フランス今や「欧州の病人」 金利はPIIGS超え、政治不安で国債売りhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR091FH0Z01C26A0000000/

【コメント】

  • フランスの長期金利が高騰し始めています。10年債利回りは24年ぶりの高値圏の5%目前で、いまやかつて瀕死状態のあったスペインやイタリアを上回っています。
  • 仏国債売り(金利上昇)の背景には同国の政治・財政運営への懸念があります。フランスの公的債務残高は6月末時点でGDP比119%と1946年以降で最も高く、欧州連合(EU)が「60%以下」と定める上限の倍の水準にあります。
  • この記事ではフランスの危機を述べていますが、振り返って日本はどうでしょうか?日本の一般政府債務残高の対GDP比はフランスを大きく上回る204%前後です。
  • フランスはマクロン大統領の支持率が低下し政権運営が不安定になっており、財政赤字削減の施策案が実行に移せていないことが危機の根源です、
  • 一方で日本の高市政権は抜群の支持率を誇っていますが、政策運営方針が食品消費税減税や成長戦略への投資など、財政赤字を拡大する方向になっています。
  • 日本の10年国債は現在3%超に上がってきていますが、フランスや米国並みの5%レベルへ高まっていく懸念があります。そうなると住宅ローン金利の更なる高騰や、物価高にますます拍車がかかる恐れもあります。金利上昇により円安に歯止めがかかれば良いのですが、現在の日本産業の実力からすると円の需給改善は望み薄でインフレ率の上昇を抑え込めるかは疑問です。
  • 食品消費税減税は愚策と感じますが、これまで何度も失敗してきた政府主導の成長戦略もいかがなものでしょうか? 識者は、「金を出すより規制改革を!」と声だかに言っていますが、、、。

【記事概要】

  • フランス国債を巡る市場の警戒が続く。政治の混乱に加え、2010年代の欧州債務危機を招いたスペインなど南欧諸国を上回る財政赤字が重荷となる。27年春の大統領選を控え先行きに不透明感が漂う。
  • FROGSトレード――。市場では仏国債取引を皮肉る略称が出回る。「肥大化したフランス政府と社会保障(French Oversized Government and Social Security)」の英語の頭文字から仏調査会社が名付けた。
南欧重債務国と立場逆転
  • 10年代のユーロ危機で南欧中心の重債務国「PIIGS」(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)を支える側だった大国フランスの面影は薄い。
  • 足元の仏国債売りの背景には同国の政治・財政運営への懸念がある。1日発表の27年度予算案は財政赤字の国内総生産(GDP)比を5%に抑える目標を掲げた。市場は歳出削減策の実効性を疑問視し、仏10年債利回りは24年ぶりの高値圏の5%目前に迫った。いまやスペインやイタリアを上回る。
  • フランスの公的債務残高は6月末時点でGDP比119%と1946年以降で最も高い。欧州連合(EU)が「60%以下」と定める上限の倍の水準にある。
  • 市場が憂慮するのは財政再建の遅れを招く不安定な政治だ。少数与党の仏政府は年金改革など痛みを伴う改革を実行できていない。9月下旬から賃上げや教育費の増加を求める公務員や学生のデモが全土に広がり歳出圧力も高まる。英紙テレグラフは投資家の声を拾い、フランスを「欧州の新たな病人」と酷評した。
  • 来春の大統領選の世論調査では退職年齢引き下げを掲げる極右・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン氏が首位に立つ。2位圏の急進左派・不服従のフランス(LFI)のメランション氏は債務の再交渉を唱える。いずれも市場が求める緊縮策と開きがある。
  • 市場はフランス固有のリスクを織り込み、仏10年物国債の対独利回り差(スプレッド)は2日に一時1.50%付近まで拡大した。ユーロ危機時のイタリアやスペインの5〜6%とは開きがあるものの、11年の1.9%に近づく。
  • 高校生らによる教育環境の改善を求めるデモは一部で治安部隊との衝突もあった(6日、仏西部ナント)=ロイター
  • 政治指導力の弱さが金融ショックを増幅させている点で10年代のユーロ危機と似通う。ギリシャでは09年の政権交代後、過去の財政赤字の過少申告が判明し、統計への不信と緊縮策の実現可能性への疑念から国債が売られた。
  • その後、高債務で改革が遅れるポルトガルやスペインなどのユーロ圏にも飛び火した。イタリアでは11年にベルルスコーニ首相が退陣を表明し、先行き不透明感から10年債の金利が7%を超えた。
  • ギリシャやポルトガルはEU、国際通貨基金(IMF)の支援を受けた。スペインも欧州安定メカニズム(ESM)に金融支援を要請した。PIIGSの5カ国すべてが欧州中央銀行(ECB)の証券市場プログラム(SMP)により国債の買い入れ対象となった。
  • ユーロ危機の際、フランスはユーロ圏諸国と共にギリシャへの2国間融資に参加するなど危機の国々を支援する余力があった。ユーロ圏2位の経済大国は国民議会(下院)で政権与党が過半を占め、相対的に政治が安定していた。
  • 当時のサルコジ政権の10年に大規模ストライキがありながらも年金支給開始年齢を引き上げた。オランド政権の14年にも年金保険料の納付期間を延ばした。一方、マクロン政権は23年に支給開始年齢引き上げを議会採決なしに決めたが、後に一部停止となった。
債務危機で痛み伴う改革、フランスは
  • ユーロ危機時に公的な支援を受けた当事国はその後、構造改革と財政再建に取り組んできた。スペインは解雇規制の緩和や消費税に相当する付加価値税(VAT)の引き上げに踏み込んだ。ポルトガルも公務員給与の抑制や国有企業の民営化を進めた。
  • 痛みを伴う改革により、スペインは25年の財政赤字をEUルール内の2.4%に縮小させた。ポルトガルも0.7%の黒字となった。米格付け大手S&Pグローバル・レーティングによる信用格付けは両国ともシングルAプラスでフランスと並んだ。
  • 「かつて欧州債務危機では『大きすぎて潰せない』国が懸念された。今度のフランスは『大きすぎて救えない』国になりかねない」。英運用大手のマーク・ダウディング氏はこう警鐘を鳴らす。