「働き控え」なお400万人超 「年収の壁」106万円撤廃  賃金上昇で勤務減らす 人手不足の一因にhttps://www.nikkei.com/paper/article/?b=20261001&ng=DGKKZO99041580Q6A930C2EA1000

【コメント】

  • 今日から、パート先で厚生年金や健康保険に加入しなければならない年収106万円の壁が撤廃されます。
  • しかし、まだまだ壁があります。
  • 119万円で住民税がかかり始め、130万円で配偶者の社会保険の扶養から外れ、178万円で所得税がかかり始めます。また週20時間以上働けば社会保険に加入する「労働時間の壁」も残っています。
  • インフレ対応で最低賃金が上昇していることは望ましいことですが、年収の壁を意識すれば、賃上げ分だけ労働時間を減らすことになり、労働力不足が懸念されます。
  • ポイントは、厚生年金や健康保険に加入しなければならない週20時間以上の「労働時間の壁」ですが、記事では、将来の年金受給を考えると厚生年金に加入しておくことは望ましいとのことです

【記事概要】

  • 税や社会保険料の負担が増す「年収の壁」を意識して、働く時間を抑える短時間労働者が2026年4~6月に408万人いることが伊藤忠総研の推計でわかった。10月の制度改正で壁の是正は進むものの、賃金の上昇で労働時間を減らす動きが続いている。
  • パートで働く人数と平均労働時間をかけ合わせた労働供給量は減っており、人手不足の一因といえる。不合理な年収の壁の解消が欠かせない。
  • 日本経済新聞が依頼し、伊藤忠総研が就業構造基本調査などをもとに試算した。高野蒼太副主任研究員は「賃上げが進んで壁を越えて働く人が増えたため、22年から37万人減った」と話す。それでも非正規雇用者のおよそ2割はなお壁を意識しているとみられる。
  • 政府・与党は所得税がかかりはじめる年収の壁のラインを178万円に引き上げ、1日からは厚生年金など社会保険に入る106万円の壁も撤廃する。それでも配偶者の社会保険の扶養から外れ、自分で保険料を納めることになる130万円の壁は手つかずだ。
  • 年収以外にも週20時間以上働けば社会保険に加入する「労働時間の壁」も残る。一定の是正策は進んできたものの、働き控え解消への効果は限定的だ。調味料製造の松原食品(福岡市)で働く30代の女性パート社員は現在は夫の扶養に入る。「10月以降も働く時間が引き続き週20時間を超えないようにする」と話す。
  • 壁は残ったまま賃金上昇は続く。最低賃金の26年度の全国加重平均は前年度から56円増の1177円となる。10月から12月にかけて各都道府県で適用が進み、賃上げ圧力が強まる。壁への到達を避けるために労働時間を減らす動きにつながる。
  • 厚生労働省によると、短時間労働者1人当たりの総実労働時間(従業員5人以上)は25年に月79.1時間と、新型コロナウイルス禍前の19年から7%縮んだ。短時間で働く高齢者の増加が主に影響したものの、最低賃金の大幅な引き上げが進んだ23年以降は3年連続で減った。
  • 短時間労働者数は1614万人と19年比5%増だが、平均労働時間をかけ合わせた全体の労働供給量は2%減った。減少分は短時間労働者34.8万人の労働力に当たる。
  • パート労働者に労働力を頼る小売りや外食の現場では影響が大きい。
  • 首都圏地盤の大手スーパーでは「最低賃金が上がった分は労働時間を減らし、収入を維持したい人が多いようだ」(広報)という。週20時間未満で働く人が多く、原則130万円以上で配偶者の扶養から外れることは変わらないため「壁を越えない働き方を選択する傾向は続く」とみる。
  • 企業の採用支援を手掛けるHRソリューションズによると、「扶養内勤務OK」と明記するなど扶養を意識したとみられる求人の割合は26年1~9月の各月1日に公開していた非正規向け求人402万件の7.7%に上った。前年同期から1.3ポイント増えた。
  • 給食とスーパー業界で増加率が特に顕著だった。給食ではおよそ28万4300件のうち、「扶養外」を除き「扶養」と記した求人が6.8ポイント増えて8.9%を占めた。スーパーは31万8000件のうち4.4ポイント増の22.7%に上った。
  • 「週20時間以内」または「未満」と記された求人も全体で346件あった。HRソリューションズの事業企画部の鈴木亜紀部長は「社会保険に入るかどうかは働く側も会社側も双方が意識している」と語る。
  • 国民年金より手厚い厚生年金に未加入のまま収入もあえて低く抑えると将来の貧困リスクにつながる。経済全体で見れば人手不足を助長する一因にもなる。労働力が細るなか、働き方に影響を及ぼさない制度に修正する必要がある。