ニデック報告書から(上)会計不正「負の遺産」 特命監査部長が秘密処理 300件350億円把握か 減損先送り蓄積https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260311&ng=DGKKZO94920430Q6A310C2DTB000
【コメント】
- 原油価格が乱高下しています。数日前の120ドルから近々一瞬70ドル台の低下しましたが、現在は再度80ドル台半ばです。
- イランがホルムズ海峡に機雷を巻いているという報道、あるいはサウジアラビアがホルムズ海峡ではなく西側の紅海から原油を輸出するという報道など、先行きの原油価格が読めない状況になっています。いずれにしても日本を含めた世界経済には今後さらに大きな影響が顕在化してくるものと思われます。物価高の追い討ちです。
- 今朝取り上げたニュースはニデックです。
- 永守氏から特命を受けた「特命監査部長」が秘密裏に調査・処理していたとのことです。
- 調査は良いのですが、目標営業利益を確保するために減損額を調整していたなど、とんでもない不正会計の司令塔になっていたようです。
- この特命監査部長は、永守氏のみに報告をし指示を得ていたようで、社外取締やPWC監査法人には一切報告をしていなかったということが明らかになっており、完全に内部統制が崩壊していたと言わざるを得ません。
- このような状況が他社にないとも限りません。この際他社も徹底した調査を行い、手遅れになり大事に至らない様にこの3月期決算に反映をさせるべきと感じます。監査法人の徹底した特別調査にも期待大です。
【記事概要】
- ニデックの複数のグループ会社で会計不正が発覚した。不正の温床となったのは、社内で「負の遺産」と呼ばれていたリスク性の高い資産だ。総額は2023年時点で1662億円に上る。第三者委員会による報告書を読み込むと、この負の遺産を巡り、創業者・永守重信氏の命を受けた「特命監査部長」が秘密裏に調査・処理していた実態が明らかになった。
- 「実態の無いもの、処分できないもの、長期滞留状態にありながら減損を延ばしているものなど、その金額の大きさと異常さに恐れを感じずにはいられない状況です」。16年12月ごろ、子会社のニデックプレシジョンの経営管理監査室長は、本社の監査担当にこう悲鳴をあげた。
- 同社は10年以降、主力事業であるカメラのシャッター用モーターで業績目標の達成に苦戦していた。14~16年度には挽回をかけ約60億円の設備投資をしたが顧客から部品を受注できなかった。この設備は実際には稼働していなかったが、ニデックは固定資産を減損せず、遊休資産として減価償却を続けていた。
- 近年注力していた電気自動車(EV)向け駆動装置でも会計不正が発覚した。ニデックは24年ごろ、EVメーカーから駆動装置の製造を打診された。ただ、実際には受注の見込みは薄く、生産設備など固定資産約146億円の減損処理が必要になる可能性があった。
- 「PwC監査にて追加減損を指摘されれば、この事業はそれにて終了です。将来もありません」(車載事業の事業部長)。すでに収益が落ちていた車載事業で「これ以上の減損は回避したい」という心理が働いた。事業経理部長は実現可能性の低い案件も含めた売上高計画をPwCジャパンに説明。結果、25年3月期の固定資産の減損を免いた。
- 同様の処理は子会社や事業部で同時多発的に起こっていた。こうしたリスク性のある資産を社内では「負の遺産」と呼んでいた。負の遺産の処理は各事業部などが自らの収益で補ったうえで利益目標を達成する必要があった。負の遺産の全てが会計不正ではないが、利益目標を達成するために早期に計上すべき減損処理などを先送りし、さらに負の遺産が積み上がる悪循環が続いていた。
- 問題の発覚を遅らせたのはニデックの隠蔽体質だ。永守氏は11年ごろから20年6月まで、経営管理監査部の特定の社員「A氏」を「特命監査部長」に任じ、会計不正が疑われる事案を調査させていた。
- 「8年間特命調査で不正約300件・約350億摘出」。社内資料には、はっきりした時期は明らかになっていないが特命監査で負の遺産がこれだけ発生していたとうかがえる記載があった。A氏は、監査法人に知られないように、架空の在庫を廃棄物に紛れ込ませるなどの手法で負の遺産を処理するよう各事業部やグループ会社に指導した場合があったという。
- 永守氏は第三者委の調査に対し「表沙汰にせず不正を正し、反省している者にはやり直しの機会を与える方が良いと考え、調査を指示していた」と述べている。
- 特命監査の存在は16年まで永守氏や一部の執行役員が把握しているだけで、PwC京都(現PwCジャパン)や社外取締役には知らされていなかった。17年には経営管理監査部担当の執行役員が取締役会への報告や外部調査機関の設置を永守氏に進言したが、永守氏は提案を却下し不正の疑義を正す機会は失われた。
- 負の遺産は株式市場にも正しく説明されなかった。23年ごろには、前最高財務責任者(CFO)が負の遺産の処理を急ぎ、永守氏の承認を取り付けた。総額はグループ全体で1662億円に上っていたが「通期の営業利益は1000億円を下回らないようにする」との方針の下、全体の3割にあたる566億円を23年1~3月期に計上した。当時の決算説明会では、「市場環境悪化に伴い、固定費の大幅な低減を図るための構造改革費用」として説明していた。
- 「構造改革費用」として一部は処理されたものの、第三者委の調査開始時点でも負の遺産は残っていることが判明している。なお、第三者委はA氏にヒアリングできておらず、特命監査の全貌は分かっていない。
- 3日の記者会見で岸田光哉社長は「負の遺産がどのくらいの規模感で残っているかは正確には承知していない」とし「今後は適切な時期に適切な会計を行うことを徹底していきたい」と述べた。さらなる会計不正を抑止し、市場の信頼を回復するためには、現状の把握と丁寧な説明が欠かせない。
