首相、補正予算「編成視野に」 国債に売り圧力 長期金利、29年ぶり2.8%https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260519&ng=DGKKZO96327840Y6A510C2EP0000
【コメント】
- 補助中のガソリン、7月から再開される見通しの電気・ガス料金の補助など、ホルムズ海峡問題で財政支出案件が目白押しです。
- この財政支出を賄うために、高市早苗首相が2026年度補正予算の編成を行うことを表明しました。
- これにより、ますます日本の財政が悪化するとの懸念が広がり、長期金利が上昇しています。新発10年物国債利回りが一時2.8%まで上げ、29年半ぶりの高さとなっています。(国債価格は下落)
- この金利上昇傾向は日本に限ったことではありません。英国では与党の地方選大敗を機に政治不安が台頭により、また米国でも対イラン攻撃で国防関連支出が膨らむことに加え、連邦最高裁が「トランプ関税」の法的根拠を否定したことで輸入企業への巨額還付が始まることによりいずれも金利が高騰しています。
- 世界的な高金利傾向が常態化すると、一般的にはリスクがある株にとってはマイナスです。また現在AI関連銘柄を中心に世界的な株高となっていますが、金利の上昇により企業の投資負担が懸念され株価にとって重荷となる可能性があります。
- 日本では昨日、株・債券・円がいずれも下落するトリプル安となりましたが、今後の状況には注意が必要です。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
- 日本国債の利回り上昇(債券価格は下落)が止まらない。高市早苗首相が2026年度補正予算の編成を視野に入れると表明したためだ。財政懸念を背景に幅広い年限の国債が売られている。
- 18日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時2.8%まで上げ、29年半ぶりの高さとなった。前週末比で一時0.1%上昇した。
- 財政リスクに敏感な残存期間10年を超える超長期債に売りが目立ち、30年債利回りは一時4.2%と0.145%上げた。40年債も0.11%高い4.345%まで上げ、連日で最高を更新した。
- 背景には補正予算編成論の台頭がある。首相は18日、26年度補正予算案の編成を視野に財政上の措置の検討に入ったと明かした。月内にも編成の是非を判断する。同日開いた政府・与党連絡会議で、与党に夏の電気・ガス料金の補助策を検討するよう要請した。
- 首相は長引く中東情勢の混乱を踏まえ「経済活動や国民の暮らしに支障が生じないよう適切に判断し、必要に応じてタイムリーに対応する」と強調した。
- そのうえで「補正予算の編成を含め、資金面の手当てを検討するよう(大型)連休前には事務方に、先週には片山さつき財務相に指示した」と発言した。「リスクの最小化の観点から万全の備えをとる」と説明した。
- 市場が大きく反応したのはこれまで原油価格の高騰が続くなかでも政府が編成を否定してきたためだ。首相は11日の時点でも「編成が直ちに必要な状況とは考えない」と述べていた。
- 3月に再開したガソリンなどの価格を下げる補助金は原資となる基金が6月にも枯渇するとの見方がある。7~9月分を念頭に電気・ガス料金の支援再開も見込む。26年度予算の予備費1兆円では賄いきれない可能性があるとの想定がある。
- 政府内では補正予算を編成する場合の財源について、赤字国債の発行案が浮上する。5月の段階で今年度の税収見積もりを見直すほどの材料がないためだ。BNPパリバ証券の井川雄亮マーケットストラテジストは「拡張的な財政がどこで収束するのか不透明になっている」と指摘する。
- 国債利回りは積極財政を唱える高市政権下で上昇基調が続いてきた。25年10月に高市氏が自民党総裁に就任する直前の10年債は1.66%、30年債は3.15%だった。直近の一段高で総裁選出前からの上げ幅は1%前後に達する。
- 財政拡張懸念による金利上昇は世界的な傾向だ。与党の地方選大敗を機に政治不安が台頭する英国では前週、30年債利回りが5.8%と28年ぶりの高水準を付けた。退陣圧力が強まるスターマー首相の有力な対抗馬に積極財政派のバーナム・マンチェスター市長が浮上したことが背景にある。
- 米国でも30年債利回りが節目の5%を超え、1年ぶりの高水準をつけた。対イラン攻撃で国防関連支出が膨らむうえ、連邦最高裁が「トランプ関税」の法的根拠を否定したことで輸入企業への巨額還付が始まる。あらゆる金融資産の投資尺度となる金利の一段の上昇は、金融市場を不安定にしかねない。
- 「あらゆるリスクを最小限にするようにと首相から指示されている」。片山財務相は訪問先のパリで18日、長期金利の動向について記者団にこう語った。
- JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長は「金利上昇が止まるのは株安が進行して債券への投資需要が高まる場合か、政府が財政の将来性をしっかりと示したときだ」と指摘する。
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