査委に虚偽または不正確な説明をしたり、不適切行為に係る真実をすべて話さなかったりする妨害行為があったことも明かした。
- 調査委は「内部統制の脆弱さと隠蔽行為のまん延を疑わせる」と指弾。対策としてグループ会社58社の管理職らに不正を申告すれば社内処分を減免する制度の活用を促すなどし、真相究明に努めたと説明する。
- エア・ウォーターの人事権は豊田氏に集中していた。役員人事は豊田氏への根回しをへて決められ、報酬額も一任されていた。豊田氏は「今まで払った給料を返せ」と取締役を叱責したとされ、人事権を盾に社内で強権をふるっていたとみられる。
- エア・ウォーターは過度なトップダウン経営が不適切会計につながったという意味ではニデックと共通する。それぞれ外部の調査委員会が全容解明に努めており、最終報告が待たれる。エア・ウォーターの調査委は3月にも最終報告書をまとめる。
ニデック永守重信氏のメッセージ全文 名実ともに完全に身を引く決断すべてのステイクホルダーの皆さんへ 〜ニデックの新しい幕開けのために〜
- ニデックが、東京証券取引所から「特別注意銘柄指定」を受けてから、約4ヶ月が経ちます。そして、まもなく、「第三者委員会報告」が取りまとめられると聞いています。まさにこれからが、ニデック再生の正念場であり、剣ヶ峰です。
- 私は、昨年12月19日に、代表取締役をはじめニデックの経営に携わる役職を既に全て辞していますが、ニデックを再び輝く企業集団へと再生させるために自らができることは何でもするとの強い覚悟から、本日をもって、名誉会長の職をも辞することとし、以って、名実ともにニデックから完全に身を引くことを決断しました。
- 私は今、50年におよぶ経営の責務に自ら終止符を打ちます。振り返れば、若き日に京都の自宅で仲間3人とともにこの会社を創業した1973年のあの時以来、私の胸に宿っていたのは、ただ一つ。この会社を通じて、社員と共に、社会に貢献し、世界に比肩する価値を創造するという熱い思いでした。それこそが「私の夢」であり、そのために、社員とともに、努力と我慢を幾重にも積み重ねて、会社を確と育てて参りました。その歩みこそ、私の人生そのものでもあります。
- いま、ニデックの不正経理の疑義を巡って世の中を大変お騒がせしていますが、この点、改めてお詫び申し上げます。私にとってこれはまさに慚愧の至りであり、もって、この際、潔く自ら身を引くことを決意しました。ただし、私がここで為さんとしていることは、単に身を引くということではありません。ニデックが真に再生し、再び誇りを取り戻すためには、これまで会社を引っ張ってきた私自身が潔く道を譲り率先してその範を示すことこそが、未来に対する最後にして最大の責務であると確信したのです。私が静かに去ることで生まれるこの空白は、ニデックの次世代を担う者たちが新しい歴史を縦横無尽に描き始めるための「白いキャンバス」になるのです。
- 改めて申し上げます。ニデックが再び輝きを取り戻し、社会の公器として、社会に真に必要とされ信頼される存在として再起すること。それこそが、私の残した唯一の祈りです。
- これまで私は、自らの良心に照らし、自分の人生のすべてをかけて、私としての社会的責務を全うしようと努めてまいりましたが、いまこそ、まさに潮時です。本日をもって、ニデックという私の物語は終わり、それに続いて、次世代がニデックの新しい物語を紡ぐ時代が始まります。まさに新生ニデックの幕開けですが、本日の決断が正しかったかどうかは、何よりもこれから再生をやり遂げる次世代の姿が証明してくれるはずです。改めて、次世代に対して、全幅の信頼をもって、ニデック再生の舵取りの全てを託したいと思います。
- 本日をもって、「経営者としての私の物語」にピリオドが打たれますが、それは私にとって、「新たな私の物語」の出発点でもあります。私は、1944年生まれの81歳。この齢にして、「更なる人生のステージ」に向かって、人材育成という「もう一つの私の夢」に本格的に挑戦していきたいと思います。
- そして、ニデックのことですが、いうまでもなく、ニデックは永久に不滅です。
- 後事を託した次世代の手でもって、いまの試練を完全に克服し、必ずや、「新生ニデック」として、誠実で信頼性ある真のグローバル企業へと蘇っていく、私はそう確信しています。
- ですから、ステイクホルダーの皆さん、新生ニデックを、これまで以上に愛し続けてください。これこそが、私からの最後のお願いでございます。
- いよいよお別れの時です。我が愛するニデックに栄光あれ。
- 長い間、誠にありがとうございました。
2026年2月26日永守重信 (編集済み)
