1強首相、孤独の官邸主導 政権半年「自分の仕事で精いっぱい」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1691X0W6A410C2000000/
【コメント】
- 高市首相の政権運営方針に危惧があるとの記事があります。
- トップダウンとスピードを重視し、国民から見ると精力的に仕事をしている様子と写っていますが、自民党とのコミュニケーションが今ひとつで軋轢を産んでいる側面もあるようです。
- 1月の衆院解散時には、麻生太郎副総裁や鈴木俊一幹事長ら党幹部に事前に相談せず決断したことや、その後3月末までの予算成立をかなり無理筋で目指したことなどが一部の自民党議員に不満があるようです。
- 高市首相は、安倍元首相を意識し「官邸主導」で物事を進めたい意向があります。国民がら見ると、特に独裁的に変なことをしようという感じはなく、また金権政治の匂いもありません。変化の激しい世界情勢をスピード感をもって守り切るべく仕事をしている感じがします。
- ただ、首相本人も昼食会の回数を増やし、自民党内のさまざまな意見を聞く姿勢を見せているようです。国民から見ると高い費用がかかる夜の会食をするよリも好感が待てます。
- 「数ではなく丁寧な国会運営もお願いしたい」との声もあり、「衆知を集めた全員経営」を実践していく姿勢を表す努力をされているようです。
- 物価高やイラン情勢など、対応しなければならない事象が多い中で実際問題として、高市首相は大変なのだと思います。
- 自民党議員のみならず、全議員は変な利害意識を持たず、高市首相に対し前向きに対応してもらいたいと感じます。
【記事概要】
- 高市早苗政権が発足して21日に半年を迎えた。1月には70%超の内閣支持率をテコに衆院解散・総選挙に踏み切り、自民党を大勝に導いた。一方で公約を迅速に実現していくには巨大与党との十分な意思疎通が欠かせない。
- 「いまは日本のみならず、各国も大変なので自分の仕事で精いっぱいだ」。首相は最近、周囲にこう漏らした。
- 自民党内で旧派閥を軸にしたグループの立ち上げが相次いでいることについて問われたときだった。同党の中で活発な動きが続く背景には首相が党と十分にコミュニケーションをとっていないとの不満もある。
- 首相には現下の中東情勢への対応こそ「行政府の長」としての仕事という思いがあるのかもしれない。もともと不得手だった党との調整まで手が回らない。
トップダウンとスピード重視
- 首相は衆院選で得た支持を強みに、トップダウンでスピード感ある政策の実行を意識する。見据えているのは自身の自民党総裁としての任期である27年9月だ。首相周辺は次期総裁選を無投票再選で乗り切る絵を描く。
- 首相はそれまでに「責任ある積極財政」やインテリジェンス(情報収集・分析)能力の強化など「国論を二分する」政策を実現したい構えだ。12日の党大会で「今年いくつの公約を実現できたのか。来年いくつの公約を実現できるのか」と訴えた。
- 党大会では憲法改正についても踏み込んだ発言をした。「『改正の発議にめどが立った』と言える状態で来年の党大会を迎えたい」と強調した。
- 首相は師事した安倍晋三元首相が進めた「官邸主導」の政権運営を意識する。ただ与党との丁寧な意思疎通を欠けば、かえって停滞をうむ。
- 改憲を筆頭に重要な公約を実現するにはいずれも国会での協力が不可欠だからだ。外交とは異なり、必ずしも官邸主導で進められるものではない。
- いまは首相の最側近である木原稔官房長官や尾崎正直、佐藤啓両官房副長官が官邸と党との橋渡し役を担う。だが、党幹部は「首相官邸の動きはある程度見えても、直接のやりとりがない首相の動きは分からない」と明かす。
- 1月の衆院解散は麻生太郎副総裁や鈴木俊一幹事長ら党幹部に事前に相談せず決断した。首相は両氏が麻生派に所属するのを念頭に「一つの派だけに伝えるのは不公平だ」と理由を説明した。
- 当時、党執行部は衆院で多数を獲得して円滑に国会運営を進めるため、水面下で国民民主党と連立協議を進めていた。党内から「これではついていけない」との憤りもあがった。
苦手な会食増やす計画
- 26年度予算の審議を巡っても、首相と自民党の意思疎通の不足が露呈した。もともと首相が1月に衆院を解散したあおりで、与党内には「25年度内の成立は難しい」との見方が強かった。
- 首相は3月中の予算の成立にこだわった。高支持率を背景に押し切れるとみた。ただ参院は少数与党のままだ。参院自民党は野党に配慮した丁寧な審議を重視した。
- 結果、予算の25年度内成立は実現せず、暫定予算の編成に追い込まれた。審議時間を削ったことで党や国会と距離が生じた。
- 「今後も定期的にやっていきましょう」。10日昼、首相官邸に麻生、鈴木両氏、萩生田光一幹事長代行が集まった。1時間ほどの昼食を呼びかけたのは会食が苦手と公言する首相だった。次回の日程も決まったという。
- 近く首相公邸で党所属議員との会食も予定する。党とのコミュニケーション不足を解消する狙いがある。
- 首相は自民党内で派閥に所属せずに過ごした期間が長い。確固とした党内基盤を持たない。「官邸に入ると全然、情報に接さなくなる」と打ち明けたこともある。
- 意思疎通が必要なのは与党に限らない。参院で少数与党である現状を考慮すれば、政権基盤の安定に向け、野党と連立枠組みの拡大を探る必要も生じる。
- 改憲や皇室典範の改正、国旗損壊罪の法制定など世論が割れる政策をどのように実現するのか、首相はその道筋を明確にしていない。自民党の磯崎仁彦参院国会対策委員長は14日の記者会見で「数ではなく丁寧な国会運営もお願いしたい」と求めた。
- 「衆知を集めた全員経営」。首相が師と仰ぐ松下幸之助氏はこう語る。長期政権を展望するにはまず党との対話が大事になる。
