米中間選挙、民主勝利でも株高? ウォール街が描く3つのシナリオhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2408B0U6A021C2000000/
【コメント】
- 来週火曜日に米国で中間選挙が実施されます。この選挙で今後の経済政策の行方が決まってきます。
- トランプ大統領は共和党ですが、今回の選挙は民主党の優勢との予想が多くあります。
- 下院はほぼ確実に民主党が多数になると見られており、ポイントは上院です。
- 上院のシナリオは3つです。①民主党が僅差で多数 ②民主党圧勝 ③上院では民主党が少数派
- 法人増税や人工知能(AI)・金融規制の強化をうたう民主党が圧勝(②)すれば、株式市場にはネガテイブです。また①と③ならば、共和党の政策が続き株高が継続すると言われています。
- アノマリー(経験則)では、中間選挙後はどうあれ政治の不透明感が薄れ、投資家の買いが活発になり、株高になるのが通例です。
- ただ今回は、AIへの過剰投資やイラン戦争での原油高が株式市場での懸念事項になっていますので、過去事例の通りに進むのかが不透明との分析もあります。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
- 11月3日の米中間選挙まで1週間、金融市場は民主党が上下両院を奪還する「ブルーウエーブ」を織り込み始めた。規制緩和に慎重な民主党の勝利は、株式市場にとって逆風との見方が一般的だ。もっとも、民主党の勝ち方次第では「民主勝利でも株高」というシナリオがあり得る。
- 米予測市場のカルシによると、25日時点で民主党が下院を制する確率は約9割、上院でも約6割となっている。中間選挙後の上院での民主党の議席数は過半数の51を上回る52議席になるというのが中心的な予想で、市場では「ブルーウエーブ」が基本シナリオといえる。
- では、中間選挙後に米株式相場はどう動くのか。浮上しているのが、上院での民主党の獲得議席数に応じた3つのシナリオだ。
シナリオ1:民主勝利でも株式市場に安心感
- 第1のシナリオは民主党が上院で51〜53議席を確保するケースだ。上下両院で民主党が過半数を得ることになるが、大勝とは言いがたく、大きな政策変更などは望みにくい。28年の大統領選の行方も不透明なままとなる。
- 民主党は党内に急進左派と主流派の路線対立を抱えている。上下両院でかろうじて多数派を確保できたとしても、造反がでれば、数の優位はたちまち崩れてしまう。もとよりトランプ大統領の拒否権も政策実現の大きな壁となる。
- 米大手投資銀行のモルガン・スタンレーは民主党内の結束が弱ければ、予算交渉でも十分な譲歩を引き出せず、政策変更が進まないと分析する。市場が警戒する金融規制などの強化は難しく、株式市場にとってはプラスとなる。
- それでも、民主党が予算交渉での発言力を強めれば、低所得者向け食料支援や公的医療保険メディケイドの歳出削減延期を引き出せる可能性がある。小売りや医療サービス関連には恩恵が及びそうだ。
シナリオ2:民主圧勝、株式市場には逆風
- 第2は民主党が上院で54議席以上を獲得する「大勝」シナリオだ。三井住友銀行のニューヨーク駐在シニア・エコノミスト、坂本篤秀氏はアラスカ、カンザス、テキサスなど「共和党の地盤州にまで競争が広がっていること自体、今回の選挙環境が共和党にとって厳しいことを象徴している」と指摘する。こうした州まで民主党が奪えば、市場予想を上回る躍進となる。
- 大統領の拒否権を覆すには上下両院でそれぞれ3分の2以上の賛成が必要で、民主党の大勝でも政策転換が直ちに実現するわけではない。それでも、トランプ政権の政策は進めにくくなり、予算編成などを通じて民主党の意向は反映されやすくなる。
- このケースでは、2028年の大統領選で民主党が政権を奪還するのではないかとの観測も高まりそうだ。法人増税や人工知能(AI)・金融規制の強化といったシナリオを市場が先取りする可能性がある。
- 誰が当選するかも注目だ。ミシガン州の民主党候補エルサイード氏はAI開発やデータセンター建設の一時停止、富裕層課税などを掲げる。独アリアンツ・グローバル・インベスターズ(GI)は「左派候補の勢い次第で、株安に動くかが決まるだろう」と指摘する。
シナリオ3:民主失速、「ねじれ議会」で株高
- 第3は民主党が下院の奪取にとどまり、上院は共和党が維持するシナリオだ。AIや金融分野の規制緩和路線に大きな変更はないとの期待が強まり、防衛や原子力関連にも追い風となりそうだ。共和党が上院を握り続ければ、トランプ政権は米連邦準備理事会(FRB)などの要職の人事も進めやすい。
- 株式市場は歴史的に「ねじれ議会」を好んできた。JPモルガンの1950年以降の集計では、ねじれ議会となった後2年間のS&P500の上昇率は平均21%と、同じ政党が上院と下院を支配する場合の18%を上回る。大型の財政支出が難しくなり、国債増発懸念が和らげば、長期金利の低下を通じて成長株の支援材料となる。
- ただ、政治の停滞はマーケットにとって、もろ刃の剣だ。英バークレイズは2027年夏の債務上限引き上げを巡る対立激化や、政府閉鎖の繰り返しを警戒する。長期金利の行方には不透明感も漂うことになる。
経験則では、中間選挙後は株高
- 経験則でみると、中間選挙後は株高になりやすい。米ブラックロックの集計では、1970年以降の中間選挙14回でS&P500種株価指数は選挙後6カ月に平均14%上昇した。中間選挙年以外の11月上旬以降の6カ月の6%を大きく上回る。政治の不透明感が薄れ、投資家の買いが活発になるとされる。
- 今回もこの経験則は通用するのか。リスクは株高をけん引してきたAI投資が選挙の争点となっていることだ。電気料金の上昇や環境負荷への反発から、データセンターの建設規制を求める声が強まる。規制強化が現実味を帯びれば、半導体や電力設備など幅広いAI関連株を圧迫しかねない。
- もとより、マーケットは選挙結果の予想を常に織り込みながら動いている。特定のシナリオを選挙前に十分織り込んでしまえば、選挙後には逆方向に動くなど、想定外の展開にもなり得ることには注意が必要だ。
