金急落、投機マネー翻弄 ETF経由で流入「安全資産」揺らす 構造変化で価格乱高下https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20251023&ng=DGKKZO92103120S5A021C2EA1000
【コメント】
- 今朝は高市政権とは関係のない金価格暴落の記事がありましたので取り上げます。
- 金価格はここ数年で暴騰し、2025年度に入ってからも1.5倍になっています。
- しかし10月に入って急落しています。4月にもトランプ関税をトリガーに急落した場面がありましたが、今回の急落には特段の理由がないようです。しいて言えば、米中対立の激化や米地方銀行の信用リスク不安といった足元の金価格を押し上げた懸念が後退したことですが、それにしても少し大きな急落です。
- 急落の一因は、金(カネ)余りの投機マネーが金ETF市場に大量流入していて、それが投機的売りを活発化させたとのことです。原油価格や為替、あるいは仮想通貨が急騰急落するのと同じ現象かと。
- しかし金の物量は他の投機ネタと違い限られていると言われています。既に採掘された量はオリンピックプール4杯分で、あと1杯分しか地球上に存在しないそうです。また人工的に金を作り出すには相当な費用がかかり採算性がないとの説があります。金は劣化せず見た目も華やかで、電子部品になくてはならない素材です。
- ドル基軸通貨制が揺らいでいる中で、どの国の政治経済情勢にも左右されない、いわば世界通貨としての位置付けは今後ますます高まると想定できます。それだからこそ投機マネーが流入してきていると思われます。
- これからも投機マネーによる多少の上下動はありますが、金の資産的価値は期待できると感じます。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
- 「安全資産」の筆頭である金(ゴールド)の価格が急落した。最近の急騰で利益確定の売りが出やすかったが、それだけではない。世界にあふれる投資マネーがファンドを通じて金市場に流入し、価格が変動しやすくなっている。特定の国に結びつかない無国籍通貨としての価値は不変だが、価格安定の面では構造変化が生じている。
- 国際指標のニューヨーク先物(中心限月)は21日、前日比250.3ドル(5.7%)安い1トロイオンス4109.1ドルまで下落した。1日の下落幅としては過去最大となった。22日のアジア時間の取引も続落で始まった。
- 下落は国内の金価格にも波及した。地金商最大手の田中貴金属工業が22日午前に公表した小売価格は、前日比1540円(6.6%)安の2万1830円となった。
- 金はこれまで異例の上昇を続けてきた。NY金先物価格は、トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のクック理事の解任を宣言した8月下旬から上昇基調を強めた。10月に入ってからペースが加速し、7日に1トロイオンス4000ドルを突破。20日に付けた1トロイオンス4398ドルの最高値まで2週間で400ドル近く上昇していた。
- 「売りが売りを呼び、短期間に積みあがった投機的なマネーが一気に崩れた」。マーケット・ストラテジィ・インスティチュートの亀井幸一郎代表はこう分析する。
- 米中対立の激化や米地方銀行の信用リスク不安といった、足元の金価格を押し上げた懸念が後退したため、売りが膨らみやすい情勢にはあった。ただ、下げ幅がここまで拡大したのは、市場を取り巻く環境が変化したことが大きい。上場投資信託(ETF)を通じて大量の資金が金市場に流入しているからだ。
- 国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が世界の金の需給動向を調べた統計によると、25年4~6月期にはおよそ170トンと需要全体の約2割を占めるまでに達した。1年前の2024年4~6月期はほぼゼロで、投資家の資金配分次第で金価格が変動しやすくなったことが見て取れる。
- マーケットアナリストの豊島逸夫氏は「大きく増えた金ETF需要が、潜在的な売りエネルギーとなっていた面がある」と語る。
- 21日は銀(シルバー)や白金(プラチナ)など他の貴金属も大きく下げた。ニューヨーク先物価格でそれぞれ前日比で銀は7%、白金は8%の下落を記録。金と同様に、投機マネーの流出が急落を招いた格好だ。
- 金の買いを促してきた安全資産の位置づけに変わりはない。ドルの信認低下や地政学リスクの上昇は金へのマネー流入を後押しし、相場の上昇基調は維持されるとの声が大勢を占める。
- ただ、価格の安定感に関してはかつてと違うとの指摘も目立つ。スイス金製錬会社MKS PAMPのニッキー・シールズ調査・金属戦略責任者は「今後も金価格が大きく動く日々が続きそうだ」とみる。
