不動産を売却して利益が出た場合、意外と高い税金がかかることをご存じでしょうか?
しかし、マイホームの売却に関しては「マイホーム特例(3,000万円控除)」という非常に有利な制度があり、大幅に税金を軽減することが可能です。ただしこの特例は、住宅ローン控除とは併用できない点に注意が必要です。
この記事では、マイホーム特例(3,000万円控除)の概要や適用要件、そして住宅ローン控除との併用制限について分かりやすく解説します。
マイホーム特例(3,000万円控除)とは?
不動産を売却した際の税金負担を軽減するための特別な制度で、正式には「居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除」と呼ばれます。
要件を満たすと、マイホームの所有期間の長短に関係なく、売却益から最大3,000万円を控除することができます。
計算例(Aさんが、令和7年5月に自宅を売却した場合)
・売却金額: 5,000万円
・売却時の譲渡費用(仲介手数料など): 200万円
・過去に購入した時の金額(購入価格+諸経費): 2,000万円
| (例)
①譲渡所得の算出
②マイホーム特例を適用
③所有期間が5年未満の場合
④所有期間が5年以上の場合
|
以上より、マイホーム特例を利用すれば、大幅な節税が可能となります。
マイホーム特例を適用するための要件と注意点
ただし、マイホーム特例を適用するためにはいくつかの要件を満たす必要があり、注意が必要です!
特例の適用を受けるための主な要件
- 売却物件が主たる居住用財産である
売却した物件が、自身や家族が実際に住んでいたマイホームであることが条件です。
別荘として使っている家には適用できません。 - 住んでいた期間や所有期間
住まなくなってから3年目の年末までに売却する必要があります。 - 過去に特例を利用していない
ご自身が過去2年間に他の物件に対して、マイホームの譲渡に関する特例の適用を受けている場合には利用できません。
主に以上の条件を満たしていれば、最大3,000万円の控除を受けることが可能です。
なお、上記以外にも特例を受けるための要件が複数あるため、ご留意ください。
(参考)No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁)
マイホーム特例の注意点
マイホーム特例は非常に有利な制度ですが、以下の点に注意が必要です。
- 住宅ローン控除との併用不可
新しいマイホームに入居した年を含めた3年について住宅ローン控除の適用を受けた場合は、マイホーム特例の適用は不可となります。
ですので、マイホーム特例の適用を検討する場合には、必ずマイホーム特例と住宅ローン控除のどちらを適用した方が有利になるかを比較ください。
後述の【マイホーム特例と住宅ローン控除、どちらを使ったほうがお得?!】では、実際にシミュレーションを行っていますので、ぜひご参考にしてみてください。 - 軽減税率の特例との併用は可能
10年超住んでいたマイホームを売却した場合、一定の要件を満たすと、税額を通常の場合よりも低い税率で計算する軽減税率の特例の適用を受けることができます。
その場合の税率は、以下の通りです。なお、特例の適用を受けるための要件が複数あるためご留意ください。
(参考)No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁
計算例(Bさんが、11年住んでいた自宅を令和7年5月に売却した場合)
・売却金額: 1億円
・売却時の譲渡費用(仲介手数料など): 500万円
・過去に購入した時の金額(購入価格+諸経費): 5,000万円
| (例)
①譲渡所得の算出
②マイホーム特例を適用
③軽減税率の特例を適用
|
つまり、適用条件の確認や税額シミュレーションを事前に行うことで、賢い節税が可能になります。
マイホーム特例と住宅ローン控除、どちらを使ったほうがお得?!
マイホーム特例と住宅ローン控除のどちらが有利になるかは、売却益の大きさやローン控除額、居住期間など複数の要素で変わります。
比較をシミュレーションを使って説明したいと思います!
マイホーム特例が有利なケース
【条件】
・マイホームの売却金額: 5,000万円
・取得費(購入価格+諸経費): 2,000万円
・売却費用(仲介手数料など): 200万円
・マイホームに住んでいた期間は3年
・年間の住宅ローン控除額: 30万円、残年数10年
■売却時の譲渡所得
売却金額(5,000万円) − 取得費(2,000万円) − 売却費用(200万円) = 2,800万円
【ケース1: マイホーム特例を適用した場合】
■譲渡所得(2,800万円) − 特別控除(3,000万円) = 0円
■税額: 0円
【ケース2: 住宅ローン控除を継続した場合】
■売却後も住宅ローン控除を10年間適用すると、控除総額は30万円 × 10年 = 300万円
■譲渡所得2,800万円に対して、2,800万円× {所得税率(30%)+住民税率(9%)} = 1,092万円の税金が発生
結果:
マイホーム特例を選択した場合、売却時の節税額が1,092万円となりますが、住宅ローン控除の30万円× 3年=90万円は受けられません。結果、 90万円の税負担です。
一方、住宅ローン控除を適用すると300万円節税になりますが、マイホーム売却時に1,092万円税金が発生しますので、税負担としては、1,092万円 − 300万円=792万円となります。
よって、マイホーム特例を適用したほうが有利となります。
住宅ローン控除が有利なケース
【条件】
・マイホームの売却金額: 4,000万円
・取得費(購入価格+諸経費): 3,000万円
・売却費用(仲介手数料など): 150万円
・マイホームに住んでいた期間は11年
・年間の住宅ローン控除額: 30万円、残年数10年
■売却時の譲渡所得:
売却金額(4,000万円) − 取得費(3,000万円) − 売却費用(150万円) = 850万円
【ケース1: マイホーム特例を適用した場合】
■譲渡所得(850万円) − 特別控除(3,000万円) = 0円
■税額: 0円
【ケース2: 住宅ローン控除を継続した場合】
■住宅ローン控除を10年間適用すると、控除総額は30万円 × 10年 = 300万円
■譲渡所得に対して、軽減税率の特例を適用すると、850万円 ×{所得税率(10%)+住民税率(4%)} = 119万円の税金が発生
結果:
マイホーム特例を選択した場合、売却時の節税額が119万円となりますが、住宅ローン控除が30万円× 3年=90万円受けられません。結果、 90万円の税負担となります。
一方で、住宅ローン控除を適用すると300万円節税になりますが、マイホーム売却時に119万円税金が発生しますので、税負担としては、119万円 − 300万円=△181万円となります。
よって、住宅ローン控除を適用したほうが有利となります。
つまり、売却益が大きい場合はマイホーム特例が有利、売却益が小さい場合や住宅ローン控除の控除額が大きい場合は、住宅ローン控除が有利になります。住宅ローン控除の控除額は物件や居住開始年によって異なるため、比較時はご留意ください。
(参考)No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
このように、状況によってどちらの制度を選ぶべきかが変わりますので、専門家と相談しながら最適な選択を行いましょう。
まとめ
マイホーム特例と住宅ローン控除は、不動産売却や住宅購入に伴う税金対策として重要な制度です。それぞれにメリットがあり、どちらを選択するべきかは事前のシミュレーションが欠かせません。
また、軽減税率の特例という制度もありますので、どの方法の組み合わせが最も節税できるか十分に検討しましょう。
Takeoffer会計事務所では、会計処理から税務相談まで幅広いアドバイスを行っております。
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