基礎収支「複数年管理」に 諮問会議  単年度の黒字化求めず、財政規律ゆるむ恐れhttps://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260626&ng=DGKKZO97167590W6A620C2EA1000

【コメント】

  • 日経平均株価が乱高下しています。一昨日は70,000円を下回って終わりましたが、昨日は3,000円以上上昇し過去最高値を更新しました。米国の半導体会社が市場予想を上回る決算を発表したことが好感されたようです。
  • 今朝の注目記事は、日本の財政問題です。
  • これまでは「単年度」で新たな借金に頼らず税収などで黒字化を果たすことを目標にしてきましたが、今後は「複数年度」の黒字化でよいというように目標を変更しようという案が有力になっています。
  • GDP(国内総生産)比で債務残高を測る指標も残すようですが、GDPは政府支出を行った後の結果でしかないため、自律的なコントロールはできません。
  • いずれにしても、日本は世界でも突出した債務残高を抱えており、これ以上国の借金を増やすことは金利上昇などの危機的状況につながります。
  • 高市政権はこれまでの政権と同様に、産業振興を図ろうとしていることは理解できますが、官主導での産業政策はあまりうまくいっていない過去があります。今度は背水の陣の意識で成功させて欲しいと思います。

【記事概要】

  • 政府は25日に開いた経済財政諮問会議で予算編成の抜本的見直しを掲げた。国と地方の基礎的財政収支について、単年度で黒字を目指す指標から複数年度での管理に位置づけを変える。政府自ら制御できるもの差しの転換で、財政規律は一段とゆるむ恐れがある。
  • 基礎的財政収支は国と地方の毎年度の政策経費に関し、新たな借金に頼らずに税収などで賄えているかを測る指標だ。プライマリーバランスとも呼ばれる。政府はこれまで単年度の黒字化達成を財政健全化目標の一つに位置づけてきた。
  • 経団連の筒井義信会長ら4人の民間議員は25日の会議で、プライマリーバランスは「複数年で管理すべきだ」と唱えた。これまでのように単年度の黒字達成を「機械的に追うのではなく、一時的な悪化も許容しうるもの」に転換すべきだとも訴えた。
  • 代わりに債務残高の国内総生産(GDP)比の安定的な低下を財政目標の「中核」に位置づけるべきだと提起した。これまでプライマリーバランスと債務残高のGDP比が財政目標の両輪だった。政府が7月にもまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映する。
  • 高市早苗首相は新たな取り組みを「責任ある積極財政に基づく『中長期経済財政計画』と位置づける」と会議で表明した。2027~40年度までの経済・財政シナリオを描く。40年度は人工知能(AI)など戦略17分野に対する370兆円超の官民投資計画の最終年度だ。
  • 首相は成長戦略の柱とする危機管理・成長投資について民間投資の呼び水となるよう複数年度で予算を措置するとも掲げた。財政目標も足並みをそろえる狙いがある。
  • 政府は小泉純一郎政権だった2001年にプライマリーバランスの黒字化を掲げた。当初は達成時期も目標に挙げていた。これまで一度も赤字から脱せていない。近年は達成時期の目標もあいまいになっていた。
  • 半面、プライマリーバランスは政府が予算編成を通じて一定の管理ができる。債務残高のGDP比は長期金利や名目成長率など市場や景気の動向で結果が左右されるため、自律的な管理は難しくなる。
  • 政府は24日、官民投資計画の効果が十分に出る場合は債務残高のGDP比は40年度に172.3%と26年度から14.3ポイント改善するとの試算を公表した。
  • 試算は国が毎年度10兆円を支出することが前提となっている。実際の歳出は予算編成プロセスで決まるため、歳出はぶれる可能性がある。成長戦略が不発であれば、債務残高のGDP比は膨らむ恐れもある。
  • 高市政権の成長戦略を歓迎する経済界からも「投資がうまくいかず単に財政が悪化するシナリオへの備えも必要だ」(財界幹部)との声が上がる。
  • 首相は25日、危機管理・成長投資などに関する「新たな投資枠」をつくり、27年度予算の概算要求で各省に要求上限を求めない方針を改めて表明した。経済安全保障分野で特別会計をつくり、つなぎ国債を出して資金を前倒しで調達する意向も示した。
  • つなぎ国債は一時的な資金不足を補う手法で、将来の償還財源を確保できることを前提に発行する。財源の裏打ちがあるため、債務残高の計算から除外できる。足元では償還財源は見えておらず、財源探しは難航する恐れもある。
  • 片山さつき財務相は25日の会議でGDP比の債務残高引き下げにつながりうる範囲で「通年の国債発行額を検討する」と提起した。新たな投資枠を巡り、野放図に歳出が増えるのをけん制する意図がにじむ。財務省は年末にかけた27年度予算編成で、各省庁の予算要求が成長に資する分野への適切な歳出となっているか精査する。
  • 26年度の国債発行総額は個人向け国債も含めて183兆円を上回る見込みだ。金利が上昇すれば利払い費が膨らみ、総額は膨張しかねない。首相は25日の会議で「市場関係者に財政運営について透明性高く、一貫した説明を丁寧にしていく」とも述べた。
  • 一橋大学の佐藤主光教授は新たな目標について「玉虫色の表現が通用するのは政治の世界だけだ。市場に対して財政運営の明確な道筋を示すべきだ」と指摘する。まず成長ありきの財政運営ではなく、歳出見直しによる財源捻出にも取り組むべきだと訴える。