「のれん」償却維持で決着 M&A、海外と一線 会計基準機構 財務リスクを軽減https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260722&ng=DGKKZO97689930S6A720C2MM8000
【コメント】
- ドル円レートがNY市場で約40年ぶりに163円台をつけました。日常感覚ではもはや160円は通常となってきたと感じます。
- ある証券会社のアナリストは、「今後徐々にではありますが200円に向かっていく、よって今は米国債への絶好の投資機会だ」と述べているそうですが、、、どうでしょうか?
- 日経新聞一面トップで、会計にかかわる者として知っておくべき重要な決定がなされたという記事があります。
- FASFがのれんの定期償却(20年以内)を維持する方針を固めたようで、7/27の諮問会議で決定されます。
- 議論されていた償却・非償却の選択制導入は見送りとなります。
- IFRS・米国基準(非償却)とは一線を画し、日本は独自路線を継続することになります。
- この決定は「財務の安定性・保守性」を「国際的な比較可能性・M&A促進」よりも優先する選択と言えます。
- 日本企業のガバナンスや投資家層の性質(長期保有志向が強い、減損への抵众感が強いなど)を考えると理解できる判断ですが、グローバル資本を呼び込みたい企業やM&Aを成長戦略の柱とする企業にとっては、IFRS移行という「個別対応」を促す結果になり、市場全体としての基準統一は当面遠のいた、という評価です。
【記事概要】
- 日本の会計基準づくりを担う財務会計基準機構(FASF)は企業のM&A(合併・買収)で生じる「のれん」の償却について、定期的に実施する現行基準を維持する方針を固めた。突発的に多額の減損損失を計上するリスクを軽減できる。
- 企業が償却か非償却かを決める選択制の導入も見送る。27日に開催予定の諮問会議で決定する。FASFは約1年間かけて専門家らの意見を聞いて議論してきたが、非償却を導入することへの支持は広がらなかった。
- のれんを非償却とする国際会計基準(IFRS)や米国会計基準と一線を画し、日本は独自路線を続けることになる。
- のれんはM&Aの際、相手企業の純資産額を上回って支払った代金のことを指す。買収先のブランドや技術など見えない資産の対価と位置付ける。
- 日本基準は時間の経過とともにのれんの価値が減るとの考え方に基づき、20年以内の定期償却を原則としてきた。償却期間中、企業は決算期ごとに償却費用が発生して利益を下押しする。定期償却しておけば、M&Aで手にした事業の採算が悪化したとしても予期せぬ減損処理を迫られるリスクは減る。
- 一方、非償却とすれば毎年の費用負担は抑えられるが、のれんの価値が下がった場合に巨額の減損損失が発生する可能性がある。IFRSや米国基準は年1回は減損テストを実施し、減損を計上するか判断する。
- 米国、欧州、日本の主要企業の財務諸表を分析すると、米国と欧州は株主資本に対するのれんの規模(中央値)が20~30%あるのに対し、日本は1%だった。米国では100%を超える企業が16%あった。日本基準が非償却を採用しなかったのは財務リスクが大きいと判断したためとみられる。
- 日本基準の採用は上場企業だけで約3600社に及び、基準変更となれば膨大な時間と費用がかかることが想定される。FASFはコストをかけて基準を変更する利点が十分に見いだせないとも判断したようだ。
- 定期償却については積極的なM&Aでのれんが大きくなった企業ほど利益が少なくなるとの批判的な見方もある。経済同友会は「M&Aの障害になる」と主張してきた。
- 会計基準の違いにより利益の見え方が違えば投資家は日本企業を米欧企業と同じ物差しで比べられず、株価に正確な企業価値が反映されにくくなる。
- 定期償却によるマイナス面を緩和しようと、FASFは決算書類に「のれん償却前利益」の開示について検討するように傘下の企業会計基準委員会(ASBJ)に提言する。この開示が進めば他の会計基準の企業との比較がしやすくなる見通しだ。
- のれんを非償却としたい日本企業にはIFRSを採用する選択肢もある。東京証券取引所に上場する315社(6月末時点)がIFRSを適用済みか適用を決めている。
- 企業戦略と会計基準は密接につながっている。今後、M&Aによる成長を志向する企業でIFRSへの移行が進む一方、財務リスクを重視する企業は日本基準にとどまる傾向が強まりそうだ。
