骨太の財政目標「達成できず」70%  高成長頼みに疑念https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260724&ng=DGKKZO97739180T20C26A7EA2000

【コメント】

  • 昨日は「HONEBUTO」に対する海外投資家のネガテイブな見解の記事がありましたが、今朝の朝刊では経済学者へのアンケート結果が報道されています。
  • 詳細は記事をご覧いただきたいと思いますが、債務残高のGDP比改善、潜在成長率の改善、財政支出による民間投資の促進効果はいずれも否定的な結果となっています。
  • 国内海外の有識者や投資家が高市政権の政策を評価しないことにより、金利上昇や円安は加速すると思われます。昨日のドル円は164円に迫る水準まで円安が進んでいます。
  • この高市政権の骨太政策に似たような政策は海外でも行われ、いずれも成功とは言えなかった結果があります。22年の英国のトラスショックをはじめ、イタリア、韓国、アルゼンチンなどいずれも金融市場の混乱を招いています。
  • 消費税減税や財政支出による投資に対する財政的な裏付けが心もとなく、国民民主党の玉木氏が言及しているように、「高市政権の気合と根性による成長戦略」には大きな不安があります。

【記事概要】

  • 日本経済新聞社と日本経済研究センターは経済学者を対象とした「エコノミクスパネル」で、政府の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)について聞いた。政府は債務残高の国内総生産(GDP)比を安定的に引き下げる目標を掲げるが、「達成できない」との回答が70%だった。高成長に頼る財政運営に懐疑的な意見が目立った。
  • 高市早苗政権は21日、2026年の骨太の方針を閣議決定した。財政運営の目標では債務残高GDP比の安定的な低下を「中核」と位置付ける。官民の投資拡大による経済成長で財政を安定させる考えだ。
  • 経済学者50人に15~21日、債務GDP比を安定的に下げられるかを尋ねた。「そう思わない」(50%)、「全くそう思わない」(20%)が計70%だった。「そう思う」は6%にとどまった。
  • 日本の国・地方の債務残高はGDPの190%を超える。大阪大の恩地一樹教授(税制)は「実現できない」と回答した。官民投資については「分母であるGDPへの効果は不確実だが、分子の債務残高は投資への優遇などでほぼ確実に増加するだろう」と指摘した。
  • 内閣府の試算によると、官民投資の効果が十分に出る高成長のシナリオなら債務GDP比は低下する。一方、投資効果が中程度や不十分な場合は、30年度ごろから比率が上昇する想定だ。
  • カナダ・トロント大の伊神満准教授(産業組織論)は「高成長の前提は非現実的だ。実効性が怪しい総花的な投資枠で歳出規律を緩めれば、財政悪化を意図的に加速させる」と懸念を示した。
  • 債務GDP比は、金利など外部環境に左右されるため政府が管理しにくい。中央大の塩路悦朗教授(マクロ経済学)は「市場が財政規律の弛緩を疑って国債金利が上昇し、財政運営がより困難になる可能性に留意すべきだ」と話す。
  • 一橋大の陣内了教授(マクロ経済学)は「財政運営は、政府がより直接的に管理できる基礎的財政収支(PB)などを基礎に行うべきだ」と強調した。政府は今回の骨太方針で、PBは「単年度の黒字化時期を機械的に追わない」と記した。
  • 一方、財政目標を「達成できる」とする一橋大の砂川武貴教授(金融政策)は、25年度までの3年間で債務GDP比が低下していることに注目する。「長期金利が安定して推移し、緩やかなインフレと実体経済の成長を継続できるかが鍵となる」との見方だった。
  • 内閣府によると、経済の地力を示す潜在成長率は直近21~25年度の平均で0.4%だった。31年度以降は370兆円の官民投資などで1%台半ばより高まるというのが、債務GDP比が下がっていく前提となる。
  • 今回の調査では政府の潜在成長率の前提が現実的かも聞いた。「そう思わない」は56%、「全くそう思わない」は10%だった。「どちらともいえない」(24%)と「そう思う」(6%)を大幅に上回った。
  • 官民投資が技術進歩をもたらしたり、生産性を上げたりする効果を疑問視する意見が多かった。一橋大の森口千晶教授(比較経済史)は「すべての官民投資が生産性向上に結びつくとは考えにくく、政府の試算は現実的というより楽観的だ」とコメントした。
  • 慶応義塾大の藤原一平教授(マクロ経済学)は「民間が自発的に新しい事業へ挑戦できる環境を整える方が、潜在成長率の向上には有効だ」と述べ、規制緩和などの必要性を訴えた。
  • 「どちらともいえない」と回答した東京大の佐藤泰裕教授(都市経済学)は「政府主導の投資が潜在成長率を十分引き上げるかは事業の見極めにかかっている」とみる。540億円の累積赤字を抱える官民ファンドの海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)を例に挙げ「不安を感じざるを得ない」と言及した。